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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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アバター

遅ればせながら、話題の本格的3D映画「アバター」を見ました。

多くの人が書いているとおり、確かにこの映画が、いままでの「西部劇映画」の筋立てをなぞっただけという印象は否めず、僕も同じような失望をちょっぴり抱いたのは事実でした。

多くの観客が「西部劇映画の筋立てをなぞっただけ」と失望し、あからさまな冷笑や非難を隠そうとしなかった理由の真意は、たぶん、多くの人たちが、新たな映像の時代の幕開けにふさわしい斬新なストーリーを、この記念すべき作品に望んでいたからだと思います。

しかし、実際に見せられたものは、「西部劇映画」を換骨奪胎したみたいな旧態依然の、しかも鬼の海兵隊まで登場するという奇妙奇天烈な期待はずれの作品だったことへの戸惑いと苛立ちがあったからでしょう。

たしかに、マーロン・ブランドのアカデミー賞受賞拒否以来(授賞のステージで映画界の長年にわたるインディアンに対する差別的扱いへの代理人による抗議文の代読事件)、いまに至るまで、西部劇の製作はとてもデリケートな政治的ジャンルとなってしまい、撮るのにも相当に気を使わなければならなず、そんなに苦労するくらいなら、わざわざ撮ることもないかと敬遠されて、その事件以来このジャンルの作品数は極端に少なくなってしまいました。

さらにいえば、アメリカン・ニューシネマの作品群やサム・ペキンパーの作品にも、旧弊な人種差別の視点を嫌うその萌芽がすでにうかがわれていたのではないかと思います。

このように映画史的に見れば、西部劇の凋落は、きわめて必然的な経過をたどってきたといえると思います。

しかし、こうした風潮のなか、映画史的にハンディを負ったテーマ・西部劇をアエテ前面に掲げた「アバター」が、ホントウに100%期待はずれの作品だったかというと、自分的にはそうでもありませんでした。

あらためて観客の冷笑や非難の中身をよく見れば、それらは「愛憎」相接した映画に対する過剰な愛情の証しみたいなものとして「冷笑や非難」があったにすぎません。

そう考えれば一概に否定するのもなんだか大人気ないように思えてきました。

しかも、本格的3D映画作品をスタートさせるにあたって「西部劇」を採用したというのも、本当のところ、なんだかちょっぴり嬉しくもありますし、面白いココロミだなとも思いました。

アメリカ映画史年表には、エディスン社のエドウィン・S・ポーターが1903年に撮った「大列車強盗」が、世界で始めての活劇映画であり、各地で圧倒的な歓迎を受けたと記されていますし、このヒットを受けて、ポーターはその後も、「銀行大強盗」「小列車強盗」などを撮っています。

このアメリカで最初に撮られた劇映画が、「大列車強盗」というキワものの西部劇だったことが、本格的3D映画のスター作品というものを考えるうえで、とても興味深い。

その「アバター」についての感想のどれもが、「西部劇的」作品であることを、漠然と否定的にしか捉えておらず、アメリカ映画史的に見てどうなんだという視点から論じられたものがイッコウに見当たらないのが、なんだか残念で仕方ありません。

あるいは、「西部劇」に雰囲気的に似通っていると指摘してもののなかでも、さらに踏み込んで、「どの映画に酷似している」とまで特定の作品を指摘しているものがないのも、とても残念に感じました。

たとえば、インディアンとの混血の青年が、白人のスパイとなってインディアンに成りすまして部族に紛れ込み、酋長の信頼を得て戦士になってのちに、部族の酋長の娘と恋仲になって愛を語り合う過程で、白人たちの理不尽な横暴に接して、インディアンとしての誇りと怒りに目覚めた彼は、雄々しい戦士として白人との戦いに立ち上がる・・・なんていう筋立ての西部劇映画なら、なんだか見たことがあるような気がしますし、簡単に探せるのではないかと考え、休日の一日を使って、いままで撮られたすべての西部劇の中から「アバター」を探し出してみようと無謀にも思い立ちました。

まずは、どのように探すか、です。

思いつく限りの名作と言われる作品を片っ端から(というわけにもいかないでしょうから、結局50音順のリストをサイトから見つけ出し)リストアップして、そのストーリーを個々に攻めていくとか。

残念ながら個々の作品のストーリーまで明確に思い出す自信がないので、記憶を呼び覚ますヨスガとして「検索エンジン」に頼るしかありませんが。

さもなくば、代表的な西部劇スターを何人か選んで、その出演作を個々にあたっていくか、それなら、まずはインディアンがもっとも似合う俳優からたどるのば早道かとも考えられます。そうそう、監督の名前で検索という手もありますよね。

いっそ、「西部劇 酋長の娘」と直接打ち込んでネット検索してみようか、どんな作品がヒットするのか見てみるのも面白いかもしれないなど、などといろいろなアイデアが浮かんできました。


まあ、休日の時間つぶしには、適当かもしれません。

発表に値するほどの研究結果が得られればいいのですが。

乞う、ご期待というところです。

(2009アメリカ)監督ジェームズ・キャメロン、製作総指揮コリン・ウィルソン、レータ・カログリディス、製作ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー、ジョシュ・マクラグレン、脚本ジェームズ・キャメロン、撮影マウロ・フィオーレASC、音楽ジェームズ・ホーナー、編集ジェームズ・キャメロン、ジョン・ルフーア、スティーヴン・E・リフキン、主題歌レオナ・ルイス「I See You」
出演サム・ワーシントン、シガニー・ウィーバー、ゾーイ・サルダナ、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス、ジョヴァンニ・リビシ
Commented by clonecd160 at 2011-05-10 17:07 x
A good laugh is a sunshine in а house.
Commented by Daphne Swee at 2013-04-11 21:11 x

I need to to thank you for this wonderful read!! I definitely loved every bit of it. I have got you book marked to check out new stuff you post…
by sentence2307 | 2011-02-20 11:47 | 映画 | Comments(2)