世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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はたして「みぞゆう」は、読み誤りか

もう何年も会っていない友人から、久しぶりに電話が掛かってきました。

嫁いだ娘さんが無事男の子を出産し、初孫ができたのだそうです。

すこし高齢出産だったということで、彼も随分心配したらしいのですが、母体も赤ちゃんも何事も無く出産できたので嬉しかったのだと思います。電話の声が小躍りしていて、終始上ずっていました。

さっそく、お祝いの席をもうけ、久しぶりに旧交を温めました。

最近彼は、日本に在住する外国人たちを相手に日本語を教えるボランティアにはげんでいると聞いていました。

充実した忙しい日々をおくっていることと、初孫誕生の嬉しさも加わって、羨ましいほど生き生きしていました。

まずは初孫誕生の祝杯をあげ、病院での誕生の様子などを聞いたあとで、話は当然、お孫さんにつけた名前をさっそく聞いてみました。

彼は、「それがさあ」と言いながら、目にも止まらぬ早業で、カバンからタブレット端末を取り出すやいなや、パッパッバッと手馴れた指さばきで「最近の男の子の命名ランキング」という画面を表示させ、ぼくの目の前に突き出しました。

なるほどなるほど、この「命名ランキング」という人気の名前をサカナに、お孫さんの名前の話をしようというわけですね。

とにかく、これを見れば、最近の人気の名前の様子が一目瞭然です。

ちなみに「最近の人気の男の子の名前」というのは、以下のとおりだそうです。

大翔、蓮、颯太、樹、大和、陽翔、陸斗、太一、海翔、蒼空、翼、翔、翔太、歩夢、湊、優真、悠真、悠斗、陽向、一輝、海斗、悠太、陽、陽斗、颯介、一真、光希、蒼真、蒼太、蒼大、大雅、優、悠人、悠翔、颯、颯斗、レン、瑛太、瑛斗、航、春馬、潤、蒼、大空、大智、歩、優斗、陸、琉生、玲央、煌、颯人、愛斗、一翔、健太、仁、拓真、隼人、唯斗、優希、悠馬、遥斗、遥翔、陽太、陸翔、琉斗、龍之介、諒、琥太郎、颯真、颯汰、伊織、瑛翔、空、圭吾、慶人、健、康太、皇成、航輝、航大、春輝、駿、駿介、匠、真聖、迅、奏太、奏輔、爽、蒼介、太陽、大芽、大希、大輝、大地、智久、智也、柊真、彪雅、風雅、歩武、優月、勇斗、勇翔、悠雅、悠希、悠仁、悠大、遥輝、陽希、陽大、理人、璃空、亮、亮太、遼太、蓮介、蓮斗、和希、和真、昊、琥珀、翔太郎、翔斗

・・・それでね、と彼「婿さんが付けたのも、ほら、ここにちゃんとあるだろ。これこれ」と指差したのを見ると「蒼空」とあります。

ランキングでいうと、だいたい10位くらいですから、かなり人気の高い名前なのでしょう。

ただ、コレってどういうふうに読んだらいいのか、とっさには読めませんでした。

というのは、この字面から、このまえ北京でちょっと話題になった女優の蒼井そらの艶かしいイメージが瞬間的に過ぎり、やや動揺してしまい(あとから思えば、動揺する理由などなにもなかったのですが)、しかし、とにかく彼にとっては可愛い初孫の名前なのですから、迂闊な読み方をするわけにはいきません。

ここは慎重のうえにも慎重に、恐る恐る「あおぞら・・・くん?」と聞くと、

「だろ。でも、これで『そら』って読ませるらしいんだ。役所では、常用漢字や人名漢字でありさえすれば、読みはどうであれ受理するんだと。」

そうそう、自分もそんな話、どこかで聞いた覚えがありました。

しかし、漢字はそれだけガチガチに規制しておいて、「読み方」を野放しにするなんて、考えてみれば随分ルーズな規制だなという気がします。

「それでさ、オレいまボランティアで外国人に日本語教えているんだけど、時と場合によって微妙に使い分けなければならない漢字の読みを理解させるのが、これがまた、なかなか大変なんだよなあ」

日本人が、何気なく使い分けている漢字の読みを、改めて外国人に教えようとすると、この場合にはコレ、あの場合にはアレ・・・みたいな極めて煩雑なその規則性がよく分かるということらしいのです。

(以下は、彼の話したことの概略です。)

数年前に麻生首相が「未曾有」を「みぞゆう」と読み間違えて、みんなで笑いものにしたことがあったよな。

確かに、日本では、仏教語は呉音で発音することになっていて、例えば、有名、有限などは漢音で「ユウ」と発音するけれども、仏教語の有為、有無などは呉音で「ウ」と発音することになっている。

したがって、仏教語である「未曾有」は「ミゾウ」と呉音で読まなければならない。

その辺の漢音と呉音の使い分けができないと(それが「教養」ということになるのだろうが)、呉音で読むべきところを、謝って漢音で「ミゾウユウ」などと読み、笑いものになってしまうということになるんだよな。

しかしさ、そもそもの原因は、日本語における漢字の読み方が複雑すぎることにあるのであって、それからすれば「未曾有」を「みぞゆう」で読んでしまうというのも仕方のないことのように思える。

中国語では「有」という字には「ヨウ」という読み方しかないのに、日本語では有無や未曾有の時は「う」、保有、有機、有償などの時は「ゆう」と読み分けなければならない。

同じ「有為」でも「有為の青年」と書いてあれば「ゆうい」と読まなければならないし、「有為転変」と書いてあれば「うい」と読まなければならないという具合で、およそ規則性というものがないんだよな。

こう見ると、どうやら大勢は「ゆう」で、仏典に出てくるような言葉は「う」という使い分けになっているのらしいと推測できるが、要するにどの場合も「ある」という意味なのだから、あえて読み分ける必要など本来ないのではないかと思えてしまう。

繰り返すけれども、中国語では、ほとんどの字は一つの読み方しかない。

もともと一つの音しかないはずの「有」という漢字に、日本語を反映させるために日本人が「あ(る)」という訓読みを付け加えたのはいいとしても、なぜ漢語を表すときに「ゆう」と「う」という二つの読み方(音読み)が存在するようになったのかといえば、それは日本人が飛鳥時代から室町時代に至るまできわめて長い時間をかけて中国語を日本語の中に取り入れてきたために、中国の様々な地方と時代の読み方がそれぞれに伝わってきたからなんだ。

「有」という字の「う」という読み方は呉音と呼ばれ、奈良時代以前に長江下流域の言葉が朝鮮半島経由あるいは直接に日本に伝わってきたものとされている。

一方、「ゆう」という読み方は奈良時代末から平安時代にかけて遺唐使や留学生として唐に赴いた人々が伝えた長安の発音で、漢音と呼ばれる。

ただし、呉音が実際どの程度正確に呉の地方の発音を写し取っているかは疑問だといわれている。

いずれにせよ、「有」という字には本来一つの意味→音しかなかったものが、日本人が長い間に中国語を様々な地方の中国人、あるいは中国語を知っている朝鮮人などいろいろな人たちに教わったために、各地の方言が混ざってしまったということらしい。

つまり、そういう成り立ちの「読み」に、それほどこだわることがあるだろうかということなんだが、どうだろう。

奈良時代の末に、遣唐使が伝えた漢音に漢字の読み方を統一すべきだという勅令がだされたことがあったらしいが、「仏教語は呉音で発音しなければならない」的な既にそれなりの勢力を得た教養派閥が、そういう是正案を潰したであろうことは、想像に難くないと思う。

麻生首相は、あのとき、本当は、日本語にとって、とても深刻な問題提起を為したのであって、少なくとも僕たちは、彼を笑うべきではなかったのかもしれない、と彼はポツリと言いました。


ちなみに、男の子の名前のランキングだけ掲げるのでは片手落ちなので、女の子の名前のランキングも載せておきますね。
陽菜、結愛、結衣、杏、莉子、美羽、結菜、心愛、愛菜、美咲、葵、心結、凜、愛莉、杏奈、希、咲希、柚希、玲奈、莉央、さくら、愛奈、花音、心優、美桜、優月、美優、優衣、あかり、愛美、愛梨、芽依、七海、心菜、美空、未来、莉奈、こころ、ひなの、叶愛、琴音、結月、彩葉、心美、美月、百花、夢、優芽、優菜、優奈、陽愛、陽向、里桜、栞奈、ひなた、華音、芽衣、芽生、菜々美、桜、心花、真央、美結、楓、萌愛、優香、和、和奏、莉桜、あおい、愛桜、綾乃、杏樹、光希、彩羽、彩花、咲、紗希、朱里、心音、心陽、桃音、桃花、日和、美海、穂香、萌々香、陽菜乃、璃桜、瑠菜、怜奈、凛、莉菜、莉乃、ひかり、ひまり、りん、愛乃、音羽、花帆、花歩、花梨、結花、結華、結子、光、彩華、彩乃、菜央、咲良、紗那、紗良、春花、心春、心寧、真奈、晴、蒼依、虹心、美音、美緒、美陽、萌花、望愛、優亜、優羽、優花、柚咲、柚奈、遥、陽葵、陽莉、梨乃、璃子、里咲、里奈、琉愛、瑠愛、瑠花、麗、麗奈、和花、莉愛
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Commented by cheAp oAkLeys at 2013-06-23 15:12 x
I think a visualized presentation can be superior then just a straightforward text, if information are defined in images one can easily be familiar with these. <a href="http://www.musicbykem.com/foakleys.php" title="cheAp oAkLeys">cheAp oAkLeys</a>
by sentence2307 | 2012-01-10 22:49 | 徒然草 | Comments(1)