世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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南太平洋 !

昨日の続きです。

本来ならA本部長があの怒涛の避難訓練でこうむった受難によって如何にダメージをこうむったかを書くべきところなのですが、あんなことくらいでメゲルような本部長ではありません。

衆目監視の緊張の現場で、あのように煽られ、たとえ七転八倒・動転しまくったとしても、そこはそれ、ほんのひととき限りのことで、それをいつまでも引きずっているようなヤワな人ではないのです。

すべてのマイナス要因を悉く自分の中に取り込んで、プラス活力に変えてしまうという信じられないくらい強靭な錬金術人間の彼は、いままでだって窮地に陥りながら不死鳥のように甦り蘇生を遂げ、こんなふうに多くの人を失望させてきたシタタカ者です。

それを証明するような驚天動地の伝説的逸話をひとつ紹介しますね。

これで本部長という人のなんたるかを少しでもお伝えできれば幸いです。

数年前の夏休み、本部長が家族を連れてハワイ旅行をしたときの話です。

むこうに着いて早々、本部長は、クーポン券が使える洒落たレストランのメニューが、どこも脂っこいものばかりなのですぐに閉口し、ホテルの前の通りをひとりで歩き回って日本食の食べられる所を探し回ったそうです。

そこでまず見つけたのが、日本でならどこにでもある「京樽」。

すぐに入って店内に並べられている「お持ち帰り」が日本と同じなので、思わず嬉しくなったそうです。

しかし、売り子はすべてアチラの方。

何を言っているのかさっぱり分からず、品物を指差して、10本の指をフルに使って、ようやくおにぎりと押し寿司のパックを大騒ぎで買うことに成功したのですが、売買が成立した後、さらに黒人の店員が盛んに何かを言っている・どうも数字に関することをいっているらしいのですが、それがまったく分からない。

わずかに聞き取れたのが「スティック」という言葉です。

そこでわが本部長は、細い棒を瞬時に連想し、すぐに「箸」のことかと閃いたというのです。

肌の色が違う毛唐の訳の分からない言葉を、自分が聞き分けて理解できたことが余程嬉しかったらしく、帰朝してからも繰り返しその異文化を超えた感動の瞬間を誇らし気に課員に話していました。

まるで、ジョン万次郎か金田一京助のような人だなあと皆そろって感嘆したものでした。

しかし、実際に食べてみたおにぎりと押し寿司は、それはもう酷い代物だったそうで、そのことが却って本部長に「日本食恋し」という欲望を増幅させてしまい、居ても立ってもいられないような気持ちの時に、ホテルの従業員から耳寄りな情報を手に入れました。

アラモアナ辺りのショッピングセンターのなかに日本蕎麦を食べさせる店があるという情報です。

さっそく無料トロリーバスでアラモアナに出かけてその店を探し出しました。

従業員もお客さんもほとんど外国人ばかり(ハワイで外国人なのは「自分」の方なのですが、どうも本部長の話を聞いているとハワイを外国と認識していない節があります)ですが、英語のメニューにはしっかりと日本語が併記されている優れものでした。

ただ、従業員に日本語での注文は通じずに、メニューを指差すにとどまりました。

しかし、昨夜の「京樽」に比べたら大進歩、「日本の食文化」の大きな後ろ盾に守られているような心強さと安心感がありました。

さて、注文したのは、シンプルな「ざるそば」です。

15分待たされてキュートなワイキキ娘が、上等の蒸籠にスパゲッティのように盛られた(気にしません)正真正銘の「ざるそば」が運ばれてきました、品のいい箸袋の割り箸もちゃんと添えられています。

見た感じ麺も艶やかで、こう言ってはなんですが、予想に反して実においしそうな「ざるそば」です。

ですが、麺つゆがついていません。

店内が立て込んできて、あのキュートなワイキキ娘がひとりでさばいているのですから、とても忙しいことは十分に分かるのですが、目の前のせっかくのおいしそうな麺を前にしてお預けをくっている感じで、少し苛立ってきました。

ようやくあのキュートなワイキキ娘が近くに来たので本部長は努めて冷静に、そして穏やかに声を掛けました。

「アイ・ウオント・ツーユ」

すぐにキュートなワイキキ娘は店の奥に消え、変わりに物凄く怖い顔のボブ・サップみたいな親爺が現れ、もう少しで殺されるところだったと回想していました。

不幸中の幸いは、終始単独行動だったために、このことが家族に知られずに済んだこと、もし知られていたら、女房のヤツまた里帰りしてしまうからな。

えっ? 「また」って!?
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by sentence2307 | 2006-08-12 13:32 | 映画 | Comments(0)