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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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龍馬暗殺 実行犯と黒幕

なんだか今年は、年明け早々、坂本龍馬の話題にたびたび遭遇しています。

まず、一つ目は、1月4日の読売新聞の夕刊に、「お龍の写真は別人?」という大見出しで、従来から若い頃のお龍のものとされてきた写真が、どうも違うらしいという記事です。

5~6年ほど前だったかに、警察庁の科学警察研究所に鑑定を依頼し、よく知られる晩年の写真(こちらの方は、お龍自身が自分のものだと認めているそうです)と比較した結果、かなりの確率で「同一人物の可能性が高い」との見解を得ている写真です。

しかし、このほど、あきらかに同一人物と思われる女性の、ほとんど同じポーズで撮られた芸者の写真が複数枚発見されたというのです。

再婚するまで生活苦にあったというお龍が、当時高額だった写真を、何枚も撮るなどということは、ちょっと考えにくいと記事には書かれていました。ちょっとその部分を再録しますね。

《東京都内の古書店で、軍装・勲章研究者の平山晋氏が昨年、芸者や華族を撮影した6枚組のブロマイドを発見。
その中に、「お龍」とされる座り姿の写真と同一人物とみられ、ほぼ同じポーズを取った写真があった。
さらに別の収集家が、「お龍の立ち姿」とされてきた写真とまったく同じ写真を他の芸者や華族のブロマイドと組み合わせた「組み写真」を見つけた。
お龍は、龍馬暗殺ののち、明治8年(1875)に再婚するまで生活苦だったとされる。
森重氏によると、当時、写真撮影は高額で、庶民が複数カット撮ることはないという。
一方、写真館は人気芸者らを無料で撮影し、大量に販売していた。
撮影された写真館の場所などを考慮すれば、新橋芸者の可能性がある。
また、当時、芸者や華族の女性の複数のブロマイドを集めて一枚にしたものも人気があった。
今回の「組み写真」もその一つと思われる。》

あれって芸者さんのブロマイドだったんですか。

しかし、晩年のお龍の写真というのも見たことがありますが、「若い頃はさぞかし」と思うような、とてもきれいなおばあさんでした。

あの若く美しい女性の写真をお龍だと十分に信じることができる気品も感じられました。

逆に複数枚残っているというあの神秘的なまでに美しい「芸者」は、いったいどういう人だったのかとか、その後たどった生涯なども気になってきました。

ところで、同じ正月の2日の夜、たまたま見ていたヒストリーチャンネルで「坂本龍馬」暗殺の実行犯と黒幕についての話を再放送していたので、つい最後まで見てしまいました。

総合タイトルは「THE ナンバー2 歴史を動かした陰の主役たち」というシリーズで、そのうちの一人として坂本龍馬が取り上げらたというわけです。

要旨は、幕末の動乱期に龍馬が果たした傑出した業績を辿るという番組です。

画像の荒れ具合から察すると、かなり以前に製作されたものなのかなという気がします。

そういえばずっと以前、周恩来が「優れたナンバー2」として、やたら持ち上げられた時期があったような・・・、そうそう、それって堺屋太一の「豊臣秀次」がテレビドラマ化された時期と一致するのではないかと。

だんだん記憶が鮮明になってきました。

2日に見たこのシリーズで取り上げられていた人物は、勝海舟、小松帯刀、大久保利通、柴田勝家、河井継之助、千利休、天海、島左近、真田幸村、豊臣秀次、加藤清正、直江兼続、松永久秀、そして坂本龍馬です。

番組の最後でコメンテーターは「龍馬暗殺 実行犯と黒幕」について、こんなことを言っていました。

龍馬は剣で脳天を割られて絶命したのですが、龍馬ほどの剣の遣い手が、よほどのこと(油断するくらいに近しい仲とか)がなければ、むざむざ脳天を割られるなどということは、ちょっと考えにくい。

刺客が物凄い勢いで階段を駆け上がってきて、障子を開けはなった瞬間に斬りかかってきたとしても、その刺客が至近距離まで迫るまでの刹那、たとえそれがほんのわずかな時間でも、つねに危険に身をさらしてきた龍馬であれば、なんらかの防御(何かをかざすとか)を講じたに違いなく、むざむざ脳天を割られるなどということは考えられないというのです。

そして、この番組では、真犯人は、実は、その夜、龍馬とともに刺客に襲われ重傷(数十箇所の斬り傷があったとか)を負ったとされている中岡慎太郎自身だったのではないかという仮説を立てていました。

これには、いささか驚きました。

親しい間柄だった中岡だからこそ龍馬は油断し、スキを突かれて脳天に斬りかかられたのではないかと。

もちろん龍馬も一撃を受けたあと、とっさに拳銃で応戦したので、銃弾を浴びたであろう中岡のそういう死体が公になれば陰謀も露見しかねないことを恐れた黒幕が、その銃弾の傷を隠すために中岡の死体に後日無数の刀傷をつけたのではないかという仮説です。

そして、この暗殺を陰であやつっていた黒幕というのが、岩倉具視と大久保利通だというのです。

龍馬暗殺の理由は、封建的身分制度をそのまま反映した「大政奉還」などを実現されると、下級公家や下級武士出身の彼らが権力の座につけないどころか追われかねない危機感を感じ、龍馬を暗殺したというのです。

あまりに大胆な仮説なので、驚きながらも面白く見ていたのですが、最後にそのコメンター氏が、この説のネタ本を明かしました。

加治将一の「龍馬の黒幕」(祥伝社文庫)です。

英国の武器商人(フリーメーソン)が銃取引を通じて幕末の混乱に大きく関わっていったというあの仮説ですね。

なるほど、なるほど。

ではさっそく読んでみようかな~と思ったとき、そうそう、「龍馬暗殺説」について、ずっと以前にスクラップしておいた新聞記事があったのを思い出しました。

スクラップ帖を繰ってみて、ありました、ありました。

日付を見ると「2009.12.25 読売新聞」の朝刊とあります。

タイトルは、「龍馬暗殺 実行犯と黒幕」そのままです。

筆者は、「武士の家計簿」を書いた磯田道史で、龍馬を暗殺した実行犯と黒幕を具体的な資料を掲げて理路整然と絞り込むように解き明かしています、きっとその論理の明快さに心惹かれたのだと思います。

実は、現在にあっては、龍馬暗殺の実行犯についてほぼ特定できている、という書き出しでこの記事は始まっています。

それは、傑出した小太刀の遣い手・桂早之助と渡辺吉太郎のふたり、そして、現場で暗殺の指揮をしたのが見廻組頭・佐々木只三郎、いずれも幕府見廻組で、これを証かす有力な資料として掲げられている田中光顕「維新風雲回顧録」では名前の記述に若干の誤りがあるそうですが、暗殺者が「小太刀の遣い手」いうことなら自分も以前、狭い部屋で龍馬を確実に仕留めるためには、どうしても小太刀の卓越した遣い手でなければならず、この暗殺が最初からこうしたことを熟知したうえでの襲撃だったという説は聞いたことがありました。

ただ、ここに名前が出た3人が、いずれも鳥羽伏見の戦いで全員戦死してしまっているために、龍馬の暗殺がさらに謎めいたとも書かれています。

容疑者が全員戦死したために、裏で糸を引いた肝心の黒幕も分からなくなってしまったというわけです。

疑心暗鬼の各藩が、日々猫の目のように変わる情勢のなかであっちにくっついたり寝返ったりして、そうでなくとも各勢力の思惑が複雑に錯綜した幕末ですから、とんでもない説も囁かれたのだそうです。

その幾つかを紹介しています。

もちろん新撰組という説もあったでしょうが、海難事故の賠償金でもめた紀州藩説とか、土佐藩の政治や商取引の主導権を狙っていた後藤象二郎や岩崎弥太郎説、あるいは近年人気のある説として薩摩黒幕説なども紹介しています。

「龍馬が大政奉還の妙案を思いつき徳川家に存続の余地を与えてしまったために、武力倒幕をめざす薩摩は龍馬が邪魔になり、所在情報を見廻組に提供して暗殺させた」という説です。

しかし、磯田氏は、龍馬が武力倒幕の途も棄ててはいなかったことを資料で明かしたてて薩摩黒幕説を否定したうえで、さらに有力な文献を挙げています。

それは、手代木家が私家版として出した「手代木直右衛門伝」(現在は全国に3冊しか残っていないレアものです)、明治37年、岡山において76歳で亡くなった手代木直右衛門勝任は、元会津藩御用人で、京都守護職・松平容保の側近として幕末の政局に深く関わった人物であり、龍馬暗殺の実行犯のひとり、佐々木只三郎の実兄でもあって、彼が死ぬ数日前に、恐るべき事実を告白したと記されているそうなのです。

その部分。

「坂本を殺したるは実弟只三郎なり。
当時坂本は薩長の連合を謀り、又土佐の藩論を覆して倒幕に一致せしめたるを以って、深く幕府の嫌忌を買ひたり、此時只三郎見廻組頭として在京せしが、某諸侯の命をうけ、壮士ふたりを率い蛸薬師(通)なる坂本の隠家を襲いこれを斬殺したり」

そして、さらに「諸侯とは誰か」と疑問に迫っています。

「実はふたりほどに絞られる。
見廻組は京都守護職が支配。
指図できる大名は会津藩主松平容保かその実弟松平定敬しかいない。
会津・桑名両藩は大政奉還論も反幕行為とみなしていた。
おそらく手代木と佐々木の兄弟が龍馬の動きを察知。
容保か定敬の承認を得て、天井の低い龍馬の隠家を襲うため、小太刀の名人2人を佐々木が連れて突入。
龍馬の脳天を割ったのではないかと思う。」

なるほど・なるほど、そういうことですか。

いやいや、実に「ため」になりました。

どちらの暗殺黒幕説が真実に近いかは、まだ分かりませんが、しかし、なんですよね、これだけ充実したことが書かれている新聞を、読まずにむざむざ廃棄するなんて考えられますか。

だってそうでしょう、とか言いながら、まあ、呑気にこんなことを書いていられるのも、正月休みならではのことですから、どうぞお気遣い無く。

やれやれ、これでやっとスクラップ一枚を棄てることができますよ。

てか、しかし、あとドンダケ新聞あんだっけかなあ、(と言いながら恐る恐る部屋の隅を振り向き)「ギャー!」と叫ぶわたくしではありました。

お・し・ま・い。
Commented by Micheal Kr at 2014-02-03 21:56 x
Okay, you are right buddy, regularly updating weblog is in fact needed for Search engine optimization. Pleasant discussion keeps it up.
by sentence2307 | 2014-01-06 22:15 | 映画 | Comments(1)