世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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<   2005年 09月 ( 13 )   > この月の画像一覧

腰辨頑張れ

ひとりの保険外交員とその家族の生活記録を描いて痛ましいまでの心情をあますことなく凝視した成瀬監督のこの優れた作品は、いまのところ成瀬作品の現存する最も古い作品とされているものです。

これを見た当時の蒲田撮影所・城戸所長は、「これからの蒲田ナンセンス映画は、こういうものでなければならない」といって賞賛したと伝えられています。

1930年に監督デビューして以来、短編習作修行のこの時期の成瀬監督が8作目にして初めて高い評価をかちえた記念碑的作品=出世作としてこの「腰辨頑張れ」は知られています。

当時松竹蒲田の若手監督たちにはナンセンス喜劇の試作が義務づけられていて、この作品も成瀬監督のオリジナル・シナリオで作られている1作ですが、外形はナンセンス喜劇ながら、仕上がりは松竹蒲田のカラーである小市民の心境映画として洗練された達成があったからこそ、前述の城戸所長の評価につながったのだと考えられます。

しかし、皮肉にもその作品の出来が優れていればいる程、この路線で既に先行していた小津安二郎へと接近する結果となって、カタチ的には近似性が明確化してしまうという宿命的なジレンマを伴ったと考えられるのです。

つまり、優れていればいる程、小津安二郎に肉薄し、肩を並べ、そこでは小津の繊細緻密な抑制とは異なる若き成瀬の過剰さがいっそう際立つこととなり、城戸所長をして「小津は二人いらない」と認識せしめたあの事態、成瀬監督が松竹蒲田を追われこととなるそもそもの発端となった遠因がこの「腰辨頑張れ」自体と、この作品に寄せた城戸所長の絶賛にあったのだとしたら、これはちょっと複雑な思いにさせられてしまう酷な秀作といえるかもしれませんね。

しかし、さらに考えれば、五所平之助を髣髴とさせる意欲的なモンタージュやカット・バックの技法の駆使が、撮影所長に畏怖を感じさせたなによりものすぐれた証明だったのかもしれませんよね。

(31松竹蒲田)(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)三浦光男(光雄)
(出演)山口勇、浪花友子、加藤精一、明山靜江、菅原秀雄、関時雄(男)、
(38分・784m18fps3巻・35mm・白黒・無声1931.8.8浅草帝國館、麻布南座、新歌舞伎座)
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by sentence2307 | 2005-09-03 13:19 | 映画 | Comments(1)

成瀬巳喜男監督特集

京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは、2005年に生誕百年をむかえる斎藤寅二郎、中川信夫、野村浩将、成瀬巳喜男、豊田四郎、稲垣浩等の名匠、巨匠の作品を1年を通して連続上映しているのですが、豊田四郎監督特集に続く成瀬巳喜男監督特集がいよいよこの夏休みから始まっていますよね。

10月下旬までなんと61作品が回顧上映されるそうですから凄いです。

パンフレットにいわく
「饒舌な台詞を排し、登場人物たちの視線のやりとりや小さな身ぶりの積み重ねによって情感あふれるドラマを織り上げてゆく成瀬の手法は、撮影監督の玉井正夫、美術監督の中古智といった東宝撮影所の名スタッフたちの協力を得て、個々の作品に映画芸術の一つの到達点ともいえる輝きを与えています。
映画が繊細な光と影の芸術であることを改めて教えてくれるこれらの作品群は、いまや世界的な評価を得るに至りました。」
なのだそうですから、既に見た作品なら改めて、そうでない作品なら尚更、この機会に「第4の巨匠」成瀬巳喜男監督の秀作群を是非とも見に通わないわけにはいきませんよね。

えっ、なぜ第4の巨匠という言葉をわざわざかぎカッコで括ったか、ですか? 

それは、きっとあの不肖の弟子とか自称されていた石井輝男監督が成瀬巳喜男の言葉としていつも言っていた「映画は映画館で上映される数週間だけの命でしかない」という成瀬監督の映画に対するシニカルな「儚いもの」にこだわり愛し続けた姿勢に、物凄く惹かれるものがあるからでしょうね。

第1の職人、というならカッコなしで書いてもいいのですが、「職人」という言葉にまだまだ共通認識がない以上、不用意に使って誤解を受けかねない現実に、ちょっとした危惧を感じているからでしょうか。

腰辨頑張れ(31松竹蒲田)
(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)三浦光男(光雄)
(出演)山口勇、浪花友子、加藤精一、明山靜江、菅原秀雄、関時雄(男)、
(38分・784m18fps3巻・35mm・白黒・無声)

夜ごとの夢(33松竹蒲田)
(監督原作)成瀬巳喜男(脚本)池田忠雄(撮影)猪飼助太郎(美術)浜田辰雄
(出演)栗島すみ子、斉藤達雄、木島照子、新井淳、吉川滿子、坂本武、大山健一、小倉繁、飯田蝶子、沢蘭子
(64分・24fps・35mm・白黒・無声)

生さぬ仲(32松竹蒲田)
(監督)成瀬巳喜男(原作)柳川春葉(脚本)野田高梧(撮影)猪飼助太郎(美術)浜田辰雄
(出演) 岡田嘉子、奈良眞養、筑波雪子、小島壽子、葛城文子、岡譲二、結城一朗、阿部正三郎、宮島健一、河原侃二、大山健二、花岡菊子、突貫小僧
(105分・18fps・16mm・白黒・無声)

君と別れて(33松竹蒲田)
(監督原作脚本)成瀬巳喜男(撮影)猪飼助太郎(美術)浜田辰雄
(出演)吉川滿子、磯野秋雄、水久保澄子、河村黎吉、富士龍子、藤田陽子、突貫小僧、飯田蝶子、若水絹子、竹内良一、小林十九二
(72分・20fps・35mm・白黒・無声)

限りなき鋪道 (34松竹蒲田)
(監督)成瀬巳喜男(原作)北村小松(脚本)池田實三(撮影)猪飼助太郎(美術)周襄吉
(出演)忍節子、磯野秋雄、山内光、若葉信子、葛城文子、日守新一、香取千代子、結城一朗、井上雪子、松岡富士子、谷麗光、三井秀男、阿部正三郎、突貫小僧、坂本武
(87分・24fps・35mm・白黒・無声)

乙女ごゝろ三人姉妹(35P.C.L.映画製作所)
(原作)川端康成(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)久保一雄(音楽)紙恭輔
(出演)細川ちか子、堤眞佐子、梅園竜子、林千歳、大川平八郎、滝澤修、伊藤薫、岸井明、藤原釜足
(75分・35mm・白黒)

二人妻 妻よ薔薇のやうに (35P.C.L.映画製作所)
(原作)中野實(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)久保一雄(音楽)伊藤昇
(出演)千葉早智子、英百合子、伊藤智子、堀越節子、細川ちか子、丸山定夫、大川平八郎、伊東薫、藤原釜足
(74分・35mm・白黒)

噂の娘(35P.C.L.映画製作所)
(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)山崎醇之輔(音楽)伊藤昇
(出演)千葉早智子、梅園龍子、伊藤智子、汐見洋、御橋公、藤原釜足、大川平八郎
(54分・35mm・白黒)

雪崩(37P.C.L.映画製作所)
(原作)大佛次郎(構案)村山知義(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)立花幹也(美術)北猛夫(音楽)飯田信夫
(出演)佐伯秀男、霧立のぼる、江戸川蘭子、汐見洋、英百合子、丸山定夫、三島雅夫、生方明
(59分・35mm・白黒)

桃中軒雲右衛門(36P.C.L.映画製作所)
(原作)眞山青果(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)北猛夫(音楽)伊藤昇
(出演)月形龍之介、細川ちか子、千葉早智子、藤原釜足、伊東薫、三島雅夫、市川朝太郎、小杉義男、御橋公、伊達信、小澤栄
(73分・35mm・白黒)

君と行く路(36P.C.L.映画製作所)
(原作)三宅由岐子(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)北猛夫(音楽)伊藤昇
(出演)大川平八郎、佐伯秀男、清川玉枝、藤原釜足、髙尾光子、山縣直代、堤眞佐子
(69分・35mm・白黒)

朝の並木道(36P.C.L.映画製作所)
(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)北猛夫(音楽)伊藤昇
(出演)千葉早智子、赤木蘭子、大川平八郎、御橋公、山口ミサヲ、清川玉枝、三島雅夫、伊達里子、清川虹子
(60分・35mm・白黒)

女人哀愁(37P.C.L.映画製作所=入江プロ)
(監督原作脚本)成瀬巳喜男(脚本)田中千禾夫(撮影)三浦光雄(美術)戸塚正夫(音楽)江口夜詩
(出演)入江たか子、堤眞佐子、佐伯秀夫、大川平八郎、神田千鶴子、澤蘭子、水上怜子、清川玉枝、初瀬浪子、北沢彪、伊東薫、御橋公
(74分・35mm・白黒)

禍福 前篇(37東宝東京)
(監督)成瀬巳喜男) (原作)菊池寛(脚本)岩崎文隆(撮影)三浦光雄(美術)北猛夫(音楽)仁木他喜雄
(出演)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子
(78分・35mm・白黒)

禍福 後篇(37東宝東京)
(監督)成瀬巳喜男) (原作)菊池寛(脚本)岩崎文隆(撮影)三浦光雄(美術)北猛夫(音楽)伊藤昇
(出演)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子
(79分・35mm・白黒)

鶴八鶴次郎(38東宝東京)
(原作)川口松太郎(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)伊藤武夫(美術)久保一雄(音楽)飯田信夫
(出演)長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫、横山運平、椿澄枝、清川玉枝、伊藤智子
(88分・35mm・白黒)

はたらく一家(39東宝東京)
(原作)徳永直(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)松山崇(音楽)太田忠
(出演)大日方傳、椿澄枝、徳川夢声、本間教子、生方明、伊東薫、南青吉、平田武、阪東精一郎、若葉喜世子、眞木順、藤輪欣司
(65分・35mm・白黒)

まごころ(39東宝東京)
(原作)石坂洋次郎(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)鈴木博(美術)中古智(音楽)服部正
(出演)入江たか子、髙田稔、村瀬幸子、悦ちゃん、加藤照子、藤間房子、清川莊司
(67分・35mm・白黒)

旅役者(40東宝東京)
(原作)宇井無愁(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)木塚誠一(美術)安倍輝明(音楽)早坂文雄
(出演)藤原鷄太(釜足)、柳谷寛、高勢實乘、清川莊司、御橋公、中村是好、山根壽子、清川虹子、深見泰三
(70分・35mm・白黒)

上海の月(41東宝東京=中華電影)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)松崎啓次(脚本)山形雄策(撮影)三村明(美術)松山崇(音楽)服部良一
(出演)山田五十鈴、汪洋、里見藍子、大川平八郎、佐伯秀男、清川荘司、大日方傳
(53分・35mm・白黒・部分)

秀子の車掌さん(41南旺映画)
(原作)井伏鱒二(監督脚本)成瀬巳喜男(撮影)東健(美術)小池一美(音楽)飯田信夫
(出演)高峰秀子、藤原鷄太(釜足)、夏川大二郎、清川玉枝、勝見庸太郎、榊田敬治、山川ひろし、松林久晴、林喜美子、馬野都留子
(54分・35mm・白黒)

母は死なず(42東宝映画)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)河内仙介(脚本)猪俣勝人(撮影)木塚誠一(美術)北川惠司(音楽)服部正
(出演) 菅井一郎、入江たか子、藤原鷄太(釜足)、澤村貞子、齋藤英雄、轟夕起子、小高まさる、藤田進、鳥羽陽之助、清水将夫、矢口陽子
[ゴスフィルモフォンド版](62分・35mm・白黒・不完全)

歌行燈(43東宝映画)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)泉鏡花(脚本)久保田万太郎(撮影)中井朝一(美術)平川透徹(音楽)深井史郎
(出演)花柳章太郎、山田五十鈴、柳永二郎、大矢市次郎、伊志井寛、瀬戸英一、村田正雄
(93分・35mm・白黒)

愉しき哉人生(44東宝)
(監督脚本)成瀬巳喜男、八住利雄(撮影)伊藤武夫(美術)北川恵司(音楽)鈴木靜一
(出演)柳家金語樓、山根寿子、中村メイコ、横山エンタツ、花岡菊子、渡辺篤、清川玉枝、小高たかし
(77分・35mm・白黒)

芝居道(44東宝)
(監督)成瀬巳喜男(原作)長谷川幸延(脚本)八住利雄(撮影)小倉金彌(美術)中古智(音楽)清瀬保二
(出演)古川緑波、長谷川一夫、山田五十鈴、伊井友三郎、花井蘭子、渡辺篤、進藤英太郎、志村喬、伊藤智子、清川荘司、鳥羽陽之助
(82分・35mm・白黒)

勝利の日まで 藝能戰線版第二輯(45東宝)
(監督)成瀬巳喜男)(脚本)サトー・ハチロー(撮影)立花幹也、木塚誠一(美術)北猛夫(音楽)鈴木靜一
(出演)徳川夢声、古川緑波、高峰秀子
(15分・35mm・白黒・断片)

三十三間堂通し矢物語(45東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)小国英雄(撮影)鈴木博(美術)河東安英
(出演)長谷川一夫、田中絹代、市川扇升、河野秋武、葛城文子、田中春男、横山運平、清川玉枝、鳥羽陽之助、沢井三郎、花沢徳衛
(77分・35mm・白黒)

四つの恋の物語(47東宝)
[第二話「別れも愉し」](監督)成瀬巳喜男 (脚本)小国英雄(撮影)木塚誠一(美術)江坂実(音楽)早坂文雄、栗原重一
(出演)木暮実千代、沼崎勲、英百合子、菅井一郎、小林十九二、竹久千恵子
(110分・35mm・白黒)
[第一話「初恋」](監督)豊田四郎(脚本)黒沢明(撮影)川村清衛(美術)松山崇(出演)池部良、久我美子、志村喬、杉村春子[第三話「恋はやさし」](監督)山本嘉次郎(脚本)山崎謙太(撮影)伊藤武夫(美術)北川恵司(出演)榎本健一、若山セツ子、飯田蝶子[第四話「恋のサーカス」](監督)衣笠貞之助(脚本)八住利雄(撮影)中井朝一(美術)平川透徹(出演)浜田百合子、河野秋武、田中筆子、進藤英太郎

石中先生行状記(50藤本プロ=新東宝)
(監督)成瀬巳喜男(原作)石坂洋次郎(脚本)八木隆一郎(撮影)鈴木博(美術)中古智(音楽)服部正
(出演)宮田重雄、渡辺篤、堀雄二、木匠久美子、進藤英太郎、杉葉子、池部良、藤原釜足、出雲八重子、三船敏郎、飯田蝶子、小島洋々、若山セツ子
(96分・35mm・白黒)

薔薇合戦(50松竹京都=映画芸術協会)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)丹羽文雄(脚本)西亀元貞(撮影)竹野治夫(美術)松山崇(音楽)鈴木靜一
(出演)三宅邦子、若山セツ子、桂木洋子、鶴田浩二、安部徹、永田光男、若杉曜子、大坂志郎、千石規子、進藤英太郎
(98分・35mm・白黒)

銀座化粧(51新東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)井上友一郎(脚本)岸松雄(撮影)三村明(美術)河野鷹思(音楽)鈴木靜一(助監督)石井輝男
(出演)田中絹代、花井蘭子、堀雄二、香川京子、柳永二郎、東野英治郎、田中春男、小杉義男、三島雅夫、清川玉枝、春山葉子
(87分・35mm・白黒)

舞姫(51東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)川端康成(脚本)新藤兼人(撮影)中井朝一(美術)中古智(音楽)齋藤一郎
(出演)高峰三枝子、山村聰、二本柳寛、片山明彦、岡田茉莉子、木村功、澤村貞子、見明凡太朗、大川平八郎、谷桃子バレエ団
(85分・35mm・白黒)

めし(51東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)林芙美子(脚本)井手俊郎、田中澄江(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)早坂文雄
(出演)上原謙、原節子、島崎雪子、杉葉子、杉村春子、風見章子、花井蘭子、二本柳寛、小林桂樹、大泉滉、清水一郎、田中春男、山村聰、中北千枝子
(97分・35mm・白黒)

お國と五平(52東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)谷崎潤一郎(脚本)八住利雄(撮影)山田一夫(美術)中古智(音楽)清瀬保二
(出演)木暮実千代、大谷友右ヱ門(中村雀右衛門)、山村聰、田崎潤、鳥羽陽之助、三好榮子、藤原釜足
(91分・35mm・白黒)

おかあさん(52新東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)水木洋子(撮影)鈴木博(美術)加藤雅俊(音楽)齊藤一郎
(出演)田中絹代、香川京子、岡田英次、片山明彦、加東大介、鳥羽陽之助、三島雅夫、中北千枝子、三好榮子、一の宮あつ子、本間文子、澤村貞子
(98分・35mm・白黒)

稲妻(52大映東京)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)林芙美子(脚本)田中澄江(撮影)峰重義(美術)仲美喜雄(音楽)齊藤一郎
(出演)高峰秀子、三浦光子、香川京子、村田知英子、根上淳、小澤榮、浦辺粂子、中北千枝子
(87分・35mm・白黒)

夫婦(53東宝)
(監督)成瀬巳喜男(脚本)水木洋子、井手俊郎(撮影)中井朝一(美術)松山崇(音楽)齋藤一郎
(出演)上原謙、杉葉子、三国連太郎、小林桂樹、藤原釜足、岡田茉莉子、豊島美智子、田代百合子
(86分・35mm・白黒)

妻(53東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)林芙美子(脚本)井手俊郎(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齋藤一郎
(出演)上原謙、高峰三枝子、丹阿彌谷津子、高杉早苗、新珠三千代、三国連太郎、清水將夫、石黒達也
(96分・35mm・白黒)

あにいもうと(53大映東京)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)室生犀星(脚本)水木洋子(撮影)峰重義(美術)仲美喜雄(音楽)齋藤一郎
(出演)京マチ子、森雅之、久我美子、堀雄二、船越英二、山本禮三郎、浦邊粂子、潮万太郎、宮嶋健一
(86分・35mm・白黒)

山の音(54東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)川端康成(脚本)水木洋子(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齋藤一郎
(出演)原節子、山村聰、上原謙、杉葉子、長岡輝子、丹阿彌谷津子、中北千枝子、角梨枝子、十朱久雄、北川町子、金子信雄
(94分・35mm・白黒)

晩菊(54東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)林芙美子(脚本)田中澄江、井手俊郎(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齋藤一郎
(出演)杉村春子、上原謙、沢村貞子、細川ちか子、望月優子、小泉博、有馬稲子、見明凡太朗、沢村宗之助、加東大介
(101分・35mm・白黒)

浮雲(55東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)林芙美子(脚本)水木洋子(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齋藤一郎
(出演)高峰秀子、森雅之、岡田茉莉子、山形勲、中北千枝子、加東大介、木匠マユリ、千石規子、村上冬樹、大川平八郎、金子信雄、ロイ・H・ジェームズ
(122分・35mm・白黒)

驟雨(56東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)岸田國士(脚本)水木洋子(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齊藤一郎
(出演)原節子、佐野周二、香川京子、根岸明美、小林桂樹、中北千枝子、東郷晴子、長岡輝子、加東大介
(90分・35mm・白黒)

妻の心(56東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)井手俊郎(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齊藤一郎
(出演)高峰秀子、小林桂樹、千秋実、中北千枝子、三好栄子、根岸明美、田中春男、花井蘭子、杉葉子、三船敏郎、加東大介、沢村貞子
(98分・35mm・白黒)

流れる(56東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)幸田文(脚本)田中澄江、井手俊郎(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)齊藤一郎
(出演)田中絹代、山田五十鈴、髙峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子、中北千枝子、賀原夏子、宮口精二、加東大介、中村伸郎、音羽久米子
(116分・35mm・白黒)

あらくれ(57東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)徳田秋声(脚本)水木洋子(撮影)玉井正夫(美術)河東安英(音楽)斎藤一郎
(出演)高峰秀子、上原謙、森雅之、加東大介、仲代達矢、東野英治郎、岸輝子、宮口精二、中北千枝子、三浦光子、千石規子、坂本武、志村喬
(121分・35mm・白黒)

杏っ子(58東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)室生犀星(脚本)田中澄江、成瀬巳喜男(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)斎藤一郎
(出演)香川京子、木村功、山村聰、小林桂樹、三井美奈、加東大介、千秋実、太刀川洋一、佐原健二、夏川靜江、中村伸郎、藤木悠、中北千枝子
(109分・35mm・白黒)

鰯雲(58東宝)
(監督)成瀬巳喜男(原作)和田傳(脚本)橋本忍(撮影)玉井正夫(美術)中古智・園眞(音楽)齋藤一郎
(出演)淡島千景、新珠三千代、司葉子、木村功、小林桂樹、水野久美、加東大介、中村鴈治郎、杉村春子、清川虹子、飯田蝶子、大塚国夫、太刀川洋一、長岡輝子
(129分・35mm・カラー)

コタンの口笛(59東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)石森延男(脚本)橋本忍(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)伊福部昭
(出演)久保賢、幸田良子、森雅之、宝田明、久保明、水野久美、志村喬、山茶花究、土屋嘉男、中北千枝子
(126分・35mm・カラー)

女が階段を上る時(60東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)菊島隆三(撮影)玉井正夫(美術)中古智(音楽)黛敏郎
(出演)髙峰秀子、森雅之、団令子、仲代達矢、加東大介、中村鴈治郎、小沢栄太郎、淡路惠子、山茶花究、多々良純、藤木悠、織田政雄、三津田健、細川ちか子、沢村貞子
(111分・35mm・白黒)

娘・妻・母(60東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)井手俊郎、松山善三(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)斎藤一郎
(出演)原節子、髙峰秀子、宝田明、小泉博、仲代達矢、三益愛子、森雅之、団令子、草笛光子、淡路恵子、加東大介、上原謙、杉村春子、笠智衆
(122分・35mm・カラー)

夜の流れ(60東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (共同監督)川島雄三(脚本)井手俊郎・松山善三(撮影)安本淳・飯村正(美術)松山崇・北辰雄(音楽)斉藤一郎
(出演)司葉子、山田五十鈴、宝田明、三橋達也、白川由美、水谷良重、草笛光子、三益愛子、越路吹雪、志村喬、星由里子、横山道代、岡田真澄、中丸忠雄、村上冬樹
(111分・35mm・カラー)

秋立ちぬ(60東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)笠原良三(撮影)安本淳(美術)北辰雄(音楽)齋藤一郎
(出演)乙羽信子、夏木陽介、原知佐子、加東大介、河津清三郎、大澤健三郎、一木双葉、藤原釜足、賀原夏子、菅井きん
(79分・35mm・白黒)

妻として女として(61東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)井手俊郎、松山善三(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)斎藤一郎
(出演)髙峰秀子、淡島千景、森雅之、仲代達矢、星由里子、水野久美、淡路惠子、飯田蝶子、丹阿弥谷津子
(106分・35mm・カラー)

女の座(62東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)井手俊郎、松山善三(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)斎藤一郎
(出演)高峰秀子、司葉子、星由里子、団令子、淡路恵子、草笛光子、笠智衆、宝田明、三橋達也、小林桂樹、杉村春子、丹阿弥谷津子、三益愛子、夏木陽介、加東大介
(111分・35mm・白黒)

放浪記(62宝塚映画)
(監督)成瀬巳喜男(原作)林芙美子、菊田一夫(脚本)井手俊郎、田中澄江(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)古関裕爾
(出演)高峰秀子、田中絹代、宝田明、加東大介、小林桂樹、草笛光子、仲谷昇、伊藤雄之助、多々良純、織田政雄、加藤武、飯田蝶子
(123分・35mm・白黒)

女の歴史(63東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)笠原良三(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)斉藤一郎
(出演)高峰秀子、仲代達矢、宝田明、星由里子、山崎努、賀原夏子、淡路恵子、草笛光子、加東大介、藤原釜足、堺左千夫、中北千枝子、清水元
(126分・35mm・白黒)

乱れる(64東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)松山善三(撮影)安本淳(美術)中古智(音楽)斉藤一郎
(出演)高峰秀子、加山雄三、草笛光子、白川由美、浜美枝、三益愛子、藤木悠、北村和夫、十朱久雄、浦辺粂子、柳谷寛、佐田豊、中山豊、矢吹寿子、中北千枝子
(98分・35mm・白黒)

女の中にいる他人(66東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (原作)エドワード・アタイヤ(脚本)井手俊郎(撮影)福沢康道(美術)中古智(音楽)林光
(出演)小林桂樹、新珠三千代、三橋達也、草笛光子、若林映子、長岡輝子、加東大介、藤木悠、十朱久雄、稲葉義男、関千恵子
(102分・35mm・白黒)

ひき逃げ(66東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)松山善三(撮影)西垣六郎(美術)中古智(音楽)佐藤勝
(出演)高峰秀子、司葉子、小沢栄太郎、加東大介、中山仁、黒沢年男、賀原夏子、浦辺粂子、稲葉義男、加藤武、土屋嘉男
(94分・35mm・白黒)

乱れ雲 (67東宝)
(監督)成瀬巳喜男 (脚本)山田信夫(撮影)逢沢譲(美術)中古智(音楽)武滿徹
(出演)加山雄三、司葉子、草笛光子、森光子、浜美枝、加東大介、土屋嘉男、藤木悠、中丸忠雄、中村伸郎、村上冬樹
(108分・35mm・カラー)

以上、チェック用リストを整理して、今度こそ虱潰しに成瀬監督の繊細な世界を堪能しまくろうと思っています。(一応決意宣言)
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by sentence2307 | 2005-09-03 11:12 | 映画 | Comments(123)

好人物の夫婦

雄鶏さんの言葉に触発されて、小津監督の突き放したような独特の女性観について、「風の中の雌鶏」をベースにしながら書いているうちに、唐突ですが、実はある映画のことを同時に考えていました。

千葉泰樹監督が1956年に東宝で撮った「好人物の夫婦」という本当に奇妙な作品です。

これは、実に不思議な雰囲気を持った作品でした。

冒頭、池辺良演じる若い夫と、津島恵子演じる若い妻が、男性の放埓な性欲のことについて二人きりの部屋で静かに話し合っている場面から、この映画は始まります。

「あなたが一人で旅行に出たら、きっと商売女を買うに違いないわ。あなたは自分の欲望を我慢できるような人ではないもの」と若い妻が夫に疑いの問いを向けると、若い夫の方も「目の前にイイ女がいたら、性欲を抑える自信は俺にはないね」と答えます。

このセリフを聞いたとき、以前これに似たニュアンスの言葉を同じ職場の若い女性から聞かされたことがあったのを思い出しました。

まるで男の性欲が、飼い慣らすことの出来ない凶暴な野獣のように思っているその言葉には、同時に、性に未経験な彼女たちの願望的妄想をも込められているような印象を感じました。

残念ながら、きっと男の性はもっと繊細で儚く弱弱しいものにすぎず、性的妄想に恐れオノノイテ胸ときめかせている若い彼女たちを満足させるだけのものがあるかどうか、むしろ無残な失望を味あわせるだけのものなのかもしれません。

それはちょうど、男たちの欲望が思い描いている異性へのメンタルな憧憬を、現代の女性たちが応えるだけのものを既に失ってしまっていることとどこかで繋がっているという深刻かつ絶妙なバランスのうえで、今日の男女関係が成り立っているからなのかもしれませんしね。

さて、冒頭のセリフ「あなたが一人で旅行に出たら、きっと商売女を買うに違いないわ。あなたは自分の欲望を我慢できるような人ではないもの」と「目の前にイイ女がいたら、性欲を抑える自信は俺にはないね」というセリフが、この物語の重要な伏線となって、後半部で、妻の留守中にお手伝いさんが孕んだ事件をめぐる夫婦間のどろどろの疑心暗鬼が、繊細な心理的駆け引きとして描かれながら事態が進行するわけなのですが、しかし、次第に話しが謎解きめいてくると一転してこの映画はその魅力をすっかり失ってしまう事態にオチイリます。

きっと、あの夫婦のセリフは「伏線」などではなく、それはまさに、夫婦の寝屋におけるSEX前の隠微な睦言以上のなにものでもなかったからだと思います。

若い夫は、妻の嫉妬を煽るように浮気をほのめかす言葉を吐いてじらし、妻も夫の言葉によって嫉妬という性欲を煽られて夫にすがりついていくといった、まあある意味ではこれ以上ない繊細な演技の果てに、闇の中で密かに交わされる夫婦の濃厚なSEXが暗示されるという、ただそれだけの(それ以上の話は必要なかったし、またそれで十分だった)映画たったのだと思います。

さて、この作品の原作が志賀直哉だったのを、作品を見た後に知りました。なるほど、そのネチネチがいやに洗練されていて、結局魅せられた形になってしまったのは、そういうことだったのか、という納得した思いが残りました。

もうかなり以前から僕の中に小津安二郎→志賀直哉という線がひかれています。

とっさの印象で「好人物の夫婦」→「風の中の雌鶏」へと連鎖的にイメージが流れたとしても、あながち僕的にはそれほどの飛躍というわけではないのですが、きっと「風の中の雌鶏」を、「夫婦の寝屋におけるSEX前の前技的な睦言映画」などといったら、大方の小津作品ファンからはキツイお叱りを受けることとなるでしょうね。

(56東宝)監督・千葉泰樹、製作・佐藤一郎、原作・志賀直哉、脚色・八住利雄、撮影・山田一夫、音楽・伊福部昭、美術・中古智、録音・藤好昌生、照明・大沼正喜、
キャスト:池部良、津島恵子、中北千枝子、青山京子、有島一郎、石原忠、東郷晴子、市川かつじ、滝花久子、山田彰、立花満枝
5巻 1,369m 白黒 50分、1956.9.11
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by sentence2307 | 2005-09-01 00:28 | 映画 | Comments(1)