セントラル・オハイオ映画批評家協会賞
2006年 01月 15日
作品賞では、受賞作以下のBEST10も掲げられているので、そこには、アニメ作品ありドキュメンタリー作品ありと、斬新な選出をする賞であることが分かる一面、このラインアップを見て、本命「ブロークバック・マウンテン」のこの評価をどう判断するのかということになると、少し考え込んでしまいました。
次点を含め計8部門で選出されているのですが、それを強さと見るか、やはり主要部門では届かない要素が内包されている弱さの現れと見るか、その辺は微妙な問題かもしれません。
その兆候を裏付けるというわけではないのですが、「アンサンブル演技賞」部門で「ミュンヘン」が評価されているのには意外でした。
これまでの賞レースにおいて演技部門でこの作品の名前の挙がったことがあったかどうか、記憶にありません。
この意外な評価が、意表を衝いただけの単なるパフォーマンスなのか、関係者の間で僅かでも評価しようとする動きがあるのか、その辺りの意外性が、多分助演男優部門を中心に、本選でどう反映されていくのか、見守りたいところです。
例えば、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の評価の具合によって、票割れが心配された(主演賞とすべきとの声もあります)マリア・ベロが当然浮上してくるという構図が見えてきたように思います。
無冠だったとはいえ、カンヌにおけるモーテンセン、ハリスらとともに絶賛されたベロの演技を、そして「The Cooler」を、アカデミーがまだ覚えているなら、ニューヨーク映画批評家協会賞受賞をはじめ、ゴールデン・グローブ賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞、ロンドン映画批評家協会賞、ゴールデン・サテライト賞の各候補を勝ち取ってきた実績によって、当然オスカーを手にすべき一人として名前を連ねる資格は十分にあるという批評家の認識の存在を、この映画批評家協会賞の結果は示していると思います。
ただ、不安材料としては、暴力を扱った挑戦的な内容がどう評価されるのか、作品そのものが忌避されてしまえば、彼女のTV女優のイメージが敬遠されることにも繋がりかねないとの見方が存在していることも、また事実なのですが・・・。
★作品賞
◎ヒストリー・オブ・バイオレンス (ニューライン)
《BEST10》
2. ブロークバック・マウンテン (フォーカス・フィーチャーズ)
3. ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ! (ドリームワークス)
4. グッドナイト&グッドラック (ワーナー・インディペンデント)
5. ミュンヘン (ユニバーサル)
6. MURDER BALL (MTVフィルムズ)
7. クラッシュ (ライオンズゲート)
8. シン・シティ (ディメンション)
9. プライドと偏見 (ユニバーサル)
10. バットマン ビギンズ (ワーナー・ブラザース)
★監督賞
◎デヴィッド・クローネンバーグ (ヒストリー・オブ・バイオレンス)
Runner-Up
アン・リー (ブロークバック・マウンテン)
★主演賞
◎ヒース・レジャー (ブロークバック・マウンテン)
Runner-Up
リース・ウィザースプーン (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
★助演賞
◎マリア・ベロ (ヒストリー・オブ・バイオレンス)
Runner-Up
エイミー・アダムス(Junebug)
★脚本賞
◎ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ (ブロークバック・マウンテン)
Runner-Up
ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ (グッドナイト&グッドラック)
★アンサンブル演技賞
◎ミュンヘン
Runner-Up
ブロークバック・マウンテン
★ブレイクスルー映画人賞
◎エイミー・アダムス(Junebug)
Runner-Up
ジョー・ライト (プライドと偏見)
★美術賞
◎シン・シティ
Runner-Up
ブロークバック・マウンテン
★録音賞
◎宇宙戦争
Runner-Up
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
★アクター・オブ・ザ・イヤー
◎ヒース・レジャー
(ブロークバック・マウンテン、ブラザーズ・グリム、カサノバ、ロード・オブ・ドッグタウン)
Runner-Up
テレンス・ハワード (Hustle & Flow、クラッシュ、Get Rich or Die Tryin')