HAZAN
2006年 06月 25日
茨城県議会で議員をされている方のホームページです。
政治とはまったく無縁の僕としては、はなはだ場違いで、接点なんかまるで考えられなかったようなサイトなのですが、実は、映画「HAZAN」の検索をしていて偶然に辿り着いてしまったのです。
この映画「HAZAN」のモデルになった陶芸家・板谷波山という人が、茨城県の生んだ名士であることを、その方のホームページで始めて知りました。
こちらとしては、別になにかの材料探しとかで検索をしていたわけではなかったのが、その議員さんの書かれている文章を読んでいて、俄然映画「HAZAN」の感想を書いてみたい気持にかられました。
その議員さんの記事の内容は、極めて簡潔です。
茨城県が1000万円の助成金を出資した映画なので、いろんな機会を捉えて上映会を実施し、県民や特に青少年には是非見てもらい、少しでも出資した助成金の回収を計りたいという、いわば「呼びかけ」です。
自治体の予算をつぎ込んだ公的な利害が掛かっている事業の一環なのですから、その関係者なら至極当然な懸念なわけですよね。
そして、その「呼びかけ」の内容も、実にシンプルで、助成金1000万円の出資に対して、映画製作協力券2万7000枚をさばいたこの映画の、平成15年7月の完成から16年の末までの観客動員数は約3万5,000人、収益的には、製作費や上映経費が1億9600万円程度で、出資金や協賛金・県の助成金・上映等収入は2億4800万円となり、差し引き5000万円程度の利益が見込まれている、そこで、もうすぐ製作委員会が解散し、著作権が制作会社に移るので、もっと多くの県民にこの映画を観賞して貰って更なる収益を図るために関係各機関への申し入れを更に行いたい、というのがこの文章の全趣旨です。
この文章から、「映画」が当たれば、実に多くの人々が潤って幸せになれることがよく分かります。
でも、この議員さん、算盤を入れるのが忙しくっておちおち映画なんか見ていられなかったかもしれませんね。
いえいえ、この算盤勘定を決して揶揄しているのではありません。
こうした支えがなければ良心的な作品を地道に作るなんてできるはずがありませんし、こうした活動がなくなってしまったら、世の中、金回りのいいメジャーだけが収益率のいい派手派手な作品を宣伝のチカラで見せてしまう強引な商法だけがのさばって、そのために内容空疎な作品が量産されてしまうという悪循環を招き、どこかの国みたいな暗澹たる状況に陥ってしまうかもしれません。
しかし、算盤を入れるのに一生懸命なこの議員さんの文章をただ読んでいたのでは、この映画「HAZAN」がどういい作品なのか、それとも・・・なのか、分かりません。「売らんかな」の当事者が、その商品の欠陥なんて言うわけもないし、その方に本音の感想を求めること自体誤っていると思わないわけにはいきません。
ただ、この作品を見ていて感じた違和感がひとつありました。
僕たちがいままで見てきた芸術家の生涯を扱った作品と比べると、どうもこの映画、それらとは少し違う方向を向いているような印象を受けました。
芸術家の生涯を扱った伝記映画を思い浮かべられ限りざっと上げてみても、「炎の人ゴッホ」のゴッホ、「赤い風車」のロートレック、「モンパルナスの灯」のモジリアニ、「狂えるメサイア」のアンリ・ゴーディエ、「フリーダ」のフリーダ・カーロ、「ポロック・2人だけのアトリエ」のジャクソン・ポロックなどとは、どこか根本的に違う感じがしたのです。
教職を捨て、陶芸一筋に打ち込む波山を、極貧に堪えながらも妻は夫を信じて協力します。
焼き釜にくべる薪がなくなれば家の雨戸を打ち壊すことも厭いません。
1円2円の金にも事欠く極貧の生活に堪えながらの生活描写の部分が、陶芸の製作そのものの苦悩に優先して描かれています。
家族を犠牲にして作陶に打ち込む特異な状況下での家族や人間群像を描くためには、有効で最も描きやすい側面だったかもしれません。
そして、その食うために四苦八苦する苦難の生活が描かれたあとに、パトロンとなる社長なる人が現れて、1壷(1坪ではありません)1000円で買いましょう、以後先生の作品は私がすべて買わしていただきます、と言う一言に傍らで聞いていた奥さんが驚愕のあまり「1000円!」と叫んでこの映画は終わりました。
こんな見方は偏っているかもしれませんが、狂喜乱舞の「1000円!」がこの映画の結末です。
いやいや、前に挙げた天才たちにしても、彼らの作品を一手に引き受けて、生活を保障してくれる画商の存在があって、安定した製作ができたわけですから、将来花開くかもしれない才能の未知数の可能性に託してパトロンがついて投資するというのは、どれも似たようなものだったに違いありません。
ですので、多くの偏見によって才能を潰しかねない大衆の、いつになるか分からない不安定な評価を待つよりも、目の肥えたパトロンに認めてもらうことの方が、むしろ大事なことだったかもしれません。
ただ、狂喜乱舞の「1000円!」の突然の終わり方を持つこの作品が、映画そっちのけでお金勘定ばかりしていた議員さんとイメージが不思議に合致してしまったので、違和感というか、むしろ納得というか、そんな感じを持ったのでした。
ストイックといえば「芸術まっしぐら」みたいに考えがちですが、別な側面を持つストイックもあるのかもしれません。
五十嵐匠=榎木孝明は、奄美で生涯を閉じた異端の画家・田中一村を描いた「アダン」で組み、ストイックな芸術家の魂を更に見極めようとしているのでしょうか。
(03桜映画社)監督・五十嵐匠、製作・村山英世、プロデューサー・福間順子、ラインプロデューサー・桜井勉、原案・荒川正明、脚本・荻田芳久、五十嵐匠、撮影・芦澤明子、照明・金沢正夫、美術・池谷仙克、録音・南徳昭、整音・堀内戦冶、音楽・安川午朗、編集・宮島竜治、助監督・川口浩史、制作担当・米村栄子、記録・生田透子、コントラバス演奏・河原泰則、協力・茨城県 友部町 下館市、企画・映画波山製作委員会、
出演・榎木孝明、南果歩、康すおん、柳ユーレイ、寺島進、長谷川初範、大鶴義丹、益岡徹、中村嘉葎雄
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