ドイツ・オーストリア映画名作選 ③
2006年 01月 14日
ヴァルター・ルットマンの強い影響を受けて抽象映画の先駆者になったオスカー・フィッシンガー。アメリカ移住前に母国で発表した「習作」シリーズは、第5作からトーキーとなり、日本では東和商事により「光の交響楽」シリーズとして公開された。ノーマン・マクラレンなど次世代にも影響を与えたこれら7作品を、ウーファ社の「ドン・コザック合唱団」の音楽短篇4本とともに上映する。
(計66分)
★アメリカン・フォックストロットSTUDIE 5 (AMERICAN FOXTROTT)
(30)(監督)オスカー・フィッシンガー
(4分・35mm・白黒)
★ハンガリアン・ダンス5番STUDIE 7 (UNGARISCHER TANZ No.5)
(31)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)ヨハンネス・ブラームス
(3分・35mm・白黒)
★魔法使の弟子STUDIE 8 (L’APPRENTI SORCIER)
(31)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)ポール・エイブラハム・デュカス
(5分・35mm・白黒)
★ハンガリアン・ダンス6番STUDIE 9 (UNGARISCHER TANZ No.6)
(31)(監)オスカー・フィッシンガー(音楽)ヨハンネス・ブラームス
(3分・35mm・白黒)
★アイーダのバレエ音楽STUDIE 10 (BALLET MUSIK AUS AIDA)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音楽)ジュゼッペ・ヴェルディ
(5分・35mm・白黒)
★モーツァルトのメヌエットSTUDIE 11 (MENUETT VON MOZART)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)W・A・モーツァルト
(5分・35mm・白黒)
★ルビンシュタインの光の踊りSTUDIE 12 (LICHTERTANZ)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音楽)アントン・ルビンシュタイン
(4分・35mm・白黒)
★ドン・コザックの歌DON-KOSAKEN CHOR
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(11分・35mm・白黒)
★野營の歌AM LAGERFEUER
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(9分・35mm・白黒)
★アヴェ・マリアAUS DER SCHATZKAMMERMUSIK
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(8分・35mm・白黒)
★故郷の歌DIE HEIMAT IM LIED
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(9分・35mm・白黒)
■オーストリア名作選
★女ひとり EPISODE
ウィーンが恐慌のさなかにあった1922年、彫刻を学ぶ女子学生が身の転落におびえる中で、裕福なイタリア紳士に出会う。脚本家ライシュの珍しい監督作で、その後ハリウッドに渡って『ニノチカ』39や『ガス灯』44などの秀作を書いている。
(35トビス・ザシャ)(監督脚本)ヴァルター・ライシュ(撮影)ハリー・ストラドリング(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)パウラ・ヴェッセリー、カール・ルードヴィッヒ・ディール、オットー・トレスラー
(84分・35mm・白黒)
★郷愁 HOHE SCHULE
謎の前歴を持つヨーロッパきっての名馬術士がウィーンを訪問、将軍の令嬢が彼に思いを寄せて入門するが。監督のエンゲルは、ブレヒトの「三文オペラ」の世界初上演を演出した人物で、ドイツとの合作だがウィーン情緒にあふれた一本である。
(35ABCフィルム=トビス・ザシャ)(監督)エーリッヒ・エンゲル(脚本)ハインリッヒ・オーバーレンダー(撮影)ブルーノ・モンディ(美術)ユリウス・フォン・ボルソディ(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)ルドルフ・フォルスター、アンゲラ・ザローカー、ハンス・ホンマ
(88分・35mm・白黒)
★白夜の果てに DER POSTMEISTER
プーシキンの短篇集「ペールキン物語」(1831年)の一篇「駅長」が原作で、若い軍人に愛娘を連れ去られた馬車駅の役人をめぐる悲劇。ヒット作となった1925年のソ連映画に続く再映画化だったが、日本では戦後の1956年になって公開された。
(40ウィーン・フィルム)(監督)グスタフ・ウチツキ(原作)A・S・プーシキン(脚本)ゲルハルト・メンツェル(撮影)ハンス・シュネーベルガー(美術)クルト・ヘールト、ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ヴィリー・シュミット・ゲントナー
(出演)ハインリッヒ・ゲオルゲ、ヒルデ・クラール、ジークフリート・ブロイエル、ハンス・ホルト
(93分・35mm・白黒)
■ヴィリ・フォルスト小特集
★モナ・リザの失踪 DER RAUB VON MONA LISA
俳優として、そして監督・脚本家として1930年代のオーストリア・ドイツ映画に一時代を築いた才人ヴィリ・フォルスト。本作はまだ監督デビューの前で、恋のために名画を盗むガラス職人の役柄を演じた。1911年に起きた盗難事件をベースにしているが、史実とは別の物語。
(31ズーペル・フィルム)(監督)ゲーツァ・フォン・ボルファリ(脚本)ヴァルター・ライシュ(撮影)ヴィリ・ゴルトベルガー(美術)アンドレイ・アンドレイエフ、ロベルト・ディートリッヒ(音楽)ロベルト・シュトルツ
(出演)ヴィリ・フォルスト、トルーデ・フォン・モロ、グスタフ・グリュンドゲンス
(87分・35mm・白黒)
★シューベルトの故郷 FRANZ SCHUBERT UND SEINE HEIMAT
(30年代ドイツ国鉄映画部)(撮)アドルフ・エーン
(13分・35mm・白黒)
★未完成交響楽LEISE FLEHEN MEINE LIEDER
貧しかった若きシューベルトが、作曲家として世に出てゆく姿を追ったヴィリ・フォルストの監督デビュー作。忠実な伝記ではないとされるが、ウィーンのフィルハーモニー管弦楽団や少年合唱団などの協力を得て、シューベルトの名曲が豪華に散りばめられている。
(33ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(原作)ヴァルター・ライシュ(撮影)フランツ・プラナー(美術)ユリウス・フォン・ボルソディ(音楽)フランツ・シューベルト
(出演)ハンス・ヤーライ、マルタ・エッゲルト、ルイゼ・ウルリッヒ、オットー・トレスラー
(88分・35mm・白黒)
★たそがれの維納(ウィーン) MASKERADE
20世紀初頭、雪降るウィーンを舞台に上流階級の男女の艶やかな恋と浮気を綴り、生粋のウィーンっ子フォルストの名を高めた名篇。すこぶる享楽的で、「軽快で、華美で、愛らしさがある」(G・サドゥール)と評された1930年代オーストリア映画を代表する一本である。
(34トビス・ザシャ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(撮影)フランツ・プラナー(美術)カール・シュテパネク(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)パウラ・ヴェッセリー、アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック) 、オルガ・チェーホヴァ、ペーター・ペーターゼン
(99分・35mm・白黒)
★囁きの木蔭 SO ENDETE EINE LIEBE
フランスに占領されたオーストリアの“人柱”として、19歳でナポレオンに嫁がされたハプスブルグ家の大公妃マリア・ルイゼの悲恋物語。『たそがれの維納』で絶賛されたパウラ・ヴェッセリーが姫を演じ、フォルスト扮するモデナ侯とのはかない恋が綴られる。
(34ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)カール・ハートル(撮影)フランツ・プラナー(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)フランツ・グローテ
(出演)ヴィリ・フォルスト、パウラ・ヴェッセリー、グスタフ・グリュンドゲンス
(86分・35mm・白黒)
★マヅルカ MAZURKA
殺人者による回想シーンを大胆に使ったストーリー運びが特徴的なフォルストの監督第3作目で、封切り当時、ストーリーを事前に公表してはならぬとの通達が出たという。題名はポーランドの民族舞踊。
(35ツィネ・アリアンツ)(監督)ヴィリ・フォルスト(脚本)ハンス・ラモー(撮影)コンスタンティン・チェット(美術)へルマン・ヴァルム、カール・ハッカー(音術)ペーター・クロイダー
(出演)ポーラ・ネグリ、アルブレヒト・シェーンハルス、インゲボルク・テーク
(94分・35mm・白黒)
★ひめごと ALLOTRIA
裕福な2人の伊達男があわせて3人の女性に惚れてしまうという、いわばルビッチ流の軽妙なソフィスティケイティッド・コメディ。ウィーン情緒の名手フォルストには珍しく、物語の始まりは遠洋航路の豪華客船で、しかも舞台はやがてパリに移ってゆく。
(36ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(脚本)ヨッヘン・フート(撮影)テッド・パーレ、ヴェルナー・ボーネ(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ペーター・クロイダー
(出演)アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック)、レナーテ・ミュラー、イェニー・ユーゴー、ハインツ・リューマン、ヒルデ・ヒルデブラント
(100分・35mm・白黒)
★ブルグ劇場 BURGTHEATER
ウィーン演劇界に長く君臨してきた国立ブルグ劇場。19世紀末にここで活躍した実在の俳優の半生をモデルとした映画で、『カリガリ博士』の大ベテラン、ヴェルナー・クラウスが若い娘への恋情と迫り来る老いの間にはさまれた名優を格調高く演じている。
(36フォルスト・フィルム)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(脚本)ヨッヘン・フート(撮影)テオドル・パーレ(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ペーター・クロイダー
(出演)ヴェルナー・クラウス、ヴィリー・アイヒベルガー、ホルテンゼ・ラキ、オルガ・チェーホヴァ
(122分・35mm・白黒)
■田中路子小特集
★田中路子さん帰国風景
(62)
(2分・16mm・白黒)
★音楽夜話 田中路子さんを迎えて
62(62NHK)
(20分・16mm・白黒)
★恋は終りぬ DIE LETZTE LIEBE
「蝶々夫人」の舞台で名を上げたオペラ歌手・田中路子(1909-1988)の映画初主演作。老作曲家の熱情に気づかず、若い指揮者と恋仲になる日本人留学生に扮した。『未完成交響楽』でシューベルトを演じた二枚目ハンス・ヤーライなど、ドイツ・オーストリア演劇界の名優たちが出演している。
(35トビス・ザシャ)(監督)フリッツ・シュルツ(脚本)ハインツ・ゴルトベルク、ガライ・アルヴァイ(撮影)ヴィリ・ゴルトベルガー(音楽)リヒャルト・タウバー、フリッツ・ロッター
(出演)田中路子、アルバート・バッサーマン、ハンス・ヤーライ
(87分・35mm・白黒)
★星のセレナード 田中路子独唱会
1963年1月29日に放映されたテレビでの独唱会。
(63NHK)
(25分・16mm・白黒)
★ヨシワラ YOSHIWARA
『恋愛三昧』(1932年)の流麗な演出で、たちまちドイツ映画界の新星となったマックス・オフュルスがフランスで撮影した一篇。日清戦争前夜の世情を背景に、ロシアの軍人と芸者の恋を描いたが、田中路子は声の代役を拒み、フランス語を猛勉強して撮影に臨んだ。
(36フィルム・エクセルシオール=ミロ・フィルム)(監督脚本)マックス・オフュルス(原作)モーリス・デコブラ(脚本)アーノルト・リップ、ウォルフガング・ヴィルヘルム、J・ダポワニー(撮影)オイゲン・シュフタン(美術)アンドレ・バルザック、レオン・バルザック(音楽)パウル・デッサウ
(出演)田中路子、ピエール・リシャール=ヴィルム、早川雪洲、ロラン・トゥータン、リュシエンヌ・ルマルシャン
(80分・35mm・白黒)