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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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黙って聴いてろ!!

わが地域には、ボランティアが運営している「日本語教室」というのがあります。

地域に居住している外国人が、生活に困らない程度の日本語の日常会話を短期間で無料で教えるという教室ですが、難解な日本語ができずに困っていて、教えてもらいたいという外国人のニーズはここ最近顕著にあるのに、その要望の増加に追いつけない教える側の人材不足というのが常態的に存在しているのです。

教えるといっても、まるっきりの無資格では講師になることはできません、ある一定の講座を受けて(当然有料です)、そのうえで既定の教材(これも有料)にそった「教え方」というのが段階的に決められていて、そこには自治体がらみというシガラミもあるので当然それなりの規定というものは避けがたく、ただの素直な善意だけで通じるようなものではなくて、そりゃあ、なかなか「うるさい」ものが、ないでもありません。

日本語を習得したいという外国人のニーズがこれほどあり、たとえ有料でも構わないから短期間で教えてほしいという熱い機運が一方にあるのに、「規約」に捉われて身動きできないひとつには「授業は無料」という足かせもありました。

しかし、「いま」というこの現実において、もしかしたら彼ら外国人の方が経済的に日本人より余程豊かかもしれないのに(ここでいう「外国人」が、どうも中国人を指しているらしいと感じたとしたら、その直感は正しいです)、このボランティアの「日本語教室」の根底には、依然として十数年前の、まだまだ貧しかった外国人に施しを与えるという旧態依然のイデオロギー(そんなものは今となっては、実態にそぐわない経済借款と同じような、もはや幻想にしかすぎません)が存在していて、そうしたすべての「規制」にがんじがらめになってしまい、実際の要望にも応えることができずに、どうにも身動きが取れなくなって一歩も進めないでいる姿を見ていると、「構造改革」とか「規制改革」という言葉をどうしても思い出さないわけにはいきません、「貧しさ」「施し」「資格」「定型化した講座」「無料」、いつまでも、こんな「上から目線」の古びた優越規制にこだわっていて、目の前にある現実に適応できずにマニュアルどおりにしか動けない頑なさを見るにつけて、あるベトナム人の女性の言葉を思い出しました。

「日本人はとても親切で、日本語を熱心に教えてくれるいい人たちばかりだけれども、なぜみんな英語が喋れないのか、日本では英語を教えないのか」と。

外国人に日本語を教えるに際しては、極力英語は使わないようにというお達しは、確かにありますが、これみよがしに英語をひけらかしたくて仕様がないという異常者や能天気な変態は別として、「片言」~「まったく」まで、英語を喋れないという人たちは事実として多くいると思います。自分も含めてね。

そう思えば、僕たちが、中学校から大学にいたるまで「英語教育」というのを足掛け10年近く受けてきたはずなのに、英語が喋れないというのは、ベトナム人女性から改めて言われなくとも、異常なことには違いないと気づかされ「なるほどな」と思わず同感してしまいました。

「貴国においてはいざ知らず、日本においては、およそ6年から10年くらいは英語を習うであろう」と、そのベトナム人女性に答えようと思いながら、「その理由」というのも併せて答える必要があるだろうかと思ったとき、むかし高校の教師から

「黙って聴いてろ!!」

と恫喝されたことを、突如、思い出しました。

自分は、むかしから理屈っぽい性格で、疑問に思ったこと、納得ができないことは根掘り葉掘り訊かずにはおれない性格であることは確かです。

嫌な性格なら、長ずるにおよんで徐々に矯正するというのが普通の行き方かもしれませんが、もともと「嫌だ」とは考えていなかったので矯正することもなく、ちょうど高校の頃は、その「根掘り葉掘り」がピークに達したときだったかもしれません。

授業中でも突っ込みどころがあると、手を挙げてよく質問していました。

そして、その理屈っぽい「根掘り葉掘り」に業を煮やして激怒した教師から、ついに、

「黙って聴いてろ!!」

のお言葉を頂戴したのだと思います。

なるほど、なるほど。

「黙って聴いてろ!!」の一方通行の授業では、何年たっても英語が話せるようになるとは、とうてい思えません。一向に喋れない自分がまさにその証拠ですし、多くの日本人がその証拠でもあります。

さて、このベトナム人女性に、10年も学習しながら日本人が一向に英語を話せない理由を、どのように説明したらいいのか、じっと天井を見上げて、しばし考えてしまいました。

天井を見上げながら不気味な三白眼になって固まってしまった日本人のおっさんを前にして、その若きベトナム人女性は、一瞬怯え、かすかに身を引いたかもしれません。



by sentence2307 | 2019-05-25 12:14 | 徒然草 | Comments(0)