世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

メリエスの450本

「ヒューゴの不思議な発明」の感想の末尾で、ジョルジュ・メリエスが、その生涯に撮った映画の本数に関するクダリは、キネマ旬報の「世界映画人名事典 監督(外国)編」を参考にしました。

外国の映画監督のことを調べたいときは、一度は目を通しておきたい全幅の信頼を寄せている本です。

ごく僅かな自分の所蔵本のなかの「優れもの」の一冊としていまだに重宝している本なのですが、奥付を見ると、なんと発行日は、昭和50年12月21日なんですよね。

その使い勝手の良さの長寿ぶりには実に驚かされるものがありますが、これだけ長期間、座右に置かれて重宝される本なんて、そうざらにあるものではありません。

編集者冥利につきる仕事だし、本もきっと本望だと思います。

こう考えると、ろくに読まれもしないのに新刊のまま雨の日に路上に棄てられてしまうような不幸な星の下に生まれた本があるかと思うと、何十年も大切にされる本もあるのですから、なんか人間の運命みたいなものを感じます。

それにまた、そういう古い本に掲載されている当時の雑誌の広告や映画の古い広告を眺めるというのも、これがまた楽しいものですよね。

この「世界映画人名事典 監督(外国)編」の「表3」(表紙裏)には、「サンチャゴに雨が降る」(ヘルビオ・ソトー監督)というフランス映画の広告が載っています。

その惹句は、「堂々完成! アジェンデ政権の最期を描いて『アルジェの戦い』以来最高の傑作」です。

ふ~ん、この映画に関する知識も記憶も全然ないのでコメントできないのが残念ですが、しかし、この作品がかもしているアルジェリア独立(「『アルジェの戦い』以来の最高の傑作」と書いてあります)に対するフランス知識人の独特の高揚感(一言でいえば「負い目」でしょうが、今となっては見え透いた「偽善」としか感じられません)みたいなものは伝わってはきますが、その浮ついた調子には、あの日本人駐在員がターゲットにされ惨殺されたというショッキングなテロ事件の記憶が生々しいいま、諸手をあげて同調できませんし、そういう意味で「歴史のフルイ」に掛けられた作品の一本かのかもしれません。

この映画のキャストの一番に掲げられているのは、若き日のジャン=ルイ・トランティニアン、最近スクリーンで、物凄いおじいさんに変わり果てた姿を見て愕然とさせられました。

自分としては当時見た「離愁」の痛恨の渋い名演がいまだ眼に焼きついていて、彼の老醜(決して醜くなんかはありませんが)とかではなく、まさにその「隔世観」というか「時間」そのものに呆然とさせられたのだと思います。

そして、政治的な思惑が幾重にも複雑に絡み合った状況下でわが同胞を虐殺した惨たらしい凶行を前にして、そもそも「アルジェの戦い」という作品を諸手を上げて評価した当時と同じ気分で、「アルジェリア解放 バンザイ」などとは日本人として素直に言えるものではないことを、いまさらながら痛感しています。

さて、話が横道に逸れてしまいましたが、メリエスの生涯製作本数について、「世界映画人名事典 監督(外国)編」のメリエスの項の末尾に書かれている記述

「メリエスは約4000本の映画を作ったという説もあるが、これは誤りで、タイトルの変更された同一作品が何度も数えられているためにこの膨大な数字となったのであり、実際には約450本だといわれている。そのうち長さが108メートルを越えたものが100本くらいで、残りは20メートル前後の作品である」

を受けて、あとはインターネットの情報で補強しようかと楽観し、チョコチョコ検索を試みたのですが、発売されているDVDに収録されている作品についてのほんの僅かな情報はあったものの、そのほかの詳細な作品情報など、まったくありませんでした。

フランスやアメリカの国立図書館とかにアクセスすればいいのでしょうが、たとえアクセスできたとしても、こちらは言葉が全然分からないので、おそらく満足な成果は得られないと思います。

仕方がないので、ジョルジュ・サドゥールの「世界映画全史」(国書刊行会)を繰って、一本ずつ拾っていくしか、いまのところ自分にできる具体的なことは、これ以外にないかもしれません。

はたして何本カウントできたか、以下が調査結果です。

【1896年】 第1作・トランプの勝負(リュミエールを真似た20mの作品)、草を焼く庭師、撒水夫、ヴァンサンヌ駅への列車の到着、ヴィベール工場の出口、防波堤に押し寄せる満ち潮、子供たちと若い娘たち、先生より力強くあるいは自転車の訓練、メリー・ゴー・ラウンド、洗濯女たち、小さな悪魔、貼り紙禁止、ジプシーの野営地、トゥルーヴィルに市の立つ日、パリで撮影された街頭場面(三景)、軍隊風景(六景)、海の光景(十二景)、スピーディなデッサン画家(三景)、ミス・ヴェール(イギリスのジーグ・ダンス)、スネークダンス、ぶしつけな人たち、猛烈トム、恐ろしき一夜、ロベールウーダン劇場における婦人のすり抜け、悪魔の館、インドの神秘・行者など71作品

【1897年】 歌うポーリュス、最後のカルトゥーシュ、トゥルナヴォスの占領、スパイの死刑執行、クレタ島の虐殺、イギリス衛兵の攻撃、インドにおける市街戦、最後の弾薬筒、モンブランの危険な通行、気球の上昇、海水浴場の不躾な人、カレーとドーヴァーの間、ギリシャにおける海戦、海上での衝突と難破船、ハバナ港の波止場と戦艦メイン号の爆沈、気で病む人、おどけ者の回教徒、婿たちの学校、フィガロとオーヴェルニュ人、アメリカの外科医、パリジェンヌの入浴、個室で、酔っ払いの幻影、アルルカンと炭焼き人、錬金術師の幻覚、催眠術師、悪魔の屋敷、魔法の宿屋、メフィストフェレスの実験室(75m)、ファウストとマルグリートなど50作品(累計121本)

【1898年】 悪魔的な魔術(停止のトリックと差し替え)、戦艦メイン号の海底訪問、ピグマリオンとガラテア、ウィリアムテルの冒険、天文学者の夢、呪われた洞窟(二重焼き付け)、芸術家の夢、画家のアトリエ、魔術的な分身、しっかりした男(しぼりと溶暗)、など31作品(累計152本)

【1899年】 クレオパトラ、花嫁の就寝、修道院の悪魔(65m)、水上を歩くキリスト、ドレフュス事件(20シーンからなる最初の大作)、シンデレラ(最初の夢幻劇)、セーヌ川のパノラマ、など43作品(累計195本)

【1900年】 一人オーケストラ、分身する手品師と動く頭、幻想の花束、ジャンヌ・ダルク、クリスマスの夢、魔法の本、奇妙奇天烈な交霊術、とんでもない脱衣、など36作品(累計231本)

【1901年】 小さな赤頭巾、青ひげ、ちょっと頭のおかしい人たちの乗合馬車、シャラントンの脱走者、ゴム頭の男、魔法使いの卵、マドンナの奇蹟、伸び縮みする大隊、巨大な悪魔、小人と巨人、など27作品(累計258本)

【1902年】 月世界旅行、ロビンソン・クルーソー、非常に小さな踊り子、ガリヴァ旅行記、マルティニック島の火山噴火、空飛ぶ女、蠅人間、など13作品(累計271本)

【1903年】 地獄のケーク・ウォーク踊り、音楽狂、妖精の王国にて、地獄のファウスト、交霊術肖像写真、幻灯機、など29作品(累計300本)

【1904年】 ファウスト、セヴィリアの理髪師、不可能を通る旅行、など37作品(累計337本)

【1905年】 クリスマスの天使、千一夜物語の宮殿、ロンドン塔、パリ=モンテカルロ間2時間の自動車旅行、リップ・ヴァン・ヴィンクルなど22作品(累計359本)

【1906年】 煙突掃除人ジャック、放火犯人、悪魔の400の悪ふざけ、老婆の妖精カラボスなど17作品(累計376本)

【1907年】 海底二十万哩、英仏海峡の海底トンネルなど19作品(累計395本)

【1908年】 日蝕、ハムレット、ジュリアス・シーザーを書くシェクスピア、各時代にわたる文明、火の精、テーベの預言者、馬子にも衣裳、ルリ、タラスコンのタルタラン、パリ=ニューヨーク間を自動車で急行、純潔な少女のキリスト昇天祭、おばあさんの話と子供の夢、酒のみ女の神、鏡の精、妖精リベリュル、生きている人形など47作品(累計442本)

【1909~1910年】 幻想的な水療法、気まぐれな幻想、もし王様だったらなど10作品(累計452本)

【1911年】 ミュンヒハウゼン男爵の幻覚(累計453本)

【1912年】 極地征服、シンデレラ(累計455本)

【1913年】 雪の騎士、ブーリション家の旅行(累計457本)
[PR]
Commented by eso gold at 2014-03-31 06:10 x
agile integrite du fourniment eso gold correspondant tres oui indulgence beaucoup
Commented by gfocs.com at 2014-04-18 13:42 x
<a href='https://www.youtube.com/user/gfocs/'><b>https://www.youtube.com/user/gfocs/</b></a>
[url=https://plus.google.com/+GFOCSMALL]gfocs.com[/url]
<a href="https://plus.google.com/+GFOCSMALL" title="gfocs.com">gfocs.com</a>
Commented by ゴルフバッグ人気 at 2014-06-29 11:02 x
<a href='http://www.dicere-wakab.net/product-291.html'>ゴルフ ドライバー</a>
ゴルフバッグ人気 http://www.dicere-wakab.net/product-104.html
Commented by ゴルフバッグ人気 at 2014-06-29 11:02 x
<a href='http://www.dicere-wakab.net/product-211.html'>ゴルフ用品</a>
ゴルフバッグ人気 http://www.dicere-wakab.net/product-351.html
Commented by ゴルフ用品 at 2014-06-29 11:02 x
<a href='http://www.dicere-wakab.net/product-418.html'>ゴルフ用品</a>
ゴルフ用品 http://www.dicere-wakab.net/product-112.html
Commented by ゴルフバッグ人気 at 2014-06-29 11:02 x
<a href='http://www.dicere-wakab.net/product-391.html'>ゴルフ用品</a>
ゴルフバッグ人気 http://www.dicere-wakab.net/product-43.html
Commented by ゴルフ用品 at 2014-06-29 11:02 x
<a href='http://www.dicere-wakab.net/product-16.html'>ゴルフキャップソックス</a>
ゴルフ用品 http://www.dicere-wakab.net/product-191.html
Commented by wow gold at 2014-10-26 18:36 x
This important wow gold garments it my own "nice attire"!
by sentence2307 | 2013-03-20 17:24 | 映画 | Comments(8)