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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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清水宏 ②

さて、その清水宏の特集が6月5日からフィルムセンターで行われていることは知っていたのですが、近くの市民図書館で遅ればせながらようやくパンフレットを入手しました。

題して「生誕110年 映画監督・清水宏」です。

解説には、こう書かれています。

《今年は、日本映画の揺籃期から戦後の黄金期まで、約35年間で164本もの映画作品を撮った監督・清水宏(1903-1966)の生誕110年にあたります。
清水は、1924年に松竹で21歳の若さで監督昇進して以降、戦前はモダンな感覚を持った新進気鋭の映画監督として、メロドラマや大作映画をはじめとする撮影所の量産体制を支えます。
同時にその一方で、人物の演出やロケーション撮影などに先進的なリアリズムを導入し、とりわけ子どもの自然な存在感を引き出す演出においては、同時代の世界の映画監督の中でも突出した才能を発揮し、その独創的な作風に注目を集めます。
 戦後は一時映画界から退き、戦災孤児たちを引き取って共同生活を送りますが、彼らと独立プロダクション「蜂の巣映画部」を設立して映画製作に復帰し、大きな社会的反響を呼びます。
その後、新東宝・東宝・大映に呼ばれて児童映画や母もの映画なども監督しました。
 撮影所全盛期の監督でもあり、いち早く撮影所を飛び出した独立映画作家でもある清水の映画世界の可能性は、いまだ汲み尽くされておらず、新しい観客による「発見」を待ち続けています。
 今回の回顧特集は、1929年の『森の鍛冶屋』から1959年の遺作『母のおもかげ』まで、現存する清水作品の上映プリントを可能な限り集めた、史上最大規模のもの(41プログラム・50作品)となります。》

そこで以下に上映作品を掲げますが、タイトルをわざわざ50音順に組み替えた労作です。

誰に頼まれたというわけではありませんし、50音順にしてどう便利なのかの説明もできませんが、睡眠時間を削って作りました。


【あ】
有りがたうさん
伊豆の村落を抜けて峠路を走る定期乗合バス。山道で出会う人々が道端に避けてくれる度に「ありがとう」と感謝のひと言をかける若い運転手は、街道の人々から“ありがとうさん”と呼ばれていた。川端康成の掌篇「有難う」を原案に、「有りがたうさん」と呼ばれるバス運転手を中心として、伊豆の山道を往還する乗合バスの乗客たちの姿をオール・ロケで撮影されたユーモアとペーソスで描いたロードムービー。町に身売りされようとする若い娘の話を軸にして、酌婦や旅役者、朝鮮人労働者といった流れ者のうらぶれた人々を点描し、極力ドラマ性を排除しながら移りゆく風景の中でとらえた清水宏監督の野心作。
(1936松竹大船)監督脚本・清水宏、原作・川端康成、撮影・青木勇、音楽・堀内敬三
出演・上原謙、桑野通子、二葉かほる、石山隆嗣、仲英之助、築地まゆみ、河村黎吉、忍節子、堺一二、山田長正、河原侃二、久原良子
(1937.2.27丸ノ内松竹劇場 76分・35mm・白黒)

【あ】
按摩と女
清水オリジナルの小品。温泉場で按摩が、東京から来た女にほのかな恋心を抱くさまを描く。社会の周縁に位置する者たちの淡い出会いと別れを好んで取り上げる清水映画の中でも、極めつけの1本。
(1938松竹大船)監督脚本・清水宏、撮影・齋藤正夫、美術・江坂実、音楽・伊藤宣二、
出演・高峰三枝子(三沢美千穂)、徳大寺伸(三沢徳市)、日守新一(三沢福市)、佐分利信(大村真太郎)、爆彈小僧(三沢研一)、坂本武、二木蓮、春日英子、京谷智恵子、油井宗信、飯島善太郎、大杉恒雄、近衛敏明、磯野秋雄
(66分・35mm・白黒)

【う】
歌女おぼえ書
清水本人の原案で、舞台女優・水谷八重子を5年ぶりに映画に迎えて撮ったメロドラマ。夫を失い借金だらけの店を遺された元旅役者の歌女(水谷八重子)が、義理の息子・庄太郎(上原謙)の学業継続のため、献身的に商いを続ける。
(1941松竹大船)監督・清水宏、脚本・長瀬喜伴、八木澤武孝、撮影・猪飼助太郎、美術・江坂實、音楽・伊藤冝二
出演・水谷八重子、上原謙、藤野秀夫、河村黎吉、富本民平、朝霧鏡子、根本淳、エム・ウクラインセフ、春日英子、武田秀郎、河原侃二、近衛敏明
(97分・35mm・白黒)

【お】
踊子 
浅草文化を愛した永井荷風の同名小説を映画化。長年同棲している浅草六区の踊子・花枝(淡島千景)と楽士の恋人・山野(船越英二)の元に、花枝の妹・千代美(京マチ子)が転がり込み、やはり踊子となる。奔放な千代美は山野、そして振付師の田村(田中春男)とも関係を持つ。前年に松竹専属からフリーとなった淡島千景を大映に迎え、京マチ子、船越英二との洗練されたアンサンブルを通して、人生の浮沈が描かれる。
(1957大映東京)監督・清水宏、原作・永井荷風、脚本・田中澄江、撮影・秋野友宏、美術・柴田篤二、音楽・斉藤一郎、
出演・淡島千景、京マチ子、船越英二、田中春男、藤田佳子、阿井美千子、町田博子、平井岐代子、酒井三郎
(96分・35mm・白黒)

【お】
小原庄助さん  
民謡で知られる「小原庄助さん」の世界を清水が翻案し、オール・ロケによる牧歌的風景の中に描いた伝説的作品。清水の盟友であり、批評家から脚本家に転進した岸松雄が初めて製作を務めた。農地改革で没落して無一文になる人のいい旧家の地主・小原庄助に起用された大河内傳次郎が、ノーメイクでロバに跨り人々の頼みを聞いて回るそのユーモラスな姿は、清水映画ならではの叙情性を生み出した。東宝争議の分裂によって成立した新東宝は、経営的必要に迫られ収益重視の作品を制作(昭和23年度20本、24年度34本)したこの時期、「いわゆるベストテンに入るような優秀作は、わずかに『生きている画像』、『忘れられた子等』、『野良犬』、『小原庄助さん』の4本にすぎなかった」(田中純一郎「日本映画発達史Ⅲ」第59節「新東宝の独立」より)とされた。
(1949新東宝)監督脚本・清水宏、脚本・岸松雄、撮影・鈴木博、美術・下河原友雄、音楽・古関裕而
出演・大河内傳次郎、風見章子、宮川玲子、清川虹子、飯田蝶子、田中春男、清川莊司、鳥羽陽之助、日守新一、鮎川浩、石川冷
(91分・35mm・白黒)

【お】

逓信省簡易保険局が、簡易保険制度の宣伝用に松竹に製作を委託した短篇。クレジットには、監督として大久保忠素の名も記されているが、当時の文献資料からは、実質清水作品とみられる。水島あやめ(脚本)と高尾光子(主演)のコンビによる「少女もの」は、当時、松竹を代表する人気ジャンルだった。
(1929松竹蒲田)監督・清水宏、大久保忠素、原作・簡易保険局、脚本・水島あやめ、撮影・杉本正次郎
出演・高尾光子、新井淳、高松榮子、水島亮太郎、三浦時江、堺一二、青山万里子、河原侃二
(35分・24fps・35mm・無声・白黒)

【か】
輝く愛
松竹文化映画部が文部省に委託されて製作した教育映画。1931年5月に無声版が完成したが劇場公開はされず、主に全国各地の公民館や小中学校の講堂などで開催された教育映画講演会で上映された。病気のため撮影途中で降板した西尾佳雄に代わり、清水が後半部分を監督した。現存プリントは、1934年以降に伴奏音楽、効果音、そして弁士の解説が付されたと推測される、いわゆる「弁士解説版」である。
(1931松竹文化映画部)監督・清水宏、西尾佳雄、脚本・松崎博臣、撮影・野村昊
出演・小藤田正一、半田日出丸、野寺正一、早見照代、小村新一郎、富士龍子
(38分・35mm・弁士解説版・白黒)

【か】
風の中の子供
児童文学者・坪田譲治の同名小説を映画化した清水の代表作。原作の新聞連載中から、松竹には清水による映画化を求めるファンの声が寄せられた。陰謀や打算に満ちた大人たちの世界に振り回されながらも、自分たちの関係を築いていく子どもたちの姿を清冽に描く。1938年のヴェネチア国際映画祭に出品された。
(1937松竹大船)監督脚本・清水宏、原作・坪田譲治、脚本・斎藤良輔、撮影・斎藤正夫、美術・江坂實、岩井三郎、音楽・伊藤宜二
出演・河村黎吉、吉川満子、葉山正雄、爆驒小僧、坂本武、岡村文子、末松孝行、長船タヅコ、突貫小僧、アメリカ小僧
(86分・35mm・白黒)

【か】
家庭日記
当時人気絶頂だった吉屋信子の新聞連載小説を映画化。松竹は長らく独占映画化を旨としてきたが、本作は例外的に東宝製作の前後篇二部作(山本薩夫監督)と競作となった。大船撮影所の第一線スターを配したメロドラマで、「子供の四季」二部作と同時並行で撮影された。小津映画で知られるキャメラマン・厚田雄春とは以後、計8作品で組むことになる。
(1938松竹大船)監督・清水宏、原作・吉屋信子、脚本・池田忠雄、撮影・斎藤正夫、厚田雄春、音楽・伊藤宣二
出演・佐分利信、高杉早苗、上原謙、桑野通子、三宅邦子、三浦光子、トーチカ小僧、大山健二、藤野秀夫、吉川満子、水島亮太郎、坂本武
(99分・35mm・白黒)

【か】
簪 かんざし
井伏鱒二の短篇を映画化。「按摩と女」同様、温泉地での男女の短い出会いを描く。囲い者の惠美(田中絹代)は、自分が落とした簪が傷病帰還兵・納村(笠智衆)の足に刺さったと聞き、再び下部温泉に来て逗留し、納村の歩行練習を手伝う。2003年の第4回東京フィルメックスにおいて、新作も含んだ上映作品の中から、見事観客賞を受賞した。山の温泉宿のひと夏のスケッチ。簪をめぐって出会う戦傷兵と娘の淡い想い。日陰に暮らす田中絹代演ずるヒロインと笠智衆演ずる武骨な青年の出会い。ふたりをめぐる人々のユーモラスな人間模様と、人情の機微、そして山あいの美しい風景と美女の哀愁を詩情豊かに描いた清水宏監督の名作。
(1941松竹大船)監督・清水宏、原作・井伏鱒二、脚本・長瀬喜伴、撮影・猪飼助太郎、美術・本木勇、音楽・淺井擧曄
出演・田中絹代、笠智衆、齋藤達雄、横山準、大塚正義、川崎弘子、日守新一、三村秀子、坂本武、河原侃二、松本行司、油井宗信、大杉恒雄
(70分・35mm・白黒)

【き】
霧の音
北条秀司が新国劇のために書き下ろした同名戯曲を映画化。昭和22年から31年までの、3年毎の仲秋の名月に、信州の山小屋で相愛の植物学者(上原謙)と女性(木暮實千代)がすれ違いをくり返す。山岳と霧に包まれた上高地でのロケ撮影が、作品全体に湿った抒情を醸成している。
(1956大映京都)監督・清水宏、原作・北條秀司、脚本・依田義賢、撮影・相坂操一、美術・神田孝一郎、音楽・伊福部昭
出演・上原謙、木暮實千代、藤田佳子、川崎敬三、柳永二郎、浦辺粂子、見明凡太朗、浪花千栄子、上田寛、坂本武、万代峯子、浜卋津子
(84分・35mm・白黒)

【き】
岐路に立ちて
1929年作品「親」同様、簡易保険局の委託による郵便年金制度の宣伝用短篇である。就職難により東京での立身出世の夢が破れ、故郷の農村に帰った主人公を、母親が取っておいた郵便年金が救う。プラネット映画資料図書館所蔵の16mmポジからの複製された。
(1930松竹蒲田)監督・清水宏、原作・簡易保険局、脚本・大久保忠素、撮影・佐々木太郎
出演・結城一朗、川崎弘子、鈴木歌子、坂本武、日守新一、木村健児、小倉繁
(55分・18fps・35mm・無声・白黒)

【き】
銀河
新聞連載小説の映画化。15巻の超大作だが、わずか20日間ほどで撮影されたという。当時28歳にしてすでに70本近く撮っていた清水は、まぎれもなく松竹の大黒柱だった。冒頭のスキー場面では、小津安二郎や成瀬巳喜男が応援監督をしている。実業家の娘・道子(八雲恵美子)には、乳姉妹の照枝(川崎弘子)がいた。あるとき道子は照枝の兄・荘一(高田稔)に乱暴されて身籠ってしまい、世間体を考えてやむなく父の秘書の長島(奈良真養)と結婚する。
(1931松竹蒲田)監督・清水宏、原作・加藤武雄、脚本・村上徳三郎、撮影・佐々木太郎、美術・脇田世根一
出演・八雲恵美子、高田稔、川崎弘子、斉藤達雄、奈良真養、毛利輝夫、日守新一、藤野秀夫、吉川満子、山縣直代、石田良吉
(188分・18fps・35mm・無声・白黒)

【き】
金環蝕
大衆娯楽雑誌「キング」所載の久米正雄の小説を、同年に映画化。親友のために従妹の恋心を拒んだ男が、上京後思いがけず彼女と再会する。人気ダンサーから松竹にスカウトされた桑野通子のデビュー作で、主人公が東京で運転手として仕える代議士の娘役を演じている。
(1934松竹蒲田)監督・清水宏、原作・久米正雄、脚本・荒田正男、撮影・佐々木太郎、美術・脇田卋根一、音楽・江口夜詩
出演・藤井貢、川崎弘子、桑野通子、金光嗣郎、山口勇、坪内美子、近衛敏明、藤野秀夫、河村黎吉、吉川満子、突貫小僧、小倉繁、久原良子
(97分・35mm・サウンド版・白黒)

【け】
京城
清水の撮った唯一の認定文化映画。都市の朝から夜までを点描する構成は1920‐30年代に世界的に流行した「都市交響楽」的なものを思わせる。噴水広場で車中から360度周回する移動撮影や、朝鮮人露天商や子どもたちへの注目に清水らしさが表れている。今後の再検証が待たれる1本。
(1940大日本文化映画製作所)監督・清水宏、撮影・厚田雄治、音楽・伊藤冝二
(24分・35mm・白黒)

【こ】
恋も忘れて
横浜市本牧を舞台にしたメロドラマであり、子ども映画の傑作でもある。チャブ屋の女・お雪(桑野通子)の生きがいは、一人息子の春雄(爆弾小僧)の成長だったが、お雪の商売故に春雄は学校で孤立してしまう。母子の家族ドラマに佐野周二の用心棒が絡む構成だが、子どもの世界は大人の世界とは別の論理を持ったものとして描かれ、清水映画を語るうえで重要な作品である。
(1937松竹大船)監督・清水宏、脚本・斎藤良輔、撮影・青木勇、美術・江坂実、音楽・伊藤宜二、小澤耀安
出演・桑野通子、佐野周二、爆弾小僧、突貫小僧、岡村文子、忍節子、雲井ツル子、水戸光子、大山健二、石山隆嗣、葉山正雄
(73分・35mm・白黒)

【こ】
子供の四季 春夏の巻/秋冬の巻 ③39
坪田譲治の同名長篇を映画化した二部作。「風の中の子供」同様、善太と三平の兄弟が主人公で、キャストも同じである。父の病死や祖父の経営する工場の内紛を経ながらも、農村の自然の中でたくましく育つ兄弟の姿を描く。台詞とアクションの反復という清水が得意とする語りの技法が、子どもたちのさまざまな遊びの場面で効果的に用いられ、ロケーション撮影が高く評価された。両作ともに洋画系でシャーリー・テンプル主演の「ハイデイ」(アラン・ドワン監督)と2本立てで公開されたのち、二部まとめて上映された。現存プリントは両作共にラストが欠落している。
(計141分)

子供の四季 春夏の巻
(1939松竹大船)監督脚本・清水宏、原作・坪田讓治、撮影・斎藤正夫、厚田雄治、美術・江坂実、音楽・伊藤宣二
出演・横山準、葉山正雄、坂本武、古谷輝夫、吉川満子、河村黎吉、岡村文子、西村青兒、日守新一、若水絹子、二木蓮
(70分・35mm・白黒)

子供の四季 秋冬の巻
(1939松竹大船)監督脚本・清水宏、原作・坪田讓治、撮影・斎藤正夫、厚田雄治、美術・江坂実、音楽・伊藤宣二
出演・横山準、葉山正雄、古谷輝夫、坂本武、西村青兒、若水絹子、日守新一、吉川満子、岡村文子、倉田勇助
(71分・35mm・白黒)

【こ】
金色夜叉 ②173
原作は尾崎紅葉の言わずと知れた未完の人気小説で、1910年代からたびたび映画化されており、本作は最初のトーキー作品となる。人物の設定も近代的に改変され、波打ち際で貫一が宮を蹴り倒す(原作の)有名な場面も、海沿いの車道で揉める2人を遠景でとらえた、清水らしいものになっている。
(1937松竹大船)監督・清水宏、原作・尾崎紅葉、脚本・源尊彦、中村能行、撮影・青木勇、美術・江坂実、音楽・伊藤宜二、
出演・夏川大二郎、川崎弘子、近衛敏明、三宅邦子、上山草人、佐分利信、笠智衆、豊田満、武田秀郎、佐野周二、大塚君代、吉川満子
(77分・35mm・白黒)

【さ】
サヨンの鐘
清水が当時の植民地・台湾で満映のスター・李香蘭を迎えて撮った国策映画。1938年に台湾で実際に起き、皇民化運動の宣伝媒体となった原住民族の少女の落水事故が基になっている。1941年には、渡辺はま子歌唱によるヒット歌謡曲となり、本作でも李香蘭の歌と共に用いられている。主要登場人物はすべて日本人俳優が演じ、現地のタイヤル族住民がエキストラとして出演。現存プリントは途中の1巻が欠落している。「土俗趣味を豊かに取り入れたが、清水演出の冗漫が祟って工業的には失敗」といわれた。
(1943満洲映画協会=松竹下加茂=台湾総督府)監督・清水宏、脚本・長瀨喜伴、牛田宏、斎藤寅四郎、撮影・猪飼助太郎、美術・江坂実、音楽・古賀政男
出演・李香蘭、近衛敏明、大山健二、若水絹子、島崎溌、中川健三、三村秀子、水原弘志、中村実
(74分・35mm・白黒)

【し】
しいのみ學園
小児マヒの児童のために養護施設を設立した山本三郎の手記を清水宏が映画化。伊豆長岡でロケが行われ、学校のセットも現地に建てられた。入園前に酷薄な仕打ちを受けてきた子どもたちへの救済として、同名主題歌が学園内で繰り返し歌われ、印象深い。
(1955新東宝)監督脚本・清水宏、原作・山本三郎、撮影・鈴木博、美術・鳥居塚誠一、音楽・齋藤一郎
出演・宇野重吉、香川京子、花井蘭子、毛利充宏、河原崎建三、岩下亮、龍崎一郎、島崎雪子、伊達信
(100分・35mm・白黒)

【し】
女醫の記
当時の挙国一致体制において流行していた農村問題を扱った映画。女子医学専門学院の2人の女医が、夏休みに50人の生徒を無医村に引き連れ、巡回診療を行う。石川県でロケが行われ、蔭樹という家を木で取り囲む風習や住民の結核への無理解が、女医と小学校教師の視点によって批判される。無医村へ巡回診療に訪れた夏木女医が、偏見や迷信に惑わされる村民たちに根気強く働きかけ、村の生活に融けこんでゆく。無医村撲滅を主張する啓蒙映画だが、女医と村人たちとの交流が丁寧に描かれ、清水らしい詩情とユーモアにあふれている。
(1941松竹大船)監督・清水宏、脚本・津路嘉郎、撮影・森田俊保、美術・本木勇、音楽・淺井擧嘩
出演・田中絹代、佐分利信、森川まさみ、市村美津子、文谷千代子、髙松榮子、横山準、仲英之助、中村實、京谷千惠子、水島亮太郎、久保田勝巳、出雲八重子、武田秀郎
(95分・35mm・白黒)

【し】
次郎物語
下村湖人の同名教養小説の第一部を中心に映画化。主人公次郎(大沢幸浩、市毛勝之)と乳母お浜(望月優子)、実母お民(花井蘭子)、義母お芳(木暮実千代)の3人の「母」との結びつきが描かれる。信州上田の別所温泉で民家を借りてロケーション撮影が行われた。昭和16年には島耕二監督で撮られた。
(1955新東宝)監督脚本・清水宏、原作・下村湖人、撮影・鈴木博、美術・鳥居塚誠一、音楽・齊藤一郎、
出演・大沢幸浩、市毛勝之、木暮実千代、花井蘭子、望月優子、竜崎一郎、池内淳子、友山幸雄、中山昭二、賀原夏子、杉寛、多勢まゆみ
(98分・35mm・白黒)

【そ】
その後の蜂の巣の子供たち
「蜂の巣の子供たち」の続篇で、当時、伊豆山麓の農場で共同生活を送っていた清水と子どもたちの暮らしぶりを映画化したもの。前作で社会的な注目を集め、報道や取材によってかき乱された実際の彼らの生活が、メタ映画的に描写されている。
(1951新東宝=蜂の巣映画部)監督脚本・清水宏、撮影・古山三郎、音楽・伊藤宣二
出演・岩本豊、若林令子、千葉義勝、久保田晋一郎、三原弘之、中村貞雄、川西清、硲由夫、平良喜代志、麥田シゲ子、大庭勝、原田三夫、谷紀男、馬場信衛、日守節子
(94分・35mm・白黒)

【た】
大學の若旦那
「若旦那」シリーズの第1作。原作の源尊彦は清水のペン・ネーム。当時、日本でも大人気だったハロルド・ロイドの「カレッジもの」の影響を受けながら、落語的な道楽者の若旦那像も巧みに織り込み、モダンかつ人情味あふれる学生スポーツ映画となっている。トーキー移行期に数多く製作された「サウンド版」で、音楽と効果音のみが付けられ、会話や説明部分はインタータイトルで示されている。
(1933松竹蒲田)監督・清水宏、原作・源尊彦、脚本・荒田正男、撮影・靑木勇、佐々木太郎、美術・脇田卋根一、
出演・藤井貢、武田春郎、三井秀男、徳大寺伸、逢初夢子、光川京子、水久保澄子、斎藤達雄、坪内美子、若水絹子、坂本武、大山健二、山口勇
(85分・35mm・サウンド版・白黒)
by sentence2307 | 2013-06-22 15:43 | 清水宏 | Comments(0)