ハート・オブ・ウーマン
2004年 11月 16日
いつも「粉」をかけていたのに、一向に相手にされなかったファースト・フード店で働く女優志願のローラ(マリサ・トメイが演じていました)に、彼女の「心の声」をディクがオウム返しに繰り返しただけで、自分の気持ちを分ってくれると彼女に感激され、デートの後で即ベッド・インするというあの場面です。
一度は、ディックは、彼女のアケスケな「心の声」が聞こえてしまうためにナニが萎えてしまうピンチに見舞われますが、奮起して彼女の「心の声」をナビゲーターとして忠実にSEXをこなしたことによって、女心が分かるツボを心得たテクニシャンとしてローラをメロメロにさせてしまいます。
しかし、僕は、正直言って「ホントかあ?」という気持でいっぱいです。
「そうして欲しい」と望んだところを「そうした」だけで、本当にあんなにも惚れられるものなのか、ちょっと信じられないのです。
「そうして欲しいところを、そうする」だけなら、なにもわざわざ男なんか必要ないんじゃないか、犬でも猫でも馬でも自分でもなんでもいいじゃないか、なんて馬鹿なこと考えてしまいました。
つまり、あれです。
SEXなどというものは、他人に出会うことの意外性とか唐突性とかに不意を突かれ、驚き、衝撃を受けて初めて「感じる」ものなのであって、「ここんところを、もうちょっと」なんて思っていたことが、ただそのとおりに実現されるだけなら、そんなSEXは、面白くもなんともないんじゃないかと思えたのです。
女性の内面の声が聞こえたからといって、その超能力を駆使しても別に何ていうこともないこの「ハート・オブ・ウーマン」という作品の低調さが気になって、これだけのことを考えてしまいました。
やっぱ意外性です、SEXは。