世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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あと1時間ほどで、いよいよ第78回アカデミー賞ノミネーションの発表がありますよね。

ドキドキしながら待っています。

いろいろなところで直前予想がされているので、僕も考えてみたのですが、もうあまり時間がないので、オスカー予想サイト「AND THE WINNER IS」からちょっと予想を拝借して貼り付けさせて貰います。

前哨戦の結果を重要なものからランクをつけて考えると、同じような結果になるのかもしれませんね。

ちなみに、僕があっとランダムに挙げた作品賞候補(この中から絞り込もうと思っていました)は、ブロークバック・マウンテン、グッドナイト&グッドラック、クラッシュ、ウォーク・ザ・ライン/君につづく道、ミュンヘン、カポーティ、ヒストリー・オブ・バイオレンス、The Constant Gardener、キング・コング、シンデレラマン、プライドと偏見、シリアナ、といったところでした。

さて、どうなることやら、ホント楽しみです。


★BEST PICTURE
1. Brokeback Mountain
2. The Constant Gardener
3. Crash
4. Good Night, and Good Luck
5. Walk the Line
ALTERNATE Capote
POTENTIAL SHOCKER Cinderella Man
DESERVES TO BE HERE The Squid and the Whale

★BEST DIRECTOR
1. George Clooney (Good Night, and Good Luck)
2. Paul Haggis (Crash)
3. Ang Lee (Brokeback Mountain)
4. Fernando Meirelles (The Constant Gardener)
5. Steven Spielberg (Munich)
ALTERNATE Bennett Miller (Capote)
POTENTIAL SHOCKER Woody Allen (Match Point)
DESERVES TO BE HERE Peter Jackson (King Kong)

★BEST ACTOR
1. Russell Crowe (Cinderella Man)
2. Philip Seymour Hoffman (Capote)
3. Heath Ledger (Brokeback Mountain)
4. Joaquin Phoenix (Walk the Line)
5. David Strathairn (Good Night, and Good Luck)
ALTERNATE Terrence Howard (Hustle and Flow)
POTENTIAL SHOCKER Ralph Fiennes (The Constant Gardener)
DESERVES TO BE HERE Jeff Daniels (The Squid and the Whale)

★BEST ACTRESS
1. Judi Dench (Mrs. Henderson Presents)
2. Felicity Huffman (Transamerica)
3. Keira Knightley (Pride and Prejudice)
4. Charlize Theron (North Country)
5. Reese Witherspoon (Walk the Line)
ALTERNATE Ziyi Zhang (Memoirs of a Geisha)
POTENTIAL SHOCKER Juliette Binoche (Cache)
DESERVES TO BE HERE Joan Allen (The Upside of Anger)

★BEST SUPPORTING ACTOR
1. George Clooney (Syriana)
2. Matt Dillon (Crash)
3. Paul Giamatti (Cinderella Man)
4. Jake Gyllenhaal (Brokeback Mountain)
5. Terrence Howard (Crash)
ALTERNATE William Hurt (A History of Violence)
POTENTIAL SHOCKER Clifton Collins, Jr. (Capote)
DESERVES TO BE HERE Kevin Costner (The Upside of Anger)

★BEST SUPPORTING ACTRESS
1. Amy Adams (Junebug)
2. Scarlett Johansson (Match Point)
3. Catherine Keener (Capote)
4. Rachel Weisz (The Constant Gardener)
5. Michelle Williams (Brokeback Mountain)
ALTERNATE Frances McDormand (North Country)
POTENTIAL SHOCKER Thandie Newton (Crash)
DESERVES TO BE HERE Maria Bello (A History of Violence)

★BEST ORIGINAL SCREENPLAY
1. Cinderella Man
2. Crash
3. Good Night, and Good Luck
4. Match Point
5. The Squid and the Whale
ALTERNATE The 40 Year Old Virgin

★BEST ADAPTED ORIGINAL SCREENPLAY
1. Brokeback Mountain
2. Capote
3. The Constant Gardener
4. A History of Violence
5. Munich
ALTERNATE Shopgirl
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by sentence2307 | 2006-01-31 21:08 | 映画 | Comments(77)
セザール賞はともかく、アカデミー賞に直結、絶大な影響を及ぼすといわれている全米製作者組合賞PGA、全米監督組合賞DGA、全米映画俳優組合賞SAGの各賞が、ついに出揃いました。

全米製作者組合賞PGA作品賞が、やっぱ「ブロークバック・マウンテン」、ですから全米監督組合賞DGA監督賞もアン・リー、だから、というわけでもないのでしょうが、全米映画俳優組合賞SAG主演男優賞は、一騎打ちの下馬評を覆して一人勝ちの感のある噂どおりのフィリップ・シーモア・ホフマン(カポーティ)と、主演女優賞は、そうだよね~のリース・ウィザースプーン(ウォーク・ザ・ライン 君につづく道)、助演男優賞は、ポール・ジアマッティ(シンデレラマン)、助演女優賞は、レイチェル・ワイズ(The Constant Gardener)、アンサンブル演技賞が「クラッシュ」でした。

作品賞の「ブロークバック・マウンテン」は、独走してきた前哨戦の勢いのままこの最重要賞もすんなり受賞した感じがします。

これで、オスカーも99パーセント手中に納めたといっていいと思います。

アニメーション映画賞は、「ウォレスとグルミット」が受賞しました。

評価の高かった「ティム・バートンのコープス・ブライド」との差が僅少とのことだったのに、いざ蓋を開けてみれば独り勝ちでした。

こうなれば、こちらもオスカー受賞は確実と見られています。

監督賞も一応予想通りにアン・リーが受賞しました。

過去にこの監督組合賞を受賞した監督は、全部で57人おり、そのうち51人がオスカーを受賞しています。

なんと90パーセントという絶対的な高確率ですが、しかし、オスカーを逃したという不運な6人のうちの1人がアン・リー本人(00年の「グリーン・デスティニー」で組合賞を受賞しながら、オスカーでは「トラフィック」のスティーブン・ソダーバーグ」に持っていかれてしまいました)という嫌なデータも残されています。

アカデミーは、今回も遙か東洋の地からやって来た黄色い肌をした天才監督を敬遠するのかどうか、要注目です。

ドキュメンタリー部門でも、これまた異端のヴェルナー・ヘルツォークが受賞です。

対象作の「Grizzly Man」が長編ドキュメンタリー部門の第1次選考で落選するという選出システムそのものの不備が生み出した不可解な黒い霧事件によってオスカー受賞の資格を失ったヘルツォークへ組合賞を授与することで、選出システムそのものを問う姿勢というか、明確に言えば非難が、これによってますます高まりそうな様相です。

主演男優賞はゴールデン・グローブ賞を受賞したフィリップ・シーモア・ホフマンに決定。

ヒース・レジャーとのデッドヒートで、首ひとつリードしたかたちになりました。

個人的には、オスカーを受賞させてあげたい俳優です。

主演女優賞は、順当にリース・ウィザースプーンが受賞しました。

ゴールデン・グローブ賞に続いての受賞でオスカー受賞も射程距離に入った感じですね。

猛追を見せているゴールデン・グローブ賞ドラマ部門受賞のフェリシティ・ハフマンが、どこまで届くか注目ですが、客観的には随分水をあけられたという印象です。

ゴールデン・グローブ賞では想定外の受賞といわれた両助演賞でしたが、助演男優賞は本命のポール・ジアマッティが受賞したものの、助演女優賞はやはりレイチェル・ワイズ。

しかし、印象としては、まだまだ本命不在の感じが拭えません。

アンサンブル演技賞は「クラッシュ」が受賞しました。


製作者組合賞

★作品賞
◎ブロークバック・マウンテン (フォーカス・フィーチャーズ)
カポーティ (ソニー・クラシックス)
クラッシュ (ライオンズゲート)
グッドナイト&グッドラック (ワーナー・インディペンデント)
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (20世紀FOX)

★アニメーション映画賞
◎ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ! (ドリーム・ワークス)
チキン・リトル (ブエナ・ビスタ)
マダガスカル (ドリーム・ワークス)
ロボッツ (20世紀FOX)
ティム・バートンのコープスブライド (ワーナー・ブラザース)


監督組合賞

★監督賞
◎アン・リー (ブロークバック・マウンテン)
ジョージ・クルーニー (グッドナイト&グッドラック)
ポール・ハギス (クラッシュ)
ベネット・ミラー (カポーティ)
スティーヴン・スピルバーグ (ミュンヘン)

★監督賞 (ドキュメンタリー部門)
◎ヴェルナー・ヘルツォーク (Grizzly Man)
キーフ・デヴィッドソン、リチャード・ラドカニ (The Devil's Miner)
ショーン・マカリスター (The Liberace of Baghdad)
ルパート・マーレイ (Unknown White Male)
ブレント・レナウド、クレイグ・レナウド (Off to War: Welcome to Baghdad)


俳優組合賞

★主演男優賞
◎フィリップ・シーモア・ホフマン (カポーティ)
ラッセル・クロウ (シンデレラマン)
ヒース・レジャー (ブロークバック・マウンテン)
ホアキン・フェニックス (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
デヴィッド・ストラザーン (グッドナイト&グッドラック)

★主演女優賞
◎リース・ウィザースプーン (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
ジュディ・デンチ (Mrs.Henderson Presents)
フェリシティ・ハフマン (Transamerica)
シャーリーズ・セロン (スタンドアップ)
チャン・ツィイー (SAYURI)

★助演男優賞
◎ポール・ジアマッティ (シンデレラマン)
ドン・チードル (クラッシュ)
ジョージ・クルーニー (シリアナ)
マット・ディロン (クラッシュ)
ジェイク・ギレンホール (ブロークバック・マウンテン)

★助演女優賞
◎レイチェル・ワイズ (The Constant Gardener)
エイミー・アダムス (Junebug)
キャスリーン・キーナー (カポーティ)
フランシス・マクドーマンド (スタンドアップ)
ミシェル・ウィリアムス (ブロークバック・マウンテン)

★アンサンブル演技賞
◎クラッシュ
ブロークバック・マウンテン
カポーティ
グッドナイト&グッドラック
Hustle & Flow
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by sentence2307 | 2006-01-30 22:31 | 映画 | Comments(0)

セザール賞

フランス映画界のオスカーといわれるセザール賞のノミネーションが発表されています。

しかし、この賞がアカデミー賞に影響するものがあるかといえば、全然ないと言い切るしかありません。

一説では、権威主義を嫌うフランス映画人が、とっくの昔にそっぽを向いてしまっているなんて話もよく聞きます。

僕なんかの世代では、フランスといえば、とにかく「自由」とか「芸術性」とかをつい連想してしまうのですが、しかし、去年の移民の暴動や、それに対する徹底した弾圧なんかを見ていると、あれって捻じれの入った「自由」→コチコチの保守主義があっての特権的な一部の「芸術性」にすぎなかったんだなあって、つくづく感じました。

トリュフォーが終生もっていたあの独特な孤独の影の意味が、なんとなく分かるような気がします。

私見なのですが、フランス映画が一頃の隆盛を失ったのは、あの独特の叙情性が一部の特権階級の感性そのものだったからではないかと思えてきました。

そういえばむかしジュリアン・デュビビエが大嫌いな友人がいて、いつも「デュビビエは、鼻持ちならない」といっていた意味がその頃はさっぱり分からなかったのですが、いまなら何となく分かるような気がします。

まあ、最近は、フランス映画の情報も少なくなっている折から、このノミネーションをひとつの情報としてチェックしておくのもいいかもしれません。

このラインナップを見て評価を受けている作品を上げていくと、まずジャック・オディアール監督の「真夜中のピアニスト」、そしてアカデミー賞外国語映画部門のフランス代表に選出された「戦場のアリア」(計6部門)、カンヌ映画祭パルムドール受賞の「ある子供」(計4部門)などが目に付きます。

カンヌ映画祭で監督賞受賞のミヒャエル・ハネケ「隠された記憶」が主要4部門でノミネートされていますが、皮肉なことに作品賞には名前が見当たりません。

そして、高い評価を受け、そして記録的な興行収入をあげた「皇帝ペンギン」が4部門でノミネートされ、技術部門でも手堅く評価されているあたりが、この作品の底力となってアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補を目指す力強いアピールとなっています。

注目の外国語映画賞ノミネート作は、フランスらしく「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と「Match Point」。

★作品賞
真夜中のピアニスト (監督:ジャック・オディアール)
戦場のアリア (監督:クリスチャン・カリオン)
Le Petit lieutenant (監督:グザヴィエ・ボーヴォワ)
ある子供 (監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)
Va, vis et deviens (Radu Mihaileanu)

★監督賞
ミヒャエル・ハネケ (隠された記憶)
ジャック・オディアール (真夜中のピアニスト)
グザヴィエ・ボーヴォワ (Le Petit lieutenant)
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ (ある子供)
Radu Mihaileanu (Va, vis et deviens)

★主演男優賞
ロマン・デュリス (真夜中のピアニスト)
ブノワ・ポールヴールド (Entre ses mains)
パトリック・シェネ (Je ne suis pas là pour être aime)
ジョゼ・ガルシア (Le Couperet) (This is Costa Gavras' film)
ミシェル・ブーケ (Le Promeneur du champ de Mars) (The Last Mitterand)

★主演女優賞
イザベル・カレ (Entre ses mains)
イザベル・ユペール (Gabrielle)
アン・コンシニュイ (Je ne suis pas là pour être aime)
ナタリー・バイ(Le Petit lieutenant)
ヴァレリー・ルメルシェ (Palais royal !)

★助演男優賞
Maurice Benichou (隠された記憶)
ニールス・アルストラップ (真夜中のピアニスト)
ジョージ・ウィルソン (Je ne suis pas là pour être aime)
ダニー・ブーン (戦場のアリア)
ロシュディ・ゼム (Le Petit lieutenant)

★助演女優賞
ノエミ・ルボフスキー (Backstage)
シャーロット・ランプリング (Lemming)
セシル・ドゥ・フランス (Les Poupees russes)
ケリー・らいりー (Les Poupees russes)
カトリーヌ・ドヌーヴ (Palais royal !)

★脚本賞
ミヒャエル・ハネケ (隠された記憶)
クリスチャン・カリオン (戦場のアリア)
グザヴィエ・ボーヴォワ他 (Le Petit lieutenant)
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ (ある子供)
Alain-Michel Blanc、Radu Mihaileanu (Va, vis et deviens)

★脚色賞
ジャック・オディアール他 (真夜中のピアニスト)
ジュリアン・ボイヴェント他 (Entre ses mains)
パトリス・シェロー他 (Gabrielle)
コスタ・ガブラス他 (Le Couperet)
ジル・トーラン他 (Le Promeneur du champ de Mars)

★新人男優賞
Walid Afkir (隠された記憶)
Louis Garrel (Les Amants reguliers)
Gilles Lellouche (Ma vie en l'air)
Aymen Saïdi (Saint-Jacques... La Mecque)
Adrien Jolivet (Zim and co.)

★新人女優賞
Linh-Dan Pham (真夜中のピアニスト)
Melanie Doutey (Il ne faut jurer de rien !)
Fanny Valette (La Petite Jerusalem)
Deborah François (ある子供)
Marina Hands (Les Ames grises)

★デビュー作品賞
Anthony Zimmer (Jerôme Salle)
Douches froides (Antony Cordier) (Cold Showers)
皇帝ペンギン (監督:リュック・ジャケ)
La Petite Jerusalem (Karin Albou)
ダーウィンの悪夢 (監督:ユペール・ソーパー)

★作曲賞
真夜中のピアニスト (Alexandre Desplat) (for falloutgirl!)
戦場のアリア (Philippe Rombi)
皇帝ペンギン (Emilie Simon) This is the French Score for March of the Penguins, not the US one (I don't know about other countries though...)
Va, vis et deviens (Armand Amar)

★撮影賞
真夜中のピアニスト (Stephane Fontaine)
Gabrielle (Eric Gautier)
Les Amants reguliers (Willy Lubtchansky) (Regular Lovers)

★編集賞
真夜中のピアニスト (Juliette Welfling)
皇帝ペンギン (Sabine Emiliani) (March of the Penguins)
Les Poupees russes (Francine Sandberg)

★美術賞
Gabrielle (Olivier Radot)
戦場のアリア (Jean-Michel Simonet)
Les Ames grises (Loula Morin)

★衣装デザイン賞
Gabrielle (Caroline de Vivaise)
戦場のアリア (Alison Forbes-Meyler)
Les Ames grises (Pascaline Chavanne)

★録音賞
真夜中のピアニスト (Cyril Holtz, Brigitte Taillandier, Pascal Villard, Philippe Amouroux)
Gabrielle (Olivier Dô Hùu, Benoît Hillebrant, Guillaume Sciama)
皇帝ペンギン (Gerard Lamps, Laurent Quaglio) (March of the Penguins)

★外国語映画賞
ヒストリー・オブ・バイオレンス (監督:デヴィッド・クローネンバーグ)
海を飛ぶ夢 (監督:アレハンドロ・アメナバール)
Match Point (監督:ウディ・アレン)
ミリオンダラー・ベイビー (監督:クリント・イーストウッド)
Tu marcheras sur l'eau (監督:Eytan Fox)

★短編賞
After Shave, Beyrouth après-rasage (Hany Tamba)
La Peur, petit chasseur (Laurent Achard)
Obras (Hendrick Dussollier)
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by sentence2307 | 2006-01-30 20:48 | 映画 | Comments(0)

三等重役

この「三等重役」は、僕としては去年初めて見た映画だったのですが、そういえば森繁が社長役じゃない映画を見たのは、これが初めての作品だったと思います。

それに、この映画のシチュエーションについてある先入観がありました。

以前読んだ解説書にこの映画のあらすじが書いてあって、それによると、いよいよ戻ってくるという前社長の長期間にわたる不在の理由というのが、たしか「病気療養」だったとされていたと記憶していたので、実際にこの映画を見て、その復帰の理由が公職追放の解除のためと知り、とても驚いたことを覚えています。

戦中の会社経営者たちが、進駐してきたGHQによって戦争責任を問われ、会社を追われたその後釜として、株を保有してないヒラの社員が急遽重役に登用されるという背景がこの映画にはあったんですね。

そこには、身分の違いを超えて誰もが平等に出世するチャンスがあるというアメリカ型の手放しの楽観的な民主主義の考え方に対する日本人の本音が、追放解除に怯える「三等重役」のなかに切実に描かれていると感じました。

しかし、追放解除というテーマ自体、まさに戦争に直結していた「時代」を感じさせる、随分と生々しい理由だったわけですよね。

こういう映画についてあれこれと考える場合、僕たちは、つい東宝映画として親しんできた後年のノンシャランな「社長シリーズ」をもとにして、つまり日本の安定期から逆行して動乱の時代を考えてしまうという倒錯を犯してしまうことで、どうしてもその視点に限界を作ってしまうらしく、日本人の戦争観や戦争加担について見失ってしまう陰の部分というものがあることに今回はじめて気が付きました。

その契機となったのが、やはり「公職追放の解除」というものものしい言葉です。

この映画は、大物社長が追放の解除によって、いよいよ帰ってくるらしいということを知った重役連中はじめ、真の社長不在のために結構暢気にやっていた会社員たちが大騒ぎになるという喜劇映画です。

ここまで考えてきて、はじめてこの映画の「三等重役」というタイトルの意味が分かりました。

不在の大物社長の復帰の報を聞いて、恐慌を来たすという描かれ方をしているみっともない現役の重役たちが「三等」なのは、公職追放されていた大物社長という、今も皆から一目も二目も置かれている先代の社長こそが「一等」なのだという認識が根本にあるからですよね。

戦後民主主義社会を生きる者たちが、すべからく「三等」にすぎないのは、いまここにはいない追放者たちこそが「一等」だというメッセージがあってのことで、さらにそこには、「戦争に負けたのだから、禊のためにもここは致し方なく一応アメリカさんの言うことをきくしかないが、戦前と同じようにあの社長さんの偉さに変わりないのだ」という認識があって、映画「三等重役」の世界が成り立っているのだと思います。

彼らは「一流」の人物の復帰に怯えながらも、同時に待ってもいるのではないか、という感じを持ちました。

「青い山脈」を生み出したもう片方で、こうした映画もまた作られたことに大変心惹かれます。

そこに日本人の、建前と本音の器用な使い分けを見るとともに、日本人の根深いところに存在している「あるもの」(共同幻想、とでもいうべきかもしれませんが)を実感しました。

例えば丸谷才一の小説に「笹まくら」という作品があります。

戦時中、徴兵を拒んで全国各地を逃げ回り、ついに戦争に行くことなく終戦を向かえた男、しかし、彼は徴兵忌避者という隠された烙印を背負って日本の戦後社会を苦渋と煩悶と疎外感のなかで生きねばならなかったという孤独な男の物語です。

戦後の民主主義社会にあって、徴兵忌避の男は、あの無謀な侵略戦争を拒否した反戦を貫いた男として、表面的には(アメリカ的な民主主義の観点からなら)、社交辞令的な賛辞を受けるわけですが、しかし、実際の日本の社会のなかにあっては、いたる所で裏切り者として暗に阻害され、精神的には自分が居る場所のないことを実感させられます。

至る所で多くの日本人から「兵士たち(父や兄弟)は、たとえあの戦争が間違っていたにせよ、日本のために戦って死んだのだ。なんなんだあんたは、多くの同胞が死を賭けて戦っていた時に、卑怯にもこそこそ逃げ回っていた臆病な裏切り者のくせに。」という暗黙の罵声を浴びせられます。

ここには、民主主義というイデオロギーでは到底届かない別の観念で動いている強固な共同体・裏切り者は立ち入らせない日本が見えています。

小泉首相が、靖国神社で参拝している当の「御霊」が、徴兵忌避者や戦争忌避者たちに向けられてないことだけは明らかです。

むしろ、公職追放され、もうすぐ帰ってくるという先代の社長さんたちであることくらいは、大方見当がついていますが・・・。

(52東宝)製作・藤本真澄、監督・春原政久、監督助手・筧正典、脚本山本嘉次郎 井手俊郎、原作・源氏鶏太、撮影・玉井正夫、音楽・松井八郎、美術・北川恵笥、録音・下永尚、照明・大沼正喜、製作主任・金巻博司、
出演・小川虎之助、三好栄子、関千恵子、河村黎吉、沢村貞子、井上大助、森繁久彌、千石規子、小林桂樹、島秋子、大泉滉、木匠久美子、清水一郎、荒木道子、村上冬樹、高堂国典、城正彦、音羽久米子、坪内美子、進藤英太郎、岡村文子、藤間紫、小野文春、越路吹雪、野田幸信、清川玉枝
1952.05.29 10巻 2,691m 白黒

《参考》
森繁久彌
1913年5月4日、大阪府枚方市に生まれる。早稲田大学演劇研究部で活躍しつつ日劇舞台課に勤務。大学中退後東宝歌舞伎、古川 禄波一座の下積み劇団員をへて、1937年退団。1939年NHKアナウンサー試験を受験し合格。入社後、満州(=現中国東北部)新京放送局に赴任。現地文化を伝えるドキュメンタリー収録に大陸を駆けめぐり、敗戦まで中国で過ごす。1946年引き揚げ後、軽演劇・新宿ムーランルージュでの洒脱な演技で脚光を浴び、1947年衣笠貞之助監督の『女優』の端役で映画デビュー。50年からはNHKラジオの人気番組「愉快な仲間」にレギュラー出演。映画では『腰抜け二刀流』50で初主演。『三等重役』52が高く評価され、喜劇俳優としての人気を不動のものにし、60年代には日本映画のドル箱であった《社長シリーズ》、《駅前シリーズ》で黄金期を創った。いっぽう『夫婦善哉』55、『警察日記』55、『猫と庄造と二人のをんな』56、『青べか物語』62、『恍惚の人』72など、完成度の高い名演技を通じ俳優としての地位と名声を確立する。出演作品は300本を超える。テレビは本放送が始まった1953年、早くも『生と死の15分間』(NTV)に出演。『七人の孫』64~/TBS、『だいこんの花』70~/NETなどで、ホームドラマの定型を築く。戦後ムーランルージュ『にしん場』『蛇(ながむし)』で始まった舞台への情熱も変わることなく、『モルガンお雪』、『佐渡島他吉の生涯』、『孤愁の岸』、1967年から始まった『屋根の上のヴァイオリン弾き』は20年にわたり、上演回数は900回に及んだ。朗読は、ラジオ『日曜名作座』を1957年以来今日まで続けるなど、心血を注いだ仕事のひとつ。CDにも、昔話を語った『21世紀の孫たちへ』(エイベックス)、13万枚のヒットとなった『葉っぱのフレディ』(東芝EMI)がある。1983年都民栄誉文化賞、84年文化功労者、'87年勲二等瑞宝章、'91年文化勲章を受ける。
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by sentence2307 | 2006-01-28 08:54 | 映画 | Comments(0)

アレキサンダー

別段、一向に構わないんです、おかま映画であろうと、なんであろうと。

なにしろこちらは、どんな映画でも好き嫌い無く一応は見てしまおうという褒め倒しのスタンスで待ち構えているのですから、やけっぱちに聞こえるかもしれませんが、「なんでも来い」みたいな心境で映画を見ることにしています。

しかし、こういうのだけはやめて欲しいです、こんな気宇壮大な制作費を掛けてまで、かのアレキサンダーが、その辺にいるマザコン息子と同じなのだ、みたいに証明してみせて、得意げにひとり悦にいっているようなひとりよがりな映画を作るのは。

なにもこんな大げさな映画にしなくとも、もっとシンプルな描きようが幾らでもあったのではないかという気がします。

シリアスな物語を作ろうとすると、どうしてこういう理由づけの方向へ走ってしまうのか不思議でなりません。

深層心理を繋ぎ合わせることで何もかもを理解しようとすると、こんなグロテスクな映画ができてしまうという見本みたいな映画ですよね、これって。

それは確かに古い時代にだって、母親の過干渉のために当然発達すべき異性への関心が発育不全になって歪められ、その結果同性にしか関心がなくなってしまうというような人もきっとあったとは思います。

ギリシャ悲劇なんかにも似たようなシチュエーションってありますものね。

でも、この映画を見ていると、アレキサンダーの東方遠征が、まるで小うるさい母親から逃れるために、家に帰りたくない少年がした非行みたいに描かれていて、最後まで疲れっぱなしで見なければなりませんでした。

僕の友人に、仕事のあと真っ直ぐに家に帰るのが嫌で(理由は分かりません)、呑めもしないのに夜遅くまで呑ん兵衛たちと付き合って飲み屋を回っているあの彼とまったく同じだと思いました。

もしそうだったとしたら、征服されて虐殺された東方のアジアの民こそいい迷惑だったとホント思います。

でも、この「彼がこうなったのは、幼い時の痛切な体験が記憶の傷になって残り、大人になった彼をこんなふうにしてしまったのだ」みたいなドラマの安易な作り方は、結構身近でも似たようなものに遭遇することがあります。

NHKの朝ドラ、見るという機会がなかなかないのですか、たまに見た断片を繋ぎ合わせていくと、どうもこんな感じかな、というあらすじが掴めてきます。

頑張り屋の女の子が、世間の荒波に揉まれながら、挫けそうになり、それでも健気に生きて、やがて良き伴侶にめぐり合い「しあわせな結婚をいたしました」→ハッピーエンド、みたいな話が多いように思うのでずが、世の中その「結婚」への幻想と安易な決断があらゆるトラブルの元凶になっていることを真剣に知らせるような警鐘的な朝ドラがあってもいいように思います。

結婚が薔薇色みたいなドラマを無節操に量産するものだから、「しなければいけないもの」とか「すれば必ずしあわせになれる」みたいな誤解を世間にイタズラに流布するのだと思います。

これって一種の害毒ですよね。

「アレキサンダー」で「落ち」をみつけて、きりのいいところで適当に切り上げようと思いながら、だらだら書いてみたのですが、結論からどんどん遠ざかるばかりなので、今日はこのへんで失礼します。

まあ、こういう時もありますよね、というわけで。

(05アメリカ)監督:オリヴァー・ストーン、製作:モリッツ・ボーマン、ジョン・キリク、トーマス・シューリー、イアイン・スミス、オリヴァー・ストーン、製作総指揮:ポール・ラッサム、マティアス・ダイル、ピエール・グルンステイン、脚本:オリヴァー・ストーン、クリストファー・カイル、レータ・カログリディス、撮影:ロドリゴ・プリエト、音楽:ヴァンゲリス

出演:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、アンソニー・ホプキンス、ジャレッド・レトー、ロザリオ・ドーソン、ジョナサン・リス=マイヤーズ、ゲイリー・ストレッチ、クリストファー・プラマー
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by sentence2307 | 2006-01-24 22:36 | 映画 | Comments(1)
製作者組合賞が発表され、気抜けするほどの強さで「ブロークバック・マウンテン」が選出されました。

なにしろ5本中4本がインディ系配給会社作品ということで、去年の華やかさを記憶している人にとっては、今年は随分と地味目で寂しいなんて思っている人もいるかもしれませんが、質的に見たら、果たしてどうなのでしょうか。

あの去年の華やかさを、単にネームバリューのある人たちの総花的なお祭りみたいなものにすぎず、必ずしも実質が伴なっているとは思わなかったなんて辛らつなことを言う人もいたくらいです。

さて、「製作者組合賞」が発表されたので、これからのスケジュールを少し確認しておきましょう。

このあと、既にノミネーションが終わっているその他の各組合賞(監督組合賞が1月28日、俳優組合賞が1月29日)が、アカデミー賞のノミネーション(1月31日)を挟んで順次発表され、2月には入れば、ほとんどその他の組合賞がひとつひとつ発表されていくうちに、またたくまに3月のアカデミー賞の発表を迎えてしまうという感じになります。

ですので、この微妙な時期になされる数々の組合賞の選考は、各賞それぞれ現場で働く者達の独自性が強いという要素を理由にアカデミー賞への影響度がそれほど高くないというのが一般的な通説なのですが、個人的にはそうは思っていません。

同じ苦労を骨身に沁みて知っている現場サイドの同業者の鑑識眼だからこそ、その確かさは信憑性もあり、必ずやアカデミー賞の動向に大きく影響するに違いないと思っています。

なにしろ(以前にも言ったかもしれませんが)各組合賞はアカデミー賞へ投票する人たちと大きくかぶっているので直結度が極めて高いとみるのが当然で、現場以外のアカデミー会員との価値観にそれほどの落差があるとはどうしても考えられません。

映画のプロデューサーたちが同業者を表彰するこのPGAは、過去10年で実に7回もの高確率でアカデミー賞と受賞作品が重なっているというデータもあるくらいです。

製作者組合賞

★作品賞
◎ブロークバック・マウンテン (フォーカス・フィーチャーズ)
カポーティ (ソニー・クラシックス)
クラッシュ (ライオンズゲート)
グッドナイト&グッドラック (ワーナー・インディペンデント)
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (20世紀FOX)

★アニメーション映画賞
◎ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ! (ドリーム・ワークス)
チキン・リトル (ブエナ・ビスタ)
マダガスカル (ドリーム・ワークス)
ロボッツ (20世紀FOX)
ティム・バートンのコープスブライド (ワーナー・ブラザース)
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by sentence2307 | 2006-01-24 00:01 | 映画 | Comments(0)

北の零年

「大泣きした」という感想から「金返せ」まで、実にバラエティに富んだ称賛と非難の幅広い層の評価を集めたこの映画、しかし、これこそがエンターテインメントなのだと思いました。

吉永小百合には、「吉永小百合」しか演じられない役(個性の魅力から演技の限界までのどの辺りを採るかは、きっと各自のこれまでの映画体験と、この女優への思い入れとにゆだねられるべきものと思います)というものが多分あって、観客は、「それ」を認識したうえで映画を見に行くわけですから、それさえ分かっていれば、それで十分だったろうし、いつの時代でも、映画はそのようにして大衆の中で生き続けてきたのだと思います。

しかし、それらのことをすべて納得して、それでも、あえて「金返せ!」という声を発したくなるとすれば、それはどういうことなのだろうと考えました。

話は逸れますが、先週の木曜日に放送した「クイズミリオネア」を見ていて、面白い場面に遭遇しました。

回答者は、あの北村晴男弁護士、あと一問で1000万円獲得=ミリオネアというところまで上り詰めた最後の問題、これが実に素晴らしい問題でした。

「明治の元勲・伊藤博文が首相の時に受け取っていた給料は、今の教員の初任給を基準にした場合、幾らくらいか」という問題です。

たしか答えの選択肢は4つ、450万円、4500万円、4億5000万円、45億円、だったと思います。

問われているのは、きっと給料の格差だけではありません。

この国の揺籃期に特権を独り占めできた為政者たちが金moneyに対して、道義心も含め、どういった距離感をもって接したのかという問題でもあります。

おそらく常識の範囲で最高か、または最低だろうと北村弁護士は推測します。

まず極端な45億円という「あり得ない額」は除外して、あと3つのうちの中間にある額4500万円は回答者の判断を迷わせるために設定しただけの単なるダミーで、つまりこの額にはポリシーがないと出題者の意図を見抜き、北村弁護士は退けています。

まさに、要件事実の再構成というやつですよね。

明治という時代を形作った「彼ら」が、獲得した公的な特権をフルに独占して、ひたすら私腹を肥やすために「最高額」を手にしたのか、あるいは貧弱な日本を欧米に等しく列する強固な国にするために金なんか問題じゃないと、祖国のために身を挺して働いた勤皇の志士の気概と誇りに相応しい意外な「最低額」に甘んじたのか、と考えるわけです。

なにしろこの番組は全国放送です、なにしろ公的な仕事に携わる弁護士という職業にある北村氏です、当然「後者」を(意識的にしろ無意識的にしろ)選択せざるを得なかったかもしれません。

残念ながら僕たちは、金に汚く、権力に貪欲で、日本の動乱期を、狡猾と、そして過剰な性欲を金に飽かせて満たして生きた明治の好色なこの元勲について、あまりにも多くのことを知りすぎているために、むしろ「4億5000万円」という額の方を選択することは、普通ならそれ程困難なことではなかったと思います。

しかし、それでもなお、あえて「450万円」を推理する庶民の「思考のあり方」に、僕はとても惹かれました。

あらゆる歴史的公人が、「誠実でないわけがない」と思い込むほど庶民は愚かではありませんし、だから実際、多少公務に誠実でなくとも、金に汚く権力に貪欲でも、傲慢で好色であったとしても、その「奇麗事の建前」を汚されたくらいで、失望したり悲観するほど庶民は素朴でも純粋でもないはずです。

彼らがそんな奇麗事を信じているかどうかさえ疑わしい。

もっとも、自分もまた手を汚すだけ汚して生きているのだと認識できるだけの誠実さがあればの話ですが・・・。

「北の零年」の描く奇麗事にもっともらしく腹を立てて、あたかも自分が道義をただす審問官ででもあるかのように、堂々と「金を返せ!」と高言できる厚顔無恥さに心の底から呆れ返り、腹立たしい思いから、この駄文を書き始めました。

そして、映画「北の零年」を見て、「大泣き」か「金返せ」のどちらの態度を支持するかといえば、僕は「素直さ」から「ひねくれた」までの遠慮がちな含意に基づく「大泣き」の方を支持します。

意味有り気な薄ら笑いと、見透かすような目配せを交わしながら、「本当は、甘い汁をたっぷり吸って散々いい思いしているんだろう?」と互いに心を通わすあの密かな黙契によって、嘘泣きしてみせる素直さの方に深い親しみを感じるとともに、すべてを知り尽くして、それでもあえて「450万円」を選ぶ成熟を支持したいと思います。

もちろん、この映画に素直に感動して、澄んだ真珠の涙を流す純粋さをこそ、まずは至上のものと支持することを前提にして、と言ったうえでのことですが・・・。

(05東映)監督:行定勲、プロデューサー:角田朝雄、天野和人、冨永理生子、製作プロデューサー:長岡功、多田憲之(北海道統括)、エグゼクティブプロデューサー:早河洋、坂上順、製作総指揮:岡田裕介、坂本眞一、企画:遠藤茂行、木村純一、脚本:那須真知子、撮影:北信康、美術:部谷京子、編集:今井剛、音楽:大島ミチル、VFXプロデューサー:尾上克郎、照明:中村裕樹、製作統括:生田篤、装飾:大庭信正、録音:伊藤裕規、助監督:大野伸介、

出演:吉永小百合(小松原志乃),渡辺謙(小松原英明),豊川悦司(アシリカ),柳葉敏郎(馬宮伝蔵),石田ゆり子(馬宮加代),香川照之(持田倉蔵),石原さとみ(小松原多恵),吹越満(長谷慶一郎),奥貫薫(長谷さと),阿部サダヲ(中野又十郎),金井勇太(川久保平太),大高力也(間宮雄之介),大後寿々花(小松原多恵.少女時代),モロ師岡(窪平),榊英雄(高岡),寺島進(花村完爾),アリステア・ダグラス(エドウィン・ダン),忍成修吾(殿),中原丈雄(内田),田中義剛(友成洋平),馬渕晴子(長谷すえ),大口広司(モノクテ),藤木悠(中野亀次郎),平田満(川久保栄太),鶴田真由(おつる),石橋蓮司(堀部賀兵衛),
168分、2005.1.15
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by sentence2307 | 2006-01-22 17:39 | 映画 | Comments(0)
【イギリス・アカデミー賞】

 イギリスのアカデミー賞といわれているBAFTAのノミネーションが発表されています。

ゴールデン・グローブ賞同様、選考にはイギリス独自のオリジナリティを重んじている(当然ですが)賞なので、この結果にもとづいてアカデミー賞を予想するなどというのではなく、イギリスの映画状況を知るくらいの気持ちで見る方がいいと思います。

パッと見、まず目に付くのは、イギリス映画「The Constant Gardener」が10部門の最多で候補に挙がっていることでしょうか。

主演のレイフ・ファインズとレイチェル・ワイズがそれぞれ主演男優賞と主演女優賞の候補となったうえでの作品賞ということなのですが、しかし、これが唯一作品賞にノミネートされた英国作品というあたりも、とてもイギリス的だと思いました。

そしてオスカー本命作「ブロークバック・マウンテン」が9部門(主演男優賞にヒース・レジャー、助演男優賞にジェイク・ギレンホールが、アン・リー監督は監督賞)、「クラッシュ」も9部門でノミネートされていて、それら作品賞部門の候補がすべてインディ系、それに引き換え「ミュンヘン」「ウォーク・ザ・ライン」などのメジャー作品がOUTとなっていることも面白いなと思いました。

なお、ジョージ・クルーニーが自ら監督を務めた「グッドナイト&グッドラック」が作品賞にノミネートされたほか、この作品と「シリアナ」との両作品で助演男優賞候補になったことや、「グッドナイト&グッドラック」では監督賞と脚本賞の候補にもなっているあたり、イギリスが特別クルーニーに好感を持っているような印象を受けました。

2005年の大ヒット作「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」と「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」が主要部門でノミネートはされなかったというあたりも特徴ですね。

また、いつも思うのですが、特徴といえば、イギリス人は自国の俳優に対してことさら厳しく評価するような印象があります、例えば、キーラ・ナイトレイの落選とか、ボブ・ホスキンスが落選など、とても厳しい。

まさか、シェークスピアを生み出した国だからなんてことは、ないでしょうけれど。授賞式は来月に行われる予定です。

★作品賞
ブロークバック・マウンテン (フォーカス・フィーチャーズ)
カポーティ (ソニー・クラシックス)
The Constant Gardener (フォーカス・フィーチャーズ)
クラッシュ (ライオンズゲート)
グッドナイト&グッドラック (ワーナー・インディペンデント)

★イギリス作品賞
The Constant Gardener (フォーカス・フィーチャーズ)
Festival (Pathé Distribution Ltd.)
プライドと偏見 (ユニバーサル)
Tristram Shandy: A Cock and Bull Story (Picturehouse)
ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ! (ドリームワークス)

★監督賞
ジョージ・クルーニー (グッドナイト&グッドラック)
ポール・ハギス (クラッシュ)
アン・リー (ブロークバック・マウンテン)
フェルナンド・メイレレス (The Constant Gardener)
ベネット・ミラー (カポーティ)

★主演男優賞
レイフ・ファインズ (The Constant Gardener)
フィリップ・シーモア・ホフマン (カポーティ)
ヒース・レジャー (ブロークバック・マウンテン)
ホアキン・フェニックス (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
デヴィッド・ストラザーン (グッドナイト&グッドラック)

★主演女優賞
ジュディ・デンチ (Mrs. Henderson Presents)
シャーリーズ・セロン (スタンドアップ)
レイチェル・ワイズ (The Constant Gardener)
リース・ウィザースプーン (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
チャン・ツィイー (SAYURI)

★助演男優賞
ドン・チードル (クラッシュ)
ジョージ・クルーニー (グッドナイト&グッドラック)
ジョージ・クルーニー (シリアナ)
マット・ディロン (クラッシュ)
ジェイク・ギレンホール (ブロークバック・マウンテン)

★助演女優賞
ブレンダ・ブレッシン (プライドと偏見)
キャサリン・キーナー (カポーティ)
フランシス・マクドーマンド (スタンドアップ)
サンディ・ニュートン (クラッシュ)
ミシェル・ウィリアムス (ブロークバック・マウンテン)

★新人映画人賞
デヴィッド・ベルトン:製作者 (Shooting Dogs)
ピーター・フダコウスキー:製作者 (Tsotsi)
アニー・グリフィン:監督/脚本家 (Festival)
リチャード・ホーキンス:監督 (Everything)
ジョー・ライト:監督 (プライドと偏見)

★脚本賞
アキヴァ・ゴールズマン、クリフ・ホリングワース (シンデレラマン)
ポール・ハギス、ボビー・モレスコ (クラッシュ)
ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ (グッドナイト&グッドラック)
テリー・ジョージ、ケア・ピアソン (ホテル・ルワンダ)
マーティン・シャーマン (Mrs. Henderson Presents)

★脚色賞
ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ (ブロークバック・マウンテン)
ダン・フッターマン (カポーティ)
ジェフリー・ケイン (The Constant Gardener)
ジョシュ・オルソン (ヒストリー・オブ・バイオレンス)
デボラ・モガー (プライドと偏見)

★撮影賞
ロドリゴ・プリエト (ブロークバック・マウンテン)
セザール・シャローン (The Constant Gardener)
ジェームズ・ミューロー (クラッシュ)
ロラン・シャレ、ジェローム・メゾン (皇帝ペンギン)
ディオン・ビーブ (SAYURI)

★編集賞
ジェラルディン・ペローニ、ディラン・ティチェノア (ブロークバック・マウンテン)
クレア・シンプソン (The Constant Gardener)
ヒューズ・ウィンボーン (クラッシュ)
スティーヴン・ミリオン (グッドナイト&グッドラック)
サビーヌ・エミリアーニ (皇帝ペンギン)

★美術賞
ネイサン・クロウリー (バットマン ビギンズ)
アレックス・マクダウェル (チャーリーとチョコレート工場)
スチュアート・クレイグ (ハリー・ポッターと炎のゴブレット)
グラント・メイジャー (キング・コング)
ジョン・マイヤー (SAYURI)

★衣装デザイン賞
ガブリエラ・ペスクッチ (チャーリーとチョコレート工場)
アイシス・マッセンデン (ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女)
コリーン・アトウッド (SAYURI)
ヒューゴ・ルジック・ウィオウスキ (Mrs. Henderson Presents)
サラ・グリーンウッド (プライドと偏見)

★メイキャップ賞
チャーリーとチョコレート工場
ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女
ハリー・ポッターと炎のゴブレット
SAYURI
プライドと偏見

★視覚効果賞
バットマン ビギンズ
チャーリーとチョコレート工場
ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女
ハリー・ポッターと炎のゴブレット
キング・コング

★録音賞
バットマン ビギンズ
The Constant Gardener
クラッシュ
キング・コング
ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

★音楽賞
グスターヴォ・サンタオラヤ (ブロークバック・マウンテン)
アルベルト・イグレシアス (The Constant Gardener)
ジョン・ウィリアムズ (SAYURI)
ジョージ・フェントン (Mrs. Henderson Presents)
T=ボーン・バーネット (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)

★外国語映画賞
真夜中のピアニスト (フランス)
Le grand voyage (ブルガリア)
カンフーハッスル (中国)
戦場のアリア (フランス)
Tsotsi (南アフリカ)

★短編賞(実写)
Antonio's Breakfast
Templemore
Call Register
Heavy Metal Drummer
Heydar, an Afghan in Tehran
Lucky

★短編賞(実写)
Fallen Art
Film Noir
Kamiya's Correspondence
The Mysterious Geographic Explorations of Jasper...
Rabbit

★ライジングスター賞
ガエル・ガルシア・ベルナル
キウェテル・イジョフォー
レイチェル・マクアダムス
ジェームズ・マカヴォイ
ミシェル・ウィリアムス



【Keep these fine performances in mind USA Today】
USA Today誌がオスカー記事Keep these fine performances in mind この名演を忘れるな で、本年度演技部門のコンテンダーの俳優を挙げています。アカデミー会員、現場スタッフ、そしてメディアの考え方に少しずつズレがあることが分かるのですが、LikelyとBut don't forgetで表示分けするのが特徴で、なかなかきめ細かい興味深い記事になっています。

★主演男優賞
《Likely》
ヒース・レジャー (ブロークバック・マウンテン)
フィリップ・シーモア・ホフマン (カポーティ)
ホアキン・フェニックス (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
デヴィッド・ストラザーン(グッドナイト&グッドラック)
ラッセル・クロウ (シンデレラマン)

《But don't forget》
テレンス・ハワード(Hustle & Flow)
ロマン・デュリス(真夜中のピアニスト)
アンソニー・ホプキンス(The World's Fastest Indian)
トミー・リー・ジョーンズ(メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬)
スティーブ・カレル(The 40-Year-Old Virgin)

★主演女優賞
《Likely》
リース・ウィザースプーン (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
フェリシティ・ハフマン (Transamerica)
ジュディ・デンチ (Mrs.Henderson Presents)
ジョアン・アレン (The Upside of Anger)
シャーリーズ・セロン (スタンドアップ)

《But don't forget》
ナオミ・ワッツ (キング・コング)
ジョーン・プロウライト(grandson、Mrs. Palfrey at the Claremont)
ヴェラ・ファーミガ (Down to the Bone)
ジュリエット・ビノシュ(ヒドゥン、綴り字のシーズン)
コニー・ニールセン(Brothers)

★助演男優賞
《Likely》
マット・ディロン(クラッシュ)
ポール・ジアマッティ (シンデレラマン)
ジョージ・クルーニー(シリアナ)
ジェイク・ギレンホール (ブロークバック・マウンテン)
ドン・チードル(クラッシュ)

《But don't forget》
フランク・ランジェラ(グッドナイト&グッドラック)
アレクサンダー・シディグ(シリアナ)
ジョセフ・ゴードン・レヴィット(Mysterious Skin)
リチャード・ジェンキンス(スタンドアップ)
ボリエ・アールステット(Saraband)

★助演女優賞
《Likely》
エイミー・アダムス (Junebug)
ミシェル・ウィリアムス (ブロークバック・マウンテン)
レイチェル・ワイズ (The Constant Gardener)
フランシス・マクドーマンド (スタンドアップ)
キャスリーン・キーナー (カポーティ)

《But don't forget》
ロビン・ライト・ペン(Nine Lives)
ホープ・デイビス(プルーフ・オブ・マイライフ、The Weather Man)
レイチェル・マクアダムス(The Family Stone、Wedding Crashers)
アン・ハサウェイ(ブロークバック・マウンテン)
エミリー・モーティマー(Dearフランキー)
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by sentence2307 | 2006-01-22 11:43 | 映画 | Comments(0)
もし、アカデミー会員が、このゴールデン・グローブ賞の結果を見たとき、どういう反応を示すか想像してみました。

いままでと同じように、反撥し、逆の作用が働くのでしょうか。

ゴールデン・グローブ賞が、ハリウッドの外国人記者クラブによって投票・選出される賞という性格から考えれば、日頃痛切な記事を書かれることの多いアカデミー会員にとって、ハリウッドに批判的な外国人記者クラブの「ミーハー的な評価」に対して、どうしても断固とした距離感を持って排しないわけにいかないにしても、今年評価の集まっている評判の作品をどうするか注目しています。

それにしても、アカデミーがもっとも敬遠してきたあのイワユルホモ映画「ブロークバック・マウンテン」をどうするのか・どうできるのか、斜に構えたゴールデン・グローブ賞なら、きっと、もっとも選びやすかった作品ではあったにしても、しかし、野次馬的とはいえ評価は評価ですので、この最強の作品を、つまり白を黒というわけにはいかないところまでアカデミーは追い詰められているのではないかと思っています。

たとえ結果的に同じ作品や俳優を賞するにしろ、アカデミーの長い歴史にのっとった独自の評価で顕彰しようと意識することは想像にかたくありませんが。

そういう意味でなら、この今年のゴールデン・グローブ賞の評価の重要さは、例年と違ってアカデミー賞に「王手飛車取り」を掛けたようなものだとさえ思えます。

まったく逆に作用するかもしれないという可能性を含めて、他の賞と比べて類のないチカラをもった重要な賞といわれているゆえんですね。

いままでそれを単にアカデミー賞に対して「直結度」が低いという言い方をしてきたのですが、今年の場合、ゴールデン・グローブ賞の作品・監督・脚本・主題歌の4部門を制覇した「ブロークバック・マウンテン」の勢いにアカデミーの選出の基準を揺るがすような脅威を感じさせずにはおきません。

まさか、ゴールデン・グローブ賞と同じ結果がでたとしても、アカデミーの屈服とまでは思いませんが。

作品賞

★ドラマ部門
◎ブロークバック・マウンテン (フォーカス・フィーチャーズ)
The Constant Gardener (フォーカス・フィーチャーズ)
グッドナイト&グッドラック (ワーナー・インディペンデント)
ヒストリー・オブ・バイオレンス (ニューライン)
Match Point (ドリームワークス)

★コメディ・ミュージカル部門
◎ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (20世紀FOX)
Mrs. Henderson Presents (ワインスタイン・カンパニー)
プライドと偏見 (ユニバーサル)
プロデューサーズ (ユニバーサル)
The Squid and the Whale (サミュエル・ゴールドウィン・フィルムスLLC)

監督賞
◎アン・リー (ブロークバック・マウンテン)
ウッディ・アレン (Match Point)
ジョージ・クルーニー (グッドナイト&グッドラック)
ピーター・ジャクソン (キング・コング)
フェルナンド・メイレレス (The Constant Gardener)
スティーヴン・スピルバーグ (ミュンヘン)

主演男優賞
★ドラマ部門
◎フィリップ・シーモア・ホフマン (カポーティ)
ラッセル・クロウ (シンデレラマン)
テレンス・ハワード (Hustle & Flow)
ヒース・レジャー (ブロークバック・マウンテン)
デヴィッド・ストラザー ン(グッドナイト&グッドラック)

★コメディ・ミュージカル部門
◎ホアキン・フェニックス (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
ピアース・ブロスナン (The Matador)
ジェフ・ダニエルス (The Squid and the Whale)
ジョニー・デップ (チャーリーとチョコレート工場)
キリアン・マーフィ (Breakfast on Pluto)
ネイサン・レイン (プロデューサーズ)

主演女優賞

★ドラマ部門
◎フェリシティ・ハフマン (Transamerica)
マリア・ベロ (ヒストリー・オブ・バイオレンス)
グウィネス・パルトロウ (プルーフ・オブ・マイ・ライフ)
シャーリーズ・セロン (スタンドアップ)
チャン・ツィイー (SAYURI)

★コメディ・ミュージカル部門
◎リース・ウィザースプーン (ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
ジュディ・デンチ (Mrs. Henderson Presents)
キーラ・ナイトレイ (プライドと偏見)
ローラ・リニー (The Squid and the Whale)
サラ・ジェシカ・パーカー (The Family Stone)

★助演男優賞
◎ジョージ・クルーニー (シリアナ)
マット・ディロン (クラッシュ)
ウィル・フェレル (プロデューサーズ)
ポール・ジアマッティ (シンデレラマン)
ボブ・ホスキンス (Mrs. Henderson Presents)

★助演女優賞
◎レイチェル・ワイズ (The Constant Gardener)
スカーレット・ヨハンソン (Match Point)
シャーリー・マクレーン (イン・ハー・シューズ)
フランシス・マクドーマンド (スタンドアップ)
ミシェル・ウィリアムス (ブロークバック・マウンテン)

★脚本賞
◎ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ (ブロークバック・マウンテン)
ポール・ハギス、ボビー・モレスコ (クラッシュ)
ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ (グッドナイト&グッドラック)
ウディ・アレン (Match Point)
トニー・クシュナー (ミュンヘン)

★作曲賞
◎ジョン・ウィリアムズ (SAYURI)
グスターボ・サンタオラヤ (ブロークバック・マウンテン)
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、エイミー・リー (ナルニア国物語)
ジェームズ・ニュートン・ハワード (キング・コング)
アレクサンドル・デプラ (シリアナ)

★主題歌賞
◎"A Love That Will Never Grow Old" (ブロークバック・マウンテン)
"Christmas in Love" (Christmas in Love)
"Wunderkind" (ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女)
"There's Nothing Like a Show on Broadway" (プロデューサーズ)
"Travelin' Thru" (Transamerica)

★外国語映画賞
◎Paradise Now (パレスチナ)
カンフーハッスル (中国)
PROMISE/無極 (中国)
Merry Christmas (フランス)
Tsotsi (南アフリカ)
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by sentence2307 | 2006-01-21 20:57 | 映画 | Comments(2)

★撮影賞
「バットマン ビギンズ」ウォリー・フィスター、ASC
「ブロークバック・マウンテン」ロドリゴ・プリエト、ASC、AMC
「グッドナイト&グッドラック」ロバート・エルスイット、ASC
「キング・コング」アンドリュー・レスニー、ASC、ACS
「SAYURI」ディオン・ビーブ、ASC、ACS

★功労賞
リチャード・H・クライン

★会長賞
シャーウッド・オーメンズ

★国際賞
ギルバート・テイラー

★理事会賞
シドニー・ポラック

★名誉賞
フレデリック・ワイズマン


僕の関心は、5人の撮影監督賞のノミネートよりも、フレデリック・ワイズマンの「名誉賞」でした。
以前「チチカット・フォーリーズ」について少し調べたことがあったので、その関係でずっと気に掛かっている監督でした。
きっとアメリカ国内でも特別なオーラを持っている人なんだなあと、今回の「名誉賞」で感じました。
以下は、自分のための心覚えのためのものですので、悪しからず。


*フレデリック・ワイズマン Frederick Wiseman
1930年、弁護士を父に社会活動家を母にボストンに生まれる。法律を学び、イェール大学大学院を出るとマサチューセッツ州弁護士会会員となり、弁護士となり活動を始めた。やがて軍隊に入り、除隊後弁護士業の傍らボストン大学で教鞭をとるようになった。そのうちの一つ、法的医療や犯罪法の実地見学でブリッジウォーターにある精神異常犯罪者のための州立施設に行った。1958年、彼が28才のときである。1961年彼はハーレムを地獄のように描いたウォーレン・ミラーの「クール・ワールド」を読み、衝動的にミラーに会いに行き、映画化権を取得した。『クール・ワールド』は、ワイズマン製作、シャーリー・クラーク監督で1964年に完成した。映画は赤字で、ワイズマンは貯金を使い果たしたが、映画製作に目覚めてしまった彼にブリッジウォーターでの強烈な印象が蘇ってきた。この映画は1967年に伝説的なドキュメンタリー『チチカット・フォーリーズ』として完成したが、マサチューセッツ州の最高裁判所で公開禁止処分となり、およそ四半世紀にわたる法廷闘争が始まった。以後、ワイズマンは逆に創作意欲をかきたてられたかのように次々とアメリカの社会構造を見つめるドキュメンタリーを発表。1971年に、現在も拠点とする自己のプロダクション、ジボラ・フィルムを設立した。


フレデリック・ワイズマン監督作品

【チチカット・フォーリーズ】 Titicut Follies 1967
マサチューセッツ州ブリッジウォーターにある精神異常犯罪者のための州立刑務所マサチューセッツ矯正院の日常を克明に描いた作品。収容者が、看守やソーシャル・ワーカー、心理学者たちにどのように取り扱われているかがさまざまな側面から記録されている。合衆国裁判所で一般上映が禁止された唯一の作品である。永年にわたる裁判の末、91年にようやく上映が許可された。

【高校】 High School 1968
フィラデルフィア郊外にある“模範的な”高校の日常を追っている。朝のホームルーム、授業の風景、生活指導、父母を交えた進路相談、男女別に行われる性教育や家庭科の授業、クラブ活動・・。高校を構成する教師、生徒、親、管理職たちの関わり合いの中で、イデオロギーや価値観が醸成され、伝えられていく様が映し出される。

【法と秩序】 Law and Order 1969
ミズーリ州カンザス・シティの、最も犯罪率の高いアドミラル・プールヴァール管轄区にある警察の様々な活動を追っている。売春の摘発、犯罪を繰り返す未成年犯罪者や拳銃を所持する窃盗犯の逮捕など緊迫した状況を追う一方で、老女のバッグ探しや迷子の保護、養育権をめぐる夫婦のいさかいの仲裁など、市民生活のあらゆる側面に関わる警察の活動をとらえている。

【病院】 Hospital 1970
ニューヨーク市、ハーレムにある大きな都市病院、メトロポリタン病院の活動を緊急棟と外来患者診療所に焦点を当てて記録した作品。都市病院に運びこまれる様々な患者とその処置をする職員とのやりとりを通して都市が抱える多くの問題を浮き上がらせる。

【霊長類】 Primate 1974
霊長類に関する生物医学的、行動学的研究における先駆的な施設として知られるヤーキーズ霊長類研究所で撮影。猿を使った様々な動物実験が、その研究の目的や意義は殆ど説明されないままに、次々と映し出される。虐待と見誤りかねない数々の実験の映像は、故意に研究所を貶めたとする人々と、生体実験に反対する人々との間に激しい議論を巻き起こした。

【福祉】 Welfare 1975
ニューヨーク市のウェイヴァリー福祉センターを舞台に福祉行政のありようを描いた作品。住宅問題、失業問題、医療問題、幼児虐待などの児童問題、老人問題など、多様な問題と係わる福祉システムの性質を検証し、福祉活動家の置かれている状況、受益者の問題、福祉の本質などを浮かび上がらせる。

【肉】 Meat 1976
野の草を食む「牛」はいかにして「肉」となるか。牛がトラックで牧場の外へと連れ出されてから、巨大精肉工場で製品化され、市場に送り出されていくまでの全工程を記録する。「牛」が徹頭徹尾「肉」として扱われるこの場所で、無数に細分化された各工程が一分の狂いもなく進行する過程を、的確な映像と編集のリズムによって映し出していく。

【シナイ半島監視団】 Sinai Field Mission 1978
エジプトとイスラエルの間のシナイ緩衝地帯で、監視の任務を遂行する米軍の小隊。自転車で見回る他に大してすることもない彼らは、ときにこの地を西部劇の「西部」になぞらえて無為をやり過ごす。「アメリカの外のアメリカ」として「アメリカらしさ」が奇妙に凝縮されたこの場所を、ワイズマンは広大な砂漠のごく小さな一点として映像に収めている。

【軍事演習】 Manoeuvre 1979
東西対立時代に毎年行われていたNATOの秋季大演習に密着取材しその全貌を記録したもの。この作品の撮影が行われた1978年の演習は北極海から地中海までの加盟国全域に渡って大演習が繰り広げられたが特に演習が集中したのは旧東ドイツとの国境近くで、当時、第三次世界大戦を想定したデモンストレーションと見なされ、国際的に大きな波紋を呼んだ。

【モデル】 Model 1980
ニューヨーク市でも最高のモデル事務所であるゾリ・マネージメント社を舞台に、CMやファッション・ショー、雑誌、広告写真、デザイナーズ・ブランドなどの仕事をする男女のモデルたちを追っている。彼らを取り巻くカメラマンやエージェント、撮影スタッフやデザイナーなどの姿を通してファッション・ビジネス界のありさまが描かれている。

【ストア】 The Store 1983
1907年の開店以来、高級百貨店として揺るぎない地位を築いてきたニーマン=マーカス百貨店テキサス州ダラス本店。1982年のクリスマス・シーズンにおけるニーマン=マーカスを舞台に、訪れる客や接客する従業員、華やかな売場の舞台裏で働く人々の姿、そして営業時間外のミーティングの模様などが映し出されていく。百貨店が作り出す高級感もまた商品の付加価値としてあり、それがダラスの有閑階級の購買心理にいかに深く関与しているかが示唆されている。

【競馬場】 Racetrack 1985
サラブレットの競馬場として世界でも指折りのニューヨークのベルモント競馬場についてのドキュメンタリー。厩舎での馬の出産から始まり、調教師や飼育係、馬主、獣医たちの活動、レースをとりまく人々、観客たち、騎手たち、この競馬場の経営を支えるオーナーたちの巨大なパーティとその舞台裏まで、競馬というビジネスのあらゆる側面が映し出される。

【聴覚障害】 Deaf 1986
アメリカでも有数の障害者のための複合的な教育機関アラバマ聾盲学校の日常を記録したシリーズの中の一編で、アラバマ聾学校のドキュメンタリー。口頭での会話、聴覚補助、読唇術、筆読などと手話を組み合わせて使うトータル・コミュニケーションによる教育、心理カウンセリング、通常の学科の授業、職業訓練やレクレーションなど、この学校の中で行われる様々な活動が記録されている。

【臨死】 Near Death 1989
ボストンのベス・イスラエル病院特別医療班についての映画。尊厳死、植物人間、脳死、インフォームド・コンセント、インフォームド・チョイスなど死と生の境界をめぐる末期医療の新しい問題を臨床現場から掘り起こした6時間に及ぶ超大作。ハーバード大学の付属機関であり先端の医療技術を誇るこの病院の集中治療棟で行われる生命維持装置を使った診療をめぐり、患者と医者が直面する現実に多角的に迫っている。

【動物園】 Zoo 1993
フロリダ州マイアミのメトロポリタン動物園の日常を記録している。世界中から訪れる入場者、飼育係による動物の世話、獣医の仕事などをとらえる。表面には現れない、寄付を募るパーティーや広報活動、調査・研究活動などを紹介しながら動物園が運営されていくメカニズムに迫る。

【バレエ】 Ballet 1993
1992年のアメリカン・バレエ・シアターの活動を記録した作品。前半はスタジオでのリハーサル風景やバレエ団の運営に関わる活動を、後半はアテネ公演、コペンハーゲン公演の様子を追っている。作品を完成させるために繰り返される振付家とダンサーたちのリハーサルの様子や、アクロポリス、コペンハーゲン国立劇場という荘厳な舞台での華麗な公演風景は見るものを魅了する。

【コメディ・フランセーズ 演じられた愛】 La Comedie-Francaise ou l'amour joue 1996
歴史と伝統を誇るフランスの国立劇団「コメディ・フランセーズ」の全貌を映し出した作品。企画会議から舞台のリハーサル風景、劇場の全景、演出家や俳優の表情など裏方の様子、経営委員会、劇団の年金制度に至るまでを克明に描き出す。また、ラシーヌの「ラ・テバイット」モリエールの「ドン・ジュアン」など四つの芝居の上映の模様が部分的に記録されている。

【パブリック・ハウジング】 Public Housing 1997
シカゴ郊外の公共住宅供給事業の記録。貧しい居住者のほとんどが黒人である公共住宅の日常を撮している。居住者の管理組合の運営、警察の役割、住宅内で行われる職業訓練、青少年のための放課後の活動や託児所の運営など公共住宅のプログラムやここに住む10代の母親たち、崩壊した家庭、老人の居住者など、公共住宅が抱える問題を描く。

【メイン州ベルファスト】 Belfast, Maine 1999
メイン州にある人口6000人の典型的なアメリカの町ベルファスト。現在ではメイン州でもっとも貧しい地区の一つであるが、歴史的には商業的に栄えた町であり、天然資源に恵まれた土地でもある。ワイズマンは「ベルファストの日常生活が経済的圧力によっていかに変化したかあるいは変化していないかを記録しようと考え、この町のさまざまな組織とそこでの日常生活を検証した」と述べている。

【DV-ドメスティック・バイオレンス】 Domestic Violence 2001



以下は、以前「チチカット・フォーリーズ」に触発されて書いた駄文です。よろしければ、読んでみてください。


映画のタイトルで一番長い題名は? なんて考えたことってありませんか。

まあ、だいたいは、キューブリックの通称「博士の異常な愛情」、つまり「博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」を挙げると思います。

僕もそうでした。

しかし、すぐにもうひとつの長いタイトルを思いつきました。

あれです、通称「マラー/サド」、つまり「マルキ・ド・サドの演出により、シャラントン精神病院の患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」です。

英国の有名な舞台演出家ピーター・ブルックの作品でした。

この極めて刺激的で挑発的な作品を思い出した時、切っ掛けの「タイトルの長さ」など、もうどうでもよくなっていました。

この映画の設定は、サド侯爵が精神病者たちに治療法のひとつとして寸劇を演じさせるというものなのですが、鉄格子のこちら側で寸劇を眺めている貴族階級と、その映画を現在見ている観客とが同位置に置かれてしまうような、革命の激しい息吹を背景に持っていた動乱の時代の貴族階級へ向けられた糾弾であるとともに、現代の観客に対する糾弾という二重構造になっているという刺激的で素晴らしい作品でした。

素晴らしいと感じながら、しかしまた、同時にどこか嘘っぽいなという感じも抱いたのかもしれません。

登場人物たちの動きが、リアルで素晴らしいと感じたということは、逆に言えばそれらがすべて指示され統制された「演技」にすぎないと思ったからでしょう。

もし本当の精神病者によって実際に演じられる映画というものが撮れたとしたら、どんなに素晴らしい映画が撮れるだろうかとチラッと考えたかもしれません。

しかし、この考えは、人権問題など映画にとって自殺行為とも言い得るとても危険な考えなのは僕自身も認識していた積りです。

映画は常にフィクションに守られている部分がありますものね。

そのことをすっかり忘れてしまった頃に、ひとつの映画についての紹介記事に出会いました。

フレデリック・ワイズマン監督の「チチカット・フォーリーズ」・マスチューセッツ州ブリッジウォーター精神病院刑務所の日常、という副題がついていました。

そして、この映画がアメリカ映画史上猥褻罪と国家保安上の理由以外で上映が禁じられた唯一の映画なのだそうです。

1991年に上映が解かれたときに明らかにされた上映禁止の理由「受刑者たちのプライバシーの侵害を保護する」という大義名分が、この映画の公開それ自体、そして内容そのものによって突き崩された、とその紹介記事はさまざまな例を挙げて論証していました。

そこには人間の人間に対する過酷にしてもっとも本質的な陵辱のカタチが描かれているといっています。

僕がもっとも感動した箇所の一文を引用します。

「看守の多くは彼らなりの人間的限界の中でまじめに仕事をしている。」

例えば、「看守」という言葉の前に「ナチスの」と書き加えれば、あるいは、より多くのイメージが見えてくるかもしれません。

そこらの気のいい勤勉なオッサンたちが、時間通りに強制収容所に出勤し、そしてユダヤ人を疑いもなくせっせと、そして真面目に、ただの仕事としてマニュアルどおり忠実に、殺戮を「日常的にコツコツとこなしていった」あのアウシュヴィッツの日常=狂気を思うと、本当に空恐ろしくなりますものね。

僕にとって、是非とも見てみたい映画の一本となりました。
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by sentence2307 | 2006-01-16 23:56 | 映画 | Comments(37)