ギリシャ危機
2011年 11月 26日
ギリシャの問題はどうなる、に端を発した欧州通貨危機が、まるっきり先行き不透明のまま、他の欧州各国の国債にも不安定感が飛び火して、日本も含め、なんだか世界がグチャグチャになってしまいました。
ちょっと前までは、近いうちに景気(震災の少し前もそうでしたが、その後も震災景気なんて言葉もありました)は必ず上向くぞみたいな楽観が世界の市場を覆っていたのに、いまにして思えば、それもほんの一瞬のことだったんですね。
でも、年がら年中、悪い冷や汗をかきながら右往左往している自分にとって、「景気」なんて、いつでも実感の伴わない掴みどころのない感じだったような気がします。
あの時こそ好景気の真っ只中だったんだとか、あとで言われてみて、そうだったかあなんて間抜けっぽく始めてぼんやり思い当たるくらいで、その最中にいるときは、やっぱり乱高下する相場に振り回されながら、無我夢中で駆けずり回っているだけの、実感としてはむしろ、いつだって崖っぷちの切迫感しかなかったような記憶しかありません。
しかしそれも、いまの深刻さに比べたら、まだまだノドカな「右往左往」だったんだろうなと懐かしいというか哀しい、そんな感じしかしませんね。
いまは、「もう今度こそ、いよいよ本当に息の根を止められてしまうんじゃないか」という断末魔の気分みたいな、もう二度と再起できないかもしれない最後感とでもいう危機感でいっぱいです。
みなさんなら、今頃はとっとと株式市場から早々に資金を引き上げて、とっくに守りの態勢に入っていることと思いますが、自分を含めて逃げ足の遅かった人間は、まあ当分のあいだ首を縮めて嵐をやり過ごすしか方法がありませんかね。
むかしは、株が良くなければ債券へ、なんていわれましたが、グローバル化したいまの時代、もうそんな古臭い鉄則などこなごなに砕け散ってしまい、もはや通用しないのは、はっきりしてます。
素人考えで思うのですが、欧州における実力も国情も違う国々を単一通貨ユーロで統一しようとすること自体無理があって、その理想のツケというかヒズミみたいなものが、一挙に表面化してきたんじゃないかと思います。
かつてのアルゼンチンみたいに、さっさとデフォルト(はっきりいえば借金の踏み倒しです)でもして、ユーロを離脱し、独自通貨を取り戻して切り下げし、国力にあった為替レートで国内産業を盛り立て国際競争力をつけていくしかありません(かくいう日本も他人事ではありません)。
デフォルトもできない、ユーロ離脱も許されないでは、これではまさに蛇の生殺し状態ですよね。
もし独自の通貨を有していたら、一時的には緊縮財政など過酷な状態に陥っても(いままで楽な思いをしてきて、さらにその赤字を隠してきたツケを払って)、そうでもしない限り、いまのユーロの過保護なひも付き状態のままでは、いつまでも自立の道は開けてこないだろうなと思います。
なんて、鬱憤晴らしにクドクドとつまらないことを書き散らしましたが、実はこのことを考えていたら、むかし聞いたある落語を思い出しました。
その噺というのは、酒好きの二人の男が、酒のナミナミと入った大きな樽を天秤棒でかついである場所まで運んでいくという道中記みたいなものでした。
しばらく歩いていくと、後ろの方の男が言います。
「お前は前で担いでいるからいいだろうが、後ろで担いでみろ、酒の匂いがプ~ンとモロに鼻にきて、たまったもんじゃない。この酒は売り物なんだから、金を払えば呑んでもいいわけだろう。一杯呑ませろ」
「そりゃあ道理だ。なんでも金を払えば誰だって客だ、呑んで悪いわけがない」
というわけで、男は酒代を払い、うまそうに酒をあおります。
それを見ていたら片方の酒好きの男も、我慢できなくなって、いま受け取った銭を相手に渡して酒を呑みます。
それを見ていたら、先の男は再びたまらなくなって、いま受け取った銭を相手に渡して酒を呑むというお話です。
このようにして同じ銭をやったり取ったりしながら、ついに大樽の酒を二人で呑み尽くしてしまうという落語でした。
金のやり取りはあっても、結局は富を生むことができない、なんだかこれって、統一通貨ユーロの根本的な欠陥を言い当てているような気がしてなりませんでした。
さて、気になって、後日、この落語の題名を東大落語会編の「落語事典」で探してみたのですが、結局みつけることができませんでした。
噺の印象からすると「ふたり酒盛り」みたいな題名なのかなとあたりをつけて探したのですが、もちろん、そんな題名の落語などありませんでした。
ただ、「一人酒盛り」という落語ならありました。
円生がよく語った噺らしいのですが、概略を読むと大分内容は違います。
まあ、暇な時に「酒」のつく題名の落語を片っ端から探してみるとしますかね。
この落語の題名、どなたかご存知の方がいらしたら、ぜひ教えてください。
確かに「花見酒」でした。
これで胸のつかえが、とれました。
「酒」のつくタイトルをさがしていたとき、このタイトルも見かけていたはずですが、きっと、「長屋の花見」をイメージしてしまったので、スルーしてしまったのだと思います。
彦六の持ちネタだったみたいですね。
ありがとうございました。
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