裁かるるジャンヌ ①
2004年 11月 27日
まさか日本の「忠臣蔵」のような作られ方をしているとも思えませんが。
しかし、フランス人のイギリスに対する根深い敵意は、「ジャンヌ・ダルク」というフランスにとっては、あまりにも屈辱的で、そして悲しすぎる象徴的な物語に強烈に感じることができますよね。
こういう苦渋に満ちた物語がきっかけとなって、取り澄ましたどんな知識人でさえも抑えていた愛国心が噴出してしまう、みたいな?
あのゴダールでさえ「女と男のいる舗道」でアンナ・カリーナに涙を流させているくらいです。
ゴダール作品を見るにつけ、これはとても「いけない見方」かもしれませんが、僕はいつも、彼の、たまたま大国に生まれただけの偶然にのうのうと「あぐら」をかいて芸術的放蕩に血道を上げているだけの「あまえ」を感じてしまうのです。
まあ、芸術って、そういうものかもしれませんが。
しかし、こういうフランス人の感情的な愛国心て、なんか微笑ましくなってしまいます。
だからなのかもしれませんが、最後結局はジャンヌが火刑に処せられてしまうにしろ、だからこそ、やはりこの物語には、一度はイギリス軍を徹底的に打ち負かして溜飲を下げる場面が、フランス人にとっては、どうしても不可欠・必要なものなのだったのかもしれませんね。
コテコテのフランス人・リュック・ベッソン作品を観ていると、そのことを痛感します。
その辺のことをぼやり考えながら、オルレアンの聖処女ジャンヌが、イギリス軍に捕らえられ、宗教裁判の結果、火刑に処せられるまでの苦悩に満ちたたった一日の出来事を描いたドラマ、カール・ドライヤーの「裁かるるジャンヌ」が、とても新鮮に感じてしまうのは僕だけでしょうか。