世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


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シナリオ作家・新藤兼人特集 ②

【松川事件】
戦後の典型的な冤罪事件として知られる列車妨害事件を描いたドキュメント・ドラマで、製作費4,500万円全額がカンパでまかなわれた。新藤は嘘の自白をしてしまった男の弱さを描こうとしたが、そのために製作委員会と対立し、山形雄策により修正されたという。
(61松川事件劇映画製作委員会)(監督)山本薩夫(脚本)新藤兼人、山形雄策(撮影)佐藤昌道(美術)久保一雄(音楽)林光
(出演)宇野重吉、宇津井健、永井智雄、西村晃、多々良純、千田是也、加藤嘉、永田靖、下元勉、織田政雄、沢村貞子、北林谷栄、岸旗江、高友子、岸輝子
(162分・35mm・白黒)

【青べか物語】
干潟の広がる江戸川河口の町にやってきた文士先生と、地元のアクの強い面々との聖俗まみれた交わりを描いた周五郎文学の映画化。野卑な老人に徹した東野英治郎の芝居が絶品である。派手な発色をあえて抑えた岡崎宏三のカラー撮影術にも注目。
(62東京映画)(監督)川島雄三(原作)山本周五郎(脚本)新藤兼人(撮影)岡崎宏三(美術)小島基司(音楽)池野成
(出演)森繁久弥、池内淳子、左幸子、乙羽信子、フランキー堺、山茶花究、園井啓介、東野英治郎、中村メイコ、丹阿弥谷津子、加藤武、桂小金治
(100分・35mm・カラー)

【斬る】
虚無をたたえた天才剣客(市川)の半生を、鋭利な演出で彩った異色時代劇。美術監督・内藤昭によれば、大幅にセリフを切り詰め、ト書きさえ「詩のような書き方」に徹した新藤の脚本を三隅監督は全面的に尊重したという。三隅は『愛妻物語』のセカンド助監督だった。
(62大映京都)(監督)三隅研次(原作)柴田錬三郎(脚本)新藤兼人(撮影)本多省三(美術)内藤昭(音楽)斉藤一郎
(出演)市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、成田純一郎、丹羽又三郎、友田輝、柳永二郎、天知茂
(71分・35mm・カラー)

【人間】
59日の間海上を漂流し、人肉食いの危機に直面した漁船員たちに肉薄した野上弥生子の「海神丸」を原作に仰ぐ。新藤の主眼は「人間が獣に移行するプロセス」であり、そのため動物園に赴いて牛、熊などいろいろな動物の生態を観察したという。
野上弥生子の小説「海神丸」を新藤兼人が脚色・監督した秀作人間ドラマ。食料はおろか水までもなくなってしまった難破船という極限状態の中で次第に精神に異常を来しはじめる4人の人間たちの姿を、冷徹な視点で淡々と描写。人間の“生きる闘い”の姿の中に人間そのものを追求する意欲作。「裸の島」に続いてスタッフ・出演者は静岡県松崎町に合宿しオールロケで制作された。
(62近代映画協会)(監督脚本美術)新藤兼人(原作)野上弥生子(撮影)黒田清己(音楽)林光
(出演) 乙羽信子、殿山泰司、佐藤慶、山本圭、加地健太郎、渡辺美佐子、村山知義、観世栄夫、浜村純
(117分・35mm・白黒)

【しとやかな獣】
舞台劇のようにセリフが多く、ほとんどが団地の部屋のワンセット撮影という新藤の野心たぎる密室劇。川島雄三は、凍りつくような笑いに満ちた新藤のオリジナル・シナリオに惚れ込んだものの、登場人物が性悪ばかりという設定のため製作会社探しに苦労したという。
(62大映東京)(監督)川島雄三(原作脚本)新藤兼人(撮影)宗川信夫(美術)柴田篤二(音楽)池野成
(出演)若尾文子、伊藤雄之助、山岡久乃、高松英郎、小沢昭一、船越英二、山茶花究、ミヤコ蝶々、浜田ゆう子、川端愛光
(96分・35mm・カラー)

【母】
敗戦後間もない広島に生きる、バラック住まいの戦争寡婦(乙羽)とその母(杉村)。望まぬ結婚でできた新しい生命をどうするか、女の決意表明が描かれる。のちに頻繁に取り上げられる“性”のテーマを初めて本格的に前面に出した、新藤流の“母性”論。
(63近代映画協会)(監督脚本美術)新藤兼人(撮影)黒田清己(音楽)林光
(出演)乙羽信子、杉村春子、殿山泰司、髙橋幸治、頭師佳孝、宮口精二、佐藤慶、加藤武、武智鉄二、小川真由美、夏川かほる、本山可久子、横山靖子
(101分・35mm・白黒)

【鬼婆】
中世の戦乱期、落武者を殺しては武具を売りさばいて暮らす二人の女(乙羽・吉村)のもとに戦場帰りの男(佐藤)が現れ、女たちの生活にさざなみを立てる。新藤自らが代表作に挙げる映画の一つで、ススキの野原を捉える黒田清巳の撮影も素晴らしい。
(64近代映画協会)(監督脚本美術)新藤兼人(撮影)黒田清巳(美術)松本博史(音楽)林光
(出演)乙羽信子、吉村実子、佐藤慶、宇野重吉、殿山泰司、松本染升、加地健太郎、荒谷甫水、田中筆子
(102分・35mm・白黒)

【清作の妻】
愛する夫(田村)を戦場に送り出したくないがために、その目を釘で貫いてしまう妻(若尾)を描いた増村保造作品。日本初の反戦映画とも呼ばれた1924年の村田実作品のリメイクだが、新藤は吉田絃二郎の原作を大幅に変え、男女の情念を中心に据えた。
(65大映東京)(監督)増村保造(原作)吉田絃二郎(脚本)新藤兼人(撮影)秋野友宏(美術)下河原友雄(音楽)山内正
(出演)若尾文子、田村高廣、千葉信男、紺野ユカ、殿山泰司、早川雄三、成田三樹夫、潮万太郎、穂高のり子、杉田康
(93分・35mm・白黒)

【惡党】
原作は谷崎潤一郎の「顔世」。南北朝時代、成り上がりの権力者(小沢)が他人の妻(岸田)に惚れ、彼女を横取りしようとしつこく策略を巡らすが…。京都府亀岡市に寝殿造のオープンセットを組み、新藤組おなじみの合宿撮影を敢行した。
(65近代映画協会=東京映画)(監督脚本)新藤兼人(原作)谷崎潤一郎(撮影)黒田清巳(美術)丸茂孝(音楽)林光
(出演)岸田今日子、小沢栄太郎、乙羽信子、木村功、宇野重吉、高橋幸治、殿山泰司、加地健太郎、江角英明、川口敦子
(119分・35mm・白黒)

【刺青】
背中に女郎蜘蛛の入れ墨を彫られて芸妓となり、魔性の女へと変貌してゆく質屋の娘(若尾)の悲劇。「刺青」と「お艶殺し」をベースに、新藤はそうした初期谷崎らしいケレン味ある残酷さを活かした。宮川・西岡など大映京都撮影所の名スタッフたちの仕事にも注目。
(66大映京都)(監督)増村保造(原作)谷崎潤一郎(脚本)新藤兼人(撮影)宮川一夫(美術)西岡善信(音楽)鏑木創
(出演)若尾文子、長谷川明男、山本学、佐藤慶、須賀不二男、内田朝雄、藤原礼子、毛利菊枝
(86分・35mm・カラー)

【座頭市海を渡る】
「座頭市」シリーズの14作目で、シリーズ唯一の新藤脚本。座頭市が本州を離れて四国の礼所めぐりをする設定も、斬った男の娘(安田)の刃を甘んじて受けてしまう展開も珍しい。西部劇への敬意も感じられるアクション・シーンは池広監督らしい演出。
(66大映京都)(監督)池広一夫(原作)子母沢寛(脚本)新藤兼人(撮影)武田千吉郎(美術)西岡善信(音楽)斎藤一郎
(出演)勝新太郎、安田道代、井川比佐志、三島雅夫、山形勲、田中邦衛、五味龍太郎、千波丈太郎、東野孝彦
(82分・35mm・カラー)

【本能】
被爆のために性的不能に陥った男が、蓼科高原の自然の中で体験する新しい世界。新藤の映画を彩る二つの鍵、“原爆”と“性”が混沌と融け合っており、撮影後は「やりたいことを、やりたいようにやった」と述懐している。『人間』で見いだされた能楽界の異端児・観世栄夫の主演作。
(66近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清巳(音楽)林光
(出演)観世栄夫、乙羽信子、東野英治郎、殿山泰司、宇野重吉、島かおり、田中筆子、川口敦子、蓼くにえ、江角英明、大木正司、草野大悟
(103分・35mm・白黒)

【けんかえれじい】
時代は昭和の初期。日々喧嘩に明け暮れながらも、恋に目覚めてしまった硬派学生(高橋)の苦い青春を描く。コミカルなタッチの中にも詩性がきらめく、鈴木清順の代表作の一つである。やや唐突な結末は、新藤の脚本ではなく鈴木監督の意図とされる。
(66日活)(監督)鈴木清順(原作)鈴木隆(脚本)新藤兼人(撮影)萩原憲治(美術)木村威夫(音楽)山本直純
(出演)高橋英樹、浅野順子、川津祐介、宮城千賀子、加藤武、玉川伊佐男、浜村純、佐野浅夫、松尾嘉代、野呂圭介
(86分・35mm・白黒)

【華岡青洲の妻】
全身麻酔手術に挑もうとする医師・青洲(市川)のため、人体実験の被験者に志願する妻(若尾)と母(高峰)の凄絶な対立を見せる。有吉の重厚な構想力、新藤の繊細な人物造型、増村の鋭利な演出が三つ巴になって生み出された傑作。
(67大映京都)(監督)増村保造(原作)有吉佐和子(脚本)新藤兼人(撮影)小林節雄(美術)西岡善信(音楽)林光
(出演)市川雷蔵、若尾文子、伊藤雄之助、渡辺美佐子、丹阿弥谷津子、原知佐子、浪花千栄子、内藤武敏、伊達三郎、田武謙三、木村玄、南部彰三
(99分・35mm・白黒)

【薮の中の黒猫】
平安末期の争乱の頃を舞台に、虐殺された女の怨念を幻想的に描いた怪談。「今昔物語」から出発しながらも、実は、新藤家に棲みついた黒猫が着想の源になったという。『雨月物語』の影響が感じられ、新人・太地喜和子のエロティックな魅力も評判になった。
(68近代映画協会=日本映画新社)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清己(美術)丸茂孝、井川徳道(音楽)林光
(出演)中村吉右衛門、乙羽信子、佐藤慶、戸浦六宏、太地喜和子、殿山泰司、観世栄夫、江角英明、大木正司、加地健太郎
(99分・35mm・白黒)

【強虫女と弱虫男】
炭鉱の閉鎖で失業した夫(殿山)と、やむなく京都に出て「ネグリジェサロン」のホステスになった妻と娘(乙羽・山岸)をめぐるコメディ。新藤は創作ノートで、この女たちを生命感あふれる「新種のキノコ」になぞらえ、底辺の人間から立ち上がるヴァイタリティを謳いあげた。
(68近代映画協会=松竹)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清巳(美術)井川徳道(音楽)林光
(出演)乙羽信子、山岸映子、殿山泰司、観世栄夫、中村良子、草野大悟、戸浦六宏、川口敦子
(107分・35mm・白黒)

【かげろう】
バーのマダムの死体が尾道の海に浮かび、捜査を始めた刑事は20年前の殺人事件に突き当たる。瀬戸内の美しい風景の中に女の復讐劇があぶり出されてゆく。スタッフは「集団創造」の原則を固守、広島県三原市を中心に、合宿をしながら3か月にわたるロケを行った。
(69近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(脚本)関功(撮影)黒田清己(美術)井川徳道(音楽)林光
(出演)乙羽信子、戸浦六宏、伊丹十三、殿山泰司、富山真沙子、宇野重吉、小沢栄太郎、吉沢健、菅井一郎、山村弘三、北林谷栄
(103分・35mm・白黒)

【裸の十九才】
19歳の永山則夫による連続射殺事件(1968年)をモデルにした作品で、役名は異なるがかなり忠実な映画化である。集団就職で上京した少年が転落してゆく様を、これがデビューとなる原田大二郎が演じたが、脚本は少年の生い立ちや母親像も細かく追っている。
(70近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(脚本)松田昭三、関功(撮影)黒田清巳(美術)春木章(音楽)林光、小山恭弘
(出演)乙羽信子、原田大二郎、草野大悟、佐藤慶、渡辺文雄、殿山泰司、河原崎長一郎、観世栄夫、小松方正、戸浦六宏、太地喜和子
(120分・35mm・白黒)

【軍旗はためく下に】
夫(丹波)が亡くなったいきさつを知ろうと、戦争寡婦(左)は執念で夫の戦友たちを訪ね歩くが、それぞれの証言は食い違い、やがて人肉喰いの事実や卑劣な上官の存在が暴かれる。「戦後処理」の不可能性において、新藤と深作欣二が共鳴しあった迫力ある一本。
(72東宝=新星映画)(監督脚本)深作欣二(原作)結城昌治(脚本)新藤兼人、長田紀生(撮影)瀬川浩(美術)入野達弥(音楽)林光
(出演)左幸子、丹波哲郎、江原真二郎、夏八木勲、中村翫右衛門、三谷昇、中原早苗、内藤武敏、藤田弓子
(96分・35mm・カラー)

【鉄輪(かなわ)】
夫に裏切られた女が生霊となり、夫と愛人を恨んで呪いの五寸釘で祈り殺そうとする能の「鉄輪」が本作の出発点。セックスと嫉妬というテーマを全面展開しながら、古代・現代の2つのストーリーを同時に進めてゆく。頭に鉄輪をかぶった乙羽信子の演技が鬼気迫る。
(72近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清己(美術)春木章(音楽)林光
(出演)乙羽信子、観世栄夫、フラワーメグ、戸浦六宏、殿山泰司、原田大二郎、川口敦子、蓼くにえ、中村門
(91分・35mm・カラー)

【讃歌】
盲目の三味線師匠・春琴(渡辺)と丁稚・佐助の秘められた情愛を綴る名作「春琴抄」が原作。すでに複数の映画化作品があるが、新藤はとりわけ男のマゾヒズムを強調し、それをきめ細やかに描き出している。
(72近代映画協会=日本アート・シアター・ギルド)(監督脚本)新藤兼人(原作)谷崎潤一郎(撮影)黒田清己(美術)渡辺竹三郎(音楽)林光
(出演)渡辺督子、河原崎次郎、乙羽信子、原田大二郎、殿山泰司、戸浦六宏、草野大悟、武智鉄二、初井言栄
(112分・35mm・カラー)

【心】
漱石の名作「こころ」を、学生運動の高揚の余韻が残る1970年代に移植した作品。だが単に時代の風俗になじませたのではなく、下宿屋の娘の人物造型などには原作への新藤の挑戦が感じられる。登場人物K(=「先生」)役は、劇団四季の人気俳優だった松橋登。
(73近代映画協会=日本アート・シアター・ギルド)(監督脚本)新藤兼人(原作)夏目漱石(撮影)黒田清巳(美術)難波一甫(音楽)林光
(出演)松橋登、辻萬長、杏梨、乙羽信子、殿山泰司、荒川保男
(87分・35mm・カラー)

【わが道】
青森からの出稼ぎ男性が東京で行き倒れ、身元不明のまま医科大学の解剖実験材料にされた事件をもとに作られた告発の一篇。青森を訪問していた近代映画協会のプロデューサー能登節雄が、自伝を映画化してほしいという人物の提案を承諾して実現した。
(74「わが道」製作実行委員会=近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清巳(美術)大谷和正(音楽)林光
(出演)乙羽信子、殿山泰司、戸浦六宏、金井大、河原崎長一郎、佐藤慶、伊丹十三、森本レオ、堀内正美、岡田英次、渡辺文雄
(130分・35mm・カラー)

【ある映画監督の生涯 私家版】
若き日、溝口健二に強烈なインパクトを受けた新藤が、生前の溝口と仕事をした映画人に自らインタビューして作ったドキュメンタリー。裏話に終始することなく、その人間性や創作過程にも迫ろうとした執念が感じられる。
(75近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(撮影)三宅義行
(出演)田中絹代、依田義賢、入江たか子、永田雅一、香川京子、山田五十鈴、京マチ子、伊藤大輔、宮川一夫、増村保造ほか
(150分・35mm・カラー)

【竹山ひとり旅】
津軽三味線の不世出の名手・高橋竹山の流浪時代を、本人のインタビューと演奏を交えて描く。暗澹とした修業時代を描きながらも、主演の林隆三の演技がユーモアを与えていて重苦しさを感じさせない。泥棒役の川谷拓三が小さい役ながら存在感を見せている。
(77近代映画協会=ジャンジャン)(監督脚本)新藤兼人(撮影)黒田清巳(美術)大谷和正(音楽)林光
(出演)高橋竹山、林隆三、乙羽信子、倍賞美津子、観世栄夫、根岸明美、川谷拓三、戸浦六宏、殿山泰司、佐藤慶、島村佳江、金井大、小松方正、松田春翠
(124分・35mm・カラー)

【事件】
女性の殺人事件をめぐって繰り広げられる、大岡昇平原作の重厚な法廷サスペンス。「過剰に書く」ことを目指した新藤の脚本は、検事役・芦田伸介と弁護士役・丹波哲郎など名優の演技とあいまって、全体の半分以上を占める法廷シーンを絶えず緊張感で包む。
(78松竹)(監督)野村芳太郎(原作)大岡昇平(脚本)新藤兼人(撮影)川又昂(美術)森田郷平(音楽)芥川也寸志
(出演)丹波哲郎、芦田伸介、大竹しのぶ、永島敏行、松坂慶子、森繁久弥、佐分利信、渡瀬恒彦、乙羽信子、西村晃、山本圭、夏純子、佐野浅夫
(138分・35mm・カラー)

【絞殺】
暴力を振るいだした高校生の息子を、耐えかねて殺してしまった父親。閉塞感の漂う時代の家族像を示したが、撮影現場で物語のイメージを引き出すため、新藤はあえて「ゆるいシナリオ」にしたという。西村晃演じる俗物の父親像、乙羽信子の体当たりの演技も印象深い。
(79近代映画協会)(監督脚本)新藤兼人(撮影)三宅義行(美術)大谷和正(音楽)林光
(出演)西村晃、乙羽信子、狩場勉、岡田英次、観世栄夫、戸浦六宏、森本レオ、会田初子、殿山泰司、小松方正、草野大悟、根岸明美
(116分・35mm・カラー)

【地震列島】
学者(勝野)が警鐘を鳴らした大地震が実際に起こり、地下鉄浸水、高層ビル火災といった災害が東京を襲う。当時人気のあったアメリカの同種映画にもひけをとらないパニック映画で、『日本沈没』の特撮監督・中野昭慶による東京崩壊のスペクタクルも圧倒的。
(80東宝映画)(監督)大森健次郎(原作脚本)新藤兼人(撮影)西垣六郎(美術)阿久根巌(音楽)津島利章
(出演)勝野洋、永島敏行、多岐川裕美、松尾嘉代、松原千明、佐藤慶、佐分利信、山崎努、大滝秀治、岡田英次、三木のり平、松村達雄
(126分・35mm・カラー)

【北斎漫画】
矢代静一が「浮世絵師3部作」の一つとして発表した戯曲をもとに、絵師・葛飾北斎(緒形)と戯作者・滝沢馬琴(西田)の終生の友情、そして魔性の女(樋口)に魅入られ、春画の制作に没頭してゆく北斎の姿を描く。北斎の娘役の田中裕子は15歳から70歳までを演じた。
(81松竹)(監督脚本)新藤兼人(原作)矢代静一(撮影)丸山恵司(美術)重田重盛(音楽)林光
(出演)緒形拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子、フランキー堺、乙羽信子、宍戸錠、大村崑、愛川欣也、初井言榮、観世栄夫、殿山泰司
(119分・35mm・カラー)

【地平線】
家を破産から救うために「写真結婚」でアメリカに嫁いだ女性を主人公に、日本人収容所に入れられた時代も含めて、20余年にわたる日本人移民たちの苦闘を描く。炎熱の荒地を耕す夫婦の姿には、『裸の島』のイメージも重なるだろう。
(84MARUGENビル)(監督原作脚本)新藤兼人(撮影)丸山恵司(美術)大谷和正(音楽)林光
(出演)永島敏行、秋吉久美子、藤谷美和子、時任三郎、田中美佐子、川上麻衣子、乙羽信子、ハナ肇、井川比佐志、殿山泰司、西田敏行、風間杜夫、愛川欣也、戸浦六宏、初井言栄、園佳也子
(136分・35mm・カラー)

【落葉樹】
先祖から受け継いだ土地を失う父、軍人の兄、アメリカ移民となる姉、そして必死で家族を支えようとする母。こうした没落家族の肖像が、老いた作家の回想として語られてゆく。亡くなった母親への追憶の思いがこめられる新藤の私小説的な一篇。
(86丸井工文社)(監督原作脚本)新藤兼人(撮影)三宅義行(美術)重田重盛(音楽)林光
(出演)乙羽信子、財津一郎、小林桂樹、大滝秀治、梶芽衣子、初井言榮、殿山泰司、森塚敏、内藤剛志
(105分・35mm・カラー)

【ハチ公物語】
亡くなった飼い主を駅頭で待ち続けた犬「ハチ」の有名な逸話を、飾ることなく映画化した一篇。近代映画協会で新藤・吉村の両監督の助手を務めていた神山征二郎のヒット作で、のちに新藤自らがノンフィクション小説にも書き下ろしている。
(87東急グループ=三井物産=松竹グループ)(監督)神山征二郎(原作脚本)新藤兼人(撮影)姫田真佐久(美術)西岡善信(音楽)林哲司
(出演)仲代達矢、八千草薫、石野真子、柳葉敏郎、尾美としのり、殿山泰司、田村高廣、長門裕之、加藤嘉、三木のり平
(107分・35mm・カラー)

【さくら隊散る】
原爆で命を落とした移動演劇隊9人の隊員の足どりを、再現ドラマとゆかりの人々の証言からたどった記録映画で、新藤の被爆者に対する鎮魂の思いが再びこめられる。杉村春子、宇野重吉など演劇界の巨星たちが隊長・丸山定夫を回想するシーンが印象的。
(88近代映画協会=天恩山五百羅漢寺)(監督脚本)新藤兼人(原作)江津萩枝(撮影)三宅義行(美術)重田重盛
(出演)古田将士、未來貴子、川島聡互、八神康子、及川以造、竹井三恵、川道信介、水野なつみ、元松功子、北川真由美、内堀和晴
(111分・35mm・カラー)
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Commented by 読売マイラーズCで今週も儲けます! at 2011-04-12 04:32 x
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by sentence2307 | 2006-04-01 16:49 | 映画 | Comments(1)