TIME誌選出のGreat Performance 2005
2006年 01月 14日
斬新な切り口で読者を引き付けようとしたり、ユニークな分析でマニアをターゲットにしたりする雑誌にも、それは言えると思います。
ここで想定されている「マニア」とは、決して一部知的エリートというか、そういったマイノリティーを意識しているわけではなく、他誌に対して頭ひとつ印象度を高めようという多分販売戦略なので、読者の側もそのまま新しい情報に引き寄せられればいいと思いますし、結果的にそれが販売部数増に繋がるでしょう。
そこで、「TIME」誌が、2005年もっとも素晴らしい演技を見せた俳優7人を紹介しています。
いままで大きな賞を受賞し、すでに成功を収めてきたはずの「あの俳優」が選出されていないのは、やはり「雑誌の独自性」が、選出するにあたっての重要なファクターになっているからだと判断してかからないと、きっと「なんで?」という思いを抱いてしまうので、ここはリストを楽しんで読むことに徹したらいいと思います。
もちろん業界だけでなく、もっとマクロな意味で社会に対する絶大な影響力を有している雑誌だけに、アカデミー会員にどう影響するかなども注目して楽しんだらいいかもしれませんね。
さて、その2005年もっとも素晴らしい演技を見せた俳優7人は以下のとおりです。
スカーレット・ヨハンソン 《Match Point》
オーウェン・クライン 《The Squid and the Whale》
コン・リー 《SAYURI》
キャスリーン・キーナー 《カポーティ》
テレンス・ハワード 《Hustle & Flow、クラッシュ》
マリア・ベロ 《ヒストリー・オブ・バイオレンス》
トミー・リー・ジョーンズ 《メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬》
このなかで当然だなと思うのは、2005年夏に最もブレイクした俳優テレンス・ハワードでしょう。
男娼からラッパーになる青年を力強く演じた『Hustle & Flow』が絶賛され、主演男優賞候補の最有力5人のうちのひとりに本命視されています。
ゴールデン・グローブ賞候補、ブロードキャスト映画批評家協会賞候補、インディペンデント・スピリット賞候補、ゴールデン・サテライト賞候補、ワシントンD.C.映画批評家協会賞候補、ゴッサム・アワード 新人俳優賞候補など演技賞総ナメの感のある追い風を受けて、そのまま主演男優賞で勝負ということになるだろういわれているのですが、一面、若手には厳しい主演賞部門でのノミネートがない可能性も否定できず、やはり助演賞部門に票が流れる予想もあるのですが、しかし助演賞候補の『クラッシュ』が高評価を得ていながら、インディペンデント・スピリット賞で共演のディロンに候補を譲っており助演男優賞部門から後退の感のある現状では、うまくいけばWノミネート、悪い目が出れば、ディロンとの票の食い合いに加えて、テレンス・ハワード自身の2部門候補による票割れの心配もあって、考えすぎるとなんかノイローゼになってしまいそうです。
嬉しい心配といえば、まあそうなのですが。
しかし、助演部門でもブロードキャスト批評家協会賞、ワシントンD.C.映画批評家協会賞で候補に挙がるなど十分な実績がありますので、あのジェイミー・フォックスのような両部門候補の可能性も十分にありうると思います。