世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


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カテゴリ:ドイツ映画( 5 )

世界映画史の本を読んでいると、「誓いの休暇」という同名の作品が、2本作られていることに気づかされます。

1本は、カンヌ映画祭で最優秀賞を受賞した高名なグリゴーリ・チュフライ監督の1959年作品「誓いの休暇」です。

このチュフライ監督の「誓いの休暇」に関する情報なら、愛好者がとても多くて物凄い量の情報がネットにアップされており、おまけにyou tube動画で予告編まで見ることができます、まあ、さすがに全編まで見るというわけにはいきませんでしたが、ブログを読んでいくと、「少し前までは全編を見ることができた」みたいなコメントすらありました。

そしてもう一本の方が、カール・リッター監督が1937年に作った同名の「誓いの休暇」です。しかし、この作品の方は、皆無と言っていいほど情報がありません。

長い間、その情報の少なさが気にかかっていたのですが、特に調べることもなく今日まできてしまいました、とてもいい機会なので少し調べてみることにしました。

この「気にかかっていたけれども、調べなかった」というのは、実は嘘で、「情報なんか、最初からないかもしれない」という少しばかりの確信というか思い込みがありました。

というのも、作られた年代からすると、たぶん「そうだろうな」と感じていたのですが、どうもこの作品、ナチスドイツのプロパガンダ映画のようなのです。

その辺の見当をつけて、田中純一郎の「日本映画発達史 Ⅲ」の「第9章 映画の運命」のあたりを集中的に読んでみました。このクダリは、いよいよ戦局が苛烈になり、日本国内でもそろそろ外国映画(米英の敵性映画)の上映制限が始まろうとしている時期です。

その「昭和15年」(72ページ~76ページ)の項のなかで、こんな記述をみつけました。

《輸入制限でストックの少ない外国映画に、つづけざまの検閲難が見舞った。なかでもシャルル・ボワイエの主演映画3本が相次いで検閲拒否にあって注目された。すなわち、ワーナー作品「トヴァリッチ」、メトロ作品「征服」、ユニヴァーサル作品「明日来りなば」で、殊に作品「明日来りなば」は妻帯者の恋愛や労働時間を扱った内容が問題になって、封切り直前に検閲を却下された。また、パラマウントの「ボー・ジェスト」、メトロの「大西洋爆撃隊」、ウーファの「誓いの休暇」、フランス映画「シリアに戦いて」なども、戦意高揚に支障ありとして、先年の「大いなる幻想」と同様に輸入禁止、または検閲拒否の処置を取られた。》

このクダリを読んでちょっと意外に感じたのは、上映禁止になったのは、なにも「米英の敵性映画」ばかりではなかったという部分です。やがて同盟国となるくらい近しい関係だったはずのドイツの映画にもかかわらず、「誓いの休暇」も国民の「戦意高揚に支障あり」という理由で禁止になったのだ、というクダリが強く印象に残りました。

それに、上映が禁じられ、国内で見る機会を失ったにもかかわらず、いまでも通り名として「邦題(誓いの休暇)」で十分通用していることがなんだか不思議な気がしますし、とにかく、日本国内で上映されることがなかったわけですから、当然、この作品についての「情報」など存在するわけがないというのが、自分の「情報なんか、最初からないはず」という確信の理由です。

しかし、今回、手持ちの資料をひとつずつあたっていくなかで、「ないはず」と思っていた情報が、意外と「あるじゃないか」ということで、正直、少し戸惑っています。

最初調べた資料は、キネマ旬報社が1970年に出版した「世界映画作品大辞典」(キネマ旬報増刊3・5号)です。実に48年前の本がこうして今でも活用できるのですから、物凄いことだと思います。

そうそう、ここでひとつ訂正しなければならないことがあります。

この本によれば、カール・リッター監督の作品名は、正確には、「誓ひの休暇」なのだそうです、迂闊でした。検索でヒットしなかった理由がこれかもしれないと思い、急遽、再検索をかけたところ、ありました・ありました。またしても、自分のチョンボです。
さて、「世界映画作品大辞典」で「誓ひの休暇」が、どのように記されているか、ご紹介しますね。

★誓ひの休暇 Urlaub Ehrenwort
第一次世界大戦末期、ドイツ軍の敗色が濃い状況のなかで、後方から戦線に復帰する兵士たちが、ベルリン駅で前線に向かう列車を6時間待つことになり、小隊長は独断で部下たちに自由行動を許すが、果たして彼らが出発時間までに戻ってくるかどうか、という戦時の価値観を宣伝する国策映画だが、一方で、ベルリンでの思い思いの行動をエピソード風に情感深く描き、戦時下にある窮迫したベルリン市民の生活を鋭く浮き彫りにしたその描写の非凡さが米国などで高く評価された。

なお、日本には1941年に輸入されて公開の準備が進められていたが、小隊長の判断が「軍規に反する」とし、また、「兵士ひとりひとりの感情の掘り下げ」が、日本の軍人にはそぐわない(兵士に人間的な感情など不要だ)と判断した内務省により検閲不許可となった。

ソ連映画『誓いの休暇』(1959、グリゴリー・チュフライ)とは別内容である。

(1938ドイツ/ウーファ)監督・カール・リッター、原作・キリアン・コル、ヴァルター・ブレーム、原作脚本・チャルズ・クライン、脚本・フェリックス・リュッケンドルフ、撮影・ギュンター・アンダース、美術・ヴァルター・レーリヒ、音楽・エルネスト・エーリヒ・ブーダー
出演・ロルフ・メービウス、インゲボルク・テーク、フリッツ・カンパース、ベルタ・ドレウス


文中「ソ連映画『誓いの休暇』(1959、グリゴリー・チュフライ)とは別内容である。」とは書かれていますが、本当にそうか、という気はします。哀調とか、ストーリーの起伏とかは、チュフライ作品の方が、はるかに巧みに脚色されていて優れていることは一目瞭然ですが、それは後進者の強みというだけで、ストーリーの骨格となるアイデアだけは、ちゃっかり頂いたんじゃないんですか。終戦の動乱に乗じてウーファの撮影機材をごっそり・チャッカリ、ネコババしたみたいにね。

同じくキネマ旬報社刊「世界映画人名事典・監督(外国)編」(キネマ旬報増刊12・21号)1975年刊には、ドイツ版「誓ひの休暇」の監督・カール・リッターその人が掲載されているじゃありませんか、誰だ、情報がまったくない、なんて言った奴は。

そこには、こんなふうに書かれていました。

★カール・リッター(独)Karl Ritter
1888年、ヴュルツブルグ生まれ。第一次大戦後の1919年まで陸軍将校として軍隊生活を続け、復員後は画家やデザイナーの仕事に従事した。25年に映画界入りし、ジュドフィルム社やエメルカ映画社の宣伝マンとなった。32年からウーファ社の監督兼プロダクション・マネージャーとなり、第二次大戦が終わるまで、ナチス政権下にあって、ナチスのプロパガンダ映画を作り続けた。第二次大戦後は、ドイツ映画で仕事ができなくなり、48年にアルゼンチン(あっ、確かアイヒマンもアルゼンチン・・・)にわたって映画製作に従事していたが、54年にドイツに戻っている。(1975年刊の本なので、ここまでしか記述はありません)
〔作品〕
1936 Weiberregiment、スパイ戦線を衝く、
1937 最後の一兵まで、誓ひの休暇、祖国に告ぐ、
1938 勲功十字軍、カプリチオ、
1939 Legion Condor、Die Hochzeitsreise
1940 Bal pare
1941 Kadetten、Uber alles in der Welt、急降下爆撃隊、
1942 G.P.U.
1943 Besatzung Dora
1944 Sommernachte
1954 Ball der Nationen、Staatsanwaltin Corda


大事なことは何ひとつ書かれていない、こんな骨抜きの経歴じゃ話になりません。

やっこさん、ナチスのプロバガンダ映画をバリバリ撮っていたわけですから、ナチスに取り入り権力欲を満たした、もっと面白いエピソードなら、それこそ腐るほどあるはずです。なんですか、これは。とても残念な手抜きの記事で、心底がっかりしました。

こんな消化不良なものでは、このままドイツ版「誓ひの休暇」の調査を終わらせるわけにはいきません。

それでは、次の資料にいきますね。3冊目は、いよいよ「世界の映画作家34 ドイツ・北欧・ポーランド映画史」です。101ページから102ページにかけて、カール・リッターの解説が掲載されていました。こんな感じです。

《カール・リッターは、1936年に国策防諜映画「スパイ戦線」をつくったあと、37年に第一次世界大戦を舞台とする3本の愛国映画「最後の一兵まで」、「誓ひの休暇」、「祖国に告ぐ」を立て続けに演出した。彼の場合はハーランのように、正面から国家社会主義的テーマを押し出さない。一見ヒューマニスティックな人間描写で、技術的にも作劇的にも観客心理をよくわきまえていて、手の込んだ暗示でナチス思想を浸透させる。よほど注意して見ないと、反ナチ的人道主義の映画と錯覚する。

「最後の一兵まで」は、後方の軍団司令部に舞台を限定し、作戦のメカニズムを観客に見せながら、部下を自らの手で殺さなければならない司令官(ハインリッヒ・ゲオルゲ)の苦悩を描きだす。全体の勝利のために、個々の犠牲を承認する・これは「指導者原理」にほかならにない。

また、「誓ひの休暇」では、敗戦直前のベルリン、飢餓、厭戦気分、反戦運動、裏切り、誘惑などがリアルに表現される。数時間の休暇を与えられて、そのような街に投げ出された兵士たちが、どうなるか。しかし彼らは、結局若い小隊長(ロルフ・メービウス)との約束を守り、全員帰ってくる。軍人の義務、忠誠心が、人間的な信義の問題に置き換えられ、反戦描写を逆手にとって、愛国主義を鼓吹する。ここに語られているのは、立派な兵士を裏切った金持ち・政治家、平和主義者という図式、ヒトラーが好んで口にする「背後から一刺し」の思想である。

以上、二作に比べると、「祖国に告ぐ」は通俗的なメロドラマで、戦争を超えた恋愛至上主義を描いた作品と間違われる。フランス国内に墜落したドイツの飛行将校が、前線慰問のフランス人の旅芸人一座に救われ、やがて一座のヒロイン(リタ・パーロバ)と恋に落ちる。密告者がいて捕らえられ、スパイの嫌疑をかけられるが、娘の証言で捕虜収容所に送られるだけで済む。ご都合主義的なハッピーエンドで、独仏協調をうたっているかのようだ。しかし、フランス兵を慰問するシーンに出てくるのはすべて黒人の植民地兵である。ここにヒトラーの劣等民族を動員しなければ戦えぬフランスへの侮蔑の気持ちが鋭く込められている。このシーンの裏を返せば、民族の純血を強調するナチスの思想になる。

1938年の映画会議でリッターは次のように語った。

「われわれは、数万の単純な観客を煽動しなければならない。だから、われわれの作る作品は、シナリオ、演出、セット、撮影、演技のすべてにおいて、単純な表現による煽動ということを心がけねばならない。」

また、俳優としてリッター作品に主演しながら、そのシナリオをも書いたナチス党員、マティアス・ヴィーマンも語ってる。

「もっとも高い思想である総統の言葉、それに奉仕する芸術の兵士、私はその兵士の一人でありたい。」

リッターはこの時期、リリアン・ハーヴェイを使った好色的なオペレッタ「カプリチオ」をつくり、達者な娯楽映画の作り手としての職人技術を披露しているが、彼もまたハーランと同様に、ナチス映画を代表するひとりであった。》


ほら、あるじゃないですか、好色的オペレッタ「カプリチオ」、これですよ、これ。

こういうネタを探し出さないと、ヴィスコンティだってリリアナ・カヴァーニだって、自分だって満足するわけには、いきません。

このドイツ版「誓ひの休暇」調査を締めくくるにあたり、ちょっとだけ《好色的オペレッタ「カプリチオ」》が如何なるものか、妄想ついでに検索してみようと思います、これからね。

きっと、「愛の嵐」みたいな物凄い映画だと期待しています。

凄かったら、また報告しますね。



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by sentence2307 | 2018-07-24 22:57 | ドイツ映画 | Comments(2)

善き人のためのソナタ

犬童一心監督の「ゼロの焦点」を見ながら、不意に思い出したことがありました。

同期で入社したあと、1年ですぐに退社した男のことです、仮に「ハシモト」とでもしておきますね。

「ゼロの焦点」において、夫・鵜原憲一が、終戦直後のわずかな期間、立川署の巡査をしていたという彼の過去の事実が、一連の連続殺人事件の謎を解く重要な鍵として描かれていました。

GHQの手先となって、同じ日本人である哀れな街娼たちを追いたて、いたぶる過酷な取締りの仕事に疑問を感じて、僅かの期間を勤めただけで、すぐに警察を辞めてしまったというその過去の一事実が、憲一という人間像も含めて、彼の社会に対する考え方を巧みに描いているところです。

彼もまた、幸せでない孤独な生い立ちを背負って生きてきたことが判明するに従って、より一層、貧しく寄る辺ない娼婦たち・不幸な日本の女たちに注ぐ特別な同情と共感が、痛切に描かれていた部分だったと思います。

新妻・禎子はもとより、一般常識からいっても到底理解しがたい、変名を使ってまでの彼の衝撃的な「二重生活」の謎の意味を納得させるだけの、戦争で傷ついた孤独な男の心の拠り所が、元娼婦の田沼久子との秘密の同棲生活だったことを明確に説明できたぶぶんでもあったと思います。

陰惨な心の闇というよりも、むしろ、あの部分だけは向日性の、抑圧された者たちのささやかな安らぎを感じてしまいました。

そしてたぶん、戦後の混乱が終息されはじめた時期にあっては、それは許されるべきものではなかったということなのでしょうが。

あの場面を見ながら、退社以来、何年も思い出すことのなかったあの「ハシモト」のことを不意に思い出したのでした。

そのころの日本は物凄い好景気で、生産が追いつかないくらい物が売れて売れて仕方のないときです。

それは国内についてだけではなく、各国からのバイヤーも、常に何人かは毎週、商談にわが社にも顔を見せに来ていました。

そこでの新入社員の主な仕事は、商談がまとまった後のバイヤーたちの接待です。

(彼らにとっての)めずらしい日本料理を食べさせる料亭を手配し、きれいどころのいるクラブを押さえておきます(場所は、すでに決まっていて機械的に電話で予約するだけの仕事です)。

料理屋では箸の使い方をオーバーに褒めたり、横文字の名前に強引な漢字を当て嵌めてあげたりするだけで随分喜ばれ、そんなことで結構「接待」の間が持ちました。

酒の席では少しずつ話を卑猥な方に傾けて、頃のいいところで、会社とツーカーですべてを心得ているクラブのママが、客の趣味に合ったお相手を見繕って、ホテルに放り込むという次第です。

そうでもしなければ、夜通し酒の席につきあわされかねません。

まあ、そのあとは、気が向けば、席を変えて二人だけのささやかな打ち上げをやりました。

そんなときの「ハシモト」は、必ずこの仕事を愚痴り、心からうんざりしているようでした。

自分とて、こんな愚劣な接待の仕事なんか別に好きなわけではないけれど、これも仕事の一部と割り切っている自分の気持ちを話しましたが、すればするほど、かえって彼の気持はますます負の方向へ硬化していったみたいでした。

やがて、入社したての頃には話していた彼の仕事に対する夢も、将来の希望も次第に話さなくなりました、接待の席では、だんだん客よりも早く酔い始め、彼らの言葉尻をとらえては日本語でからむ気配をみせはじめるようになったので、危険を感じた自分は、適当な口実をつけて、先にタクシーで帰してしまうということが多くなりました。

しばらくは、そんな感じで、それなりにうまくいっていたのですが、不自然な「ハシモト」の言動と挙動を不審に思ったひとりのバイヤーが、コトの顛末を営業本部長に話したことから問題になり、彼は厳重注意を受けました。

そのバイヤーというのが、特に営業本部長と親しかったこともワザワイしたかもしれません。

本部長がまだ駆け出しだったとき、そのバイヤーとコンビを組んで国内外の買い付けの仕事で飛び廻っていた頃の数々のエピソードが、いまでも社内の語り草になっています。

例えば、こんな話があったそうです。

そのバイヤーと一緒に福岡支社を視察に行くという朝、同行するはずの本部長が、道路渋滞のために羽田空港への到着が遅れ、乗るはずの飛行機を逃してしまったという話。

本部長の不注意から時間を無駄にされたバイヤーは大いに怒り、ただただ本部長も謝るしかありません。

そんなときに、乗るはずだった飛行機が墜落したという一報が入りました。

多数の死者がでたという航空機事故史上ちょっと有名な凄惨な事故です。

しかし、この事件で遅刻が正当化されるわけもないので、本部長はなおも謝り続けたのですが、クダンのバイヤーは本部長の謝罪を制して、こう言ったそうです。

「謝罪はもうそのあたりで結構です。幸か不幸か(福岡)、あなたの遅刻のお陰で命拾いしました。」

こんな深刻なときに駄洒落を考えていたそのバイヤーの不謹慎さには、あきれ返るべきだったかもしれませんが、その場にいた関係者一同が、その駄洒落に対して苦笑どまりで耐えることが出来たかどうか、残されているエピソードからは窺い知ることはできません。

本部長から厳重注意を受けたあと、「ハシモト」は、幾日もたたずに会社を辞めていきました。

そのときに別れの言葉を交わしたかどうかも含めて、当日、どのように彼が退社したのか、その様子について記憶がまったくないので、おそらく彼は同僚に挨拶もせずに去っていったような気がします。

その後、しばらく経ってから、彼の噂をふたつだけ聞きました。

ひとつは、退社してほどなく奥さんと離婚したこと、そしてもうひとつは、日本で持っていた財産のすべてを処分し、ひとりだけで海外へ放浪の旅に出かけたということでした。

そのあとの消息はまったく分かりません、ほんの先週前までは。

先週のことでした、厳しい経営状況がつづく緊縮財政のなか、グレードは落ちても接待はあります、その相変わらずのバイヤーの接待を終えて、ひとり飲み直しをしていたときでした、見ず知らずの老人から声を掛けられました。

その風采のあがらない老人から、いくら「俺だよ」と言われても、まったく分かりません。

彼が、自分を指差して「ハ・シ・モ・ト」の言葉で、ようやっと分かりました。

「ええッ!」という感じです。

そう、このクラブこそは、むかし彼と愚痴り合った当のその場所だったのですから。

少しの期間でしたが、初めての馴れない仕事を将来の希望や意欲を語り合いながら、苦労して頑張った仲です。

旧交を温めるというのは、こういうことかと実感できる邂逅でした。

いまの日本の元気の無さや、会社の不振は、彼と仕事をしていた頃と比べたら、隔世の感があります。

あの頃、それがバブルで膨れ上がった単なる思い上がりにすぎなかったとしても、自分のような若造にも、日本は世界の頂点に立っているナンバー・ワンという実感はありました。

しかし、そんな華やかな・それだけに今となっては空疎な思い出を語ることの無意味さは、十分に分かっているつもりです。

現在の会社の苦境をひととおり話した後、「そっちは、あれからどうしてた?」と尋ねました。

そして、以下は、彼が語った「あれから」です。

退職してから、しばらく就職活動をしたものの、うまくゆかず、そんなこんなで奥さんと離婚したあと、奥さんと分けたあとにわずかに残った財産をすべて現金に代えて、渡米したそうです。

一年ほど西海岸で働きながら暮らした後、イギリスにわたったのですが、なかなかいい仕事が見つからず、やむなく欧州でも仕事を探しながら、あっちこっちとしばらく放浪を続け、その間、アメリカとも行き来し、アジアにも足をのばしたそうです。

「まさしく夢見ていた世界放浪じゃないか。」という僕の言葉に「そんなものじゃないよ」と無表情に答え「日本にだけは入らなかった」と憮然と話す彼でしたが、しかし、いま暮らしているドレスデンについて語る彼の表情は、一転活き活きとしていました。

「ドレスデンて、あのドイツの?」

ここまで読んできて、どこが「善き人のためのソナタ」だ、とお思いになっていらっしゃる方もおられるでしょうが、ここからが、やっと「善き人のためのソナタ」です。

そうなのですが、ただちょっと疲れました、必ずや、次の機会に「ハシモト」と「善き人のためのソナタ」のことについて書いてみたいと思います。

それではまた!
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by sentence2307 | 2010-11-07 08:57 | ドイツ映画 | Comments(9)
★オスカー・フィッシンガーの抽象映画とウーファ社音楽短篇
ヴァルター・ルットマンの強い影響を受けて抽象映画の先駆者になったオスカー・フィッシンガー。アメリカ移住前に母国で発表した「習作」シリーズは、第5作からトーキーとなり、日本では東和商事により「光の交響楽」シリーズとして公開された。ノーマン・マクラレンなど次世代にも影響を与えたこれら7作品を、ウーファ社の「ドン・コザック合唱団」の音楽短篇4本とともに上映する。
(計66分)

★アメリカン・フォックストロットSTUDIE 5 (AMERICAN FOXTROTT)
(30)(監督)オスカー・フィッシンガー
(4分・35mm・白黒)

★ハンガリアン・ダンス5番STUDIE 7 (UNGARISCHER TANZ No.5)
(31)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)ヨハンネス・ブラームス
(3分・35mm・白黒)

★魔法使の弟子STUDIE 8 (L’APPRENTI SORCIER)
(31)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)ポール・エイブラハム・デュカス
(5分・35mm・白黒)

★ハンガリアン・ダンス6番STUDIE 9 (UNGARISCHER TANZ No.6)
(31)(監)オスカー・フィッシンガー(音楽)ヨハンネス・ブラームス
(3分・35mm・白黒)

★アイーダのバレエ音楽STUDIE 10 (BALLET MUSIK AUS AIDA)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音楽)ジュゼッペ・ヴェルディ
(5分・35mm・白黒)

★モーツァルトのメヌエットSTUDIE 11 (MENUETT VON MOZART)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(音楽)W・A・モーツァルト
(5分・35mm・白黒)

★ルビンシュタインの光の踊りSTUDIE 12 (LICHTERTANZ)
(32)(監督)オスカー・フィッシンガー(動画)ハンス・フィッシンガー(音楽)アントン・ルビンシュタイン
(4分・35mm・白黒)

★ドン・コザックの歌DON-KOSAKEN CHOR
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(11分・35mm・白黒)

★野營の歌AM LAGERFEUER
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(9分・35mm・白黒)

★アヴェ・マリアAUS DER SCHATZKAMMERMUSIK
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(8分・35mm・白黒)

★故郷の歌DIE HEIMAT IM LIED
(36ウーファ)(監督)ヨハンネス・グーター
(出演)ドン・コザック合唱団
(9分・35mm・白黒)

■オーストリア名作選

★女ひとり EPISODE
ウィーンが恐慌のさなかにあった1922年、彫刻を学ぶ女子学生が身の転落におびえる中で、裕福なイタリア紳士に出会う。脚本家ライシュの珍しい監督作で、その後ハリウッドに渡って『ニノチカ』39や『ガス灯』44などの秀作を書いている。
(35トビス・ザシャ)(監督脚本)ヴァルター・ライシュ(撮影)ハリー・ストラドリング(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)パウラ・ヴェッセリー、カール・ルードヴィッヒ・ディール、オットー・トレスラー
(84分・35mm・白黒)

★郷愁 HOHE SCHULE
謎の前歴を持つヨーロッパきっての名馬術士がウィーンを訪問、将軍の令嬢が彼に思いを寄せて入門するが。監督のエンゲルは、ブレヒトの「三文オペラ」の世界初上演を演出した人物で、ドイツとの合作だがウィーン情緒にあふれた一本である。
(35ABCフィルム=トビス・ザシャ)(監督)エーリッヒ・エンゲル(脚本)ハインリッヒ・オーバーレンダー(撮影)ブルーノ・モンディ(美術)ユリウス・フォン・ボルソディ(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)ルドルフ・フォルスター、アンゲラ・ザローカー、ハンス・ホンマ
(88分・35mm・白黒)

★白夜の果てに DER POSTMEISTER
プーシキンの短篇集「ペールキン物語」(1831年)の一篇「駅長」が原作で、若い軍人に愛娘を連れ去られた馬車駅の役人をめぐる悲劇。ヒット作となった1925年のソ連映画に続く再映画化だったが、日本では戦後の1956年になって公開された。
(40ウィーン・フィルム)(監督)グスタフ・ウチツキ(原作)A・S・プーシキン(脚本)ゲルハルト・メンツェル(撮影)ハンス・シュネーベルガー(美術)クルト・ヘールト、ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ヴィリー・シュミット・ゲントナー
(出演)ハインリッヒ・ゲオルゲ、ヒルデ・クラール、ジークフリート・ブロイエル、ハンス・ホルト
(93分・35mm・白黒)

■ヴィリ・フォルスト小特集

★モナ・リザの失踪 DER RAUB VON MONA LISA
俳優として、そして監督・脚本家として1930年代のオーストリア・ドイツ映画に一時代を築いた才人ヴィリ・フォルスト。本作はまだ監督デビューの前で、恋のために名画を盗むガラス職人の役柄を演じた。1911年に起きた盗難事件をベースにしているが、史実とは別の物語。
(31ズーペル・フィルム)(監督)ゲーツァ・フォン・ボルファリ(脚本)ヴァルター・ライシュ(撮影)ヴィリ・ゴルトベルガー(美術)アンドレイ・アンドレイエフ、ロベルト・ディートリッヒ(音楽)ロベルト・シュトルツ
(出演)ヴィリ・フォルスト、トルーデ・フォン・モロ、グスタフ・グリュンドゲンス
(87分・35mm・白黒)

★シューベルトの故郷 FRANZ SCHUBERT UND SEINE HEIMAT
(30年代ドイツ国鉄映画部)(撮)アドルフ・エーン
(13分・35mm・白黒)

★未完成交響楽LEISE FLEHEN MEINE LIEDER
貧しかった若きシューベルトが、作曲家として世に出てゆく姿を追ったヴィリ・フォルストの監督デビュー作。忠実な伝記ではないとされるが、ウィーンのフィルハーモニー管弦楽団や少年合唱団などの協力を得て、シューベルトの名曲が豪華に散りばめられている。
(33ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(原作)ヴァルター・ライシュ(撮影)フランツ・プラナー(美術)ユリウス・フォン・ボルソディ(音楽)フランツ・シューベルト
(出演)ハンス・ヤーライ、マルタ・エッゲルト、ルイゼ・ウルリッヒ、オットー・トレスラー
(88分・35mm・白黒)

★たそがれの維納(ウィーン) MASKERADE
20世紀初頭、雪降るウィーンを舞台に上流階級の男女の艶やかな恋と浮気を綴り、生粋のウィーンっ子フォルストの名を高めた名篇。すこぶる享楽的で、「軽快で、華美で、愛らしさがある」(G・サドゥール)と評された1930年代オーストリア映画を代表する一本である。
(34トビス・ザシャ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(撮影)フランツ・プラナー(美術)カール・シュテパネク(音楽)ヴィリー・シュミット=ゲントナー
(出演)パウラ・ヴェッセリー、アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック) 、オルガ・チェーホヴァ、ペーター・ペーターゼン
(99分・35mm・白黒)

★囁きの木蔭 SO ENDETE EINE LIEBE
フランスに占領されたオーストリアの“人柱”として、19歳でナポレオンに嫁がされたハプスブルグ家の大公妃マリア・ルイゼの悲恋物語。『たそがれの維納』で絶賛されたパウラ・ヴェッセリーが姫を演じ、フォルスト扮するモデナ侯とのはかない恋が綴られる。
(34ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)カール・ハートル(撮影)フランツ・プラナー(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)フランツ・グローテ
(出演)ヴィリ・フォルスト、パウラ・ヴェッセリー、グスタフ・グリュンドゲンス
(86分・35mm・白黒)

★マヅルカ MAZURKA
殺人者による回想シーンを大胆に使ったストーリー運びが特徴的なフォルストの監督第3作目で、封切り当時、ストーリーを事前に公表してはならぬとの通達が出たという。題名はポーランドの民族舞踊。
(35ツィネ・アリアンツ)(監督)ヴィリ・フォルスト(脚本)ハンス・ラモー(撮影)コンスタンティン・チェット(美術)へルマン・ヴァルム、カール・ハッカー(音術)ペーター・クロイダー
(出演)ポーラ・ネグリ、アルブレヒト・シェーンハルス、インゲボルク・テーク
(94分・35mm・白黒)

★ひめごと ALLOTRIA
裕福な2人の伊達男があわせて3人の女性に惚れてしまうという、いわばルビッチ流の軽妙なソフィスティケイティッド・コメディ。ウィーン情緒の名手フォルストには珍しく、物語の始まりは遠洋航路の豪華客船で、しかも舞台はやがてパリに移ってゆく。
(36ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(脚本)ヨッヘン・フート(撮影)テッド・パーレ、ヴェルナー・ボーネ(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ペーター・クロイダー
(出演)アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック)、レナーテ・ミュラー、イェニー・ユーゴー、ハインツ・リューマン、ヒルデ・ヒルデブラント
(100分・35mm・白黒)

★ブルグ劇場 BURGTHEATER
ウィーン演劇界に長く君臨してきた国立ブルグ劇場。19世紀末にここで活躍した実在の俳優の半生をモデルとした映画で、『カリガリ博士』の大ベテラン、ヴェルナー・クラウスが若い娘への恋情と迫り来る老いの間にはさまれた名優を格調高く演じている。
(36フォルスト・フィルム)(監督脚本)ヴィリ・フォルスト(脚本)ヨッヘン・フート(撮影)テオドル・パーレ(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ペーター・クロイダー
(出演)ヴェルナー・クラウス、ヴィリー・アイヒベルガー、ホルテンゼ・ラキ、オルガ・チェーホヴァ
(122分・35mm・白黒)

■田中路子小特集

★田中路子さん帰国風景
(62)
(2分・16mm・白黒)

★音楽夜話 田中路子さんを迎えて
62(62NHK)
(20分・16mm・白黒)

★恋は終りぬ DIE LETZTE LIEBE
「蝶々夫人」の舞台で名を上げたオペラ歌手・田中路子(1909-1988)の映画初主演作。老作曲家の熱情に気づかず、若い指揮者と恋仲になる日本人留学生に扮した。『未完成交響楽』でシューベルトを演じた二枚目ハンス・ヤーライなど、ドイツ・オーストリア演劇界の名優たちが出演している。
(35トビス・ザシャ)(監督)フリッツ・シュルツ(脚本)ハインツ・ゴルトベルク、ガライ・アルヴァイ(撮影)ヴィリ・ゴルトベルガー(音楽)リヒャルト・タウバー、フリッツ・ロッター
(出演)田中路子、アルバート・バッサーマン、ハンス・ヤーライ
(87分・35mm・白黒)

★星のセレナード 田中路子独唱会
1963年1月29日に放映されたテレビでの独唱会。
(63NHK)
(25分・16mm・白黒)

★ヨシワラ YOSHIWARA
『恋愛三昧』(1932年)の流麗な演出で、たちまちドイツ映画界の新星となったマックス・オフュルスがフランスで撮影した一篇。日清戦争前夜の世情を背景に、ロシアの軍人と芸者の恋を描いたが、田中路子は声の代役を拒み、フランス語を猛勉強して撮影に臨んだ。
(36フィルム・エクセルシオール=ミロ・フィルム)(監督脚本)マックス・オフュルス(原作)モーリス・デコブラ(脚本)アーノルト・リップ、ウォルフガング・ヴィルヘルム、J・ダポワニー(撮影)オイゲン・シュフタン(美術)アンドレ・バルザック、レオン・バルザック(音楽)パウル・デッサウ
(出演)田中路子、ピエール・リシャール=ヴィルム、早川雪洲、ロラン・トゥータン、リュシエンヌ・ルマルシャン
(80分・35mm・白黒)
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by sentence2307 | 2006-01-14 18:27 | ドイツ映画 | Comments(3)

★絵画の都 KASSEL
(30年代)(アトランティック・フィルム)(撮影)E・M・シューマッカー
(10分・35mm・白黒)

★歌へ今宵を MEIN HERZ RUFT NACH DIR
『今宵こそは』に続いて歌手キープラが得意ののどを存分に発揮する音楽映画で、客船の中で主人公が出会う密航者の娘が、後に実生活の伴侶ともなるソプラノ歌手エッゲルトである。イタリア映画界から活躍の場を求めてきたベテランのガッローネが演出に当たった。
(34ツィネ・アリアンツ)(監督)カルミネ・ガッローネ(脚本)エルンスト・マリシュカ(撮影)フリーデル・ベーン=グルント(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ロベルト・シュトルツ
(出演)ヤン・キープラ、マルタ・エッゲルト、パウル・ケンプ、パウル・ヘルビガー
(87分・35mm・白黒)

★三千米滑降 MIR BRETTELN IN DEN DREITAUZENDEN
(30年代)(ドイツ国鉄映画部)(撮影)ハンス・H・テイエ(音楽)フランク・フォックス
(16分・35mm・白黒)

★白雪地獄 DIE WEISSE HOLLE VOM PIZ PALU
名匠パプストとの共同演出により、山岳映画の開拓者ファンクが名声を確立した1929年の無声作品『死の銀嶺』のサウンド版。アルプスで愛妻を失った博士が再登頂を目指す物語で、女優時代のリーフェンシュタールが主演。航空撮影は山岳映画では初めてとされる。
’35(ゾーカル・フィルム)(監督脚本)アーノルト・ファンク(撮影)ゼップ・アルガイアー、リヒャルト・アングスト、ハンス・シュネーベルガー(音楽)ジュゼッペ・ベッチェ
(出演)グスタフ・ディースル、レニ・リーフェンシュタール、エルンスト・ペーターゼン
(90分・35mm・白黒)

★ネルドリンゲンの思ひ出 NORDLINGEN ANNO 1634
(30年代)(ドイツ国鉄映画部)(音楽)マルク・ロラン(撮影)E・M・シューマッカー
(10分・35mm・白黒)

★ジプシイ男爵 ZIGEUNERBARON
原作はヨハン・シュトラウス2世のオペレッタなどで、トルコの侵略を受けた18世紀ハンガリーが舞台。後の『赤い靴』48などで知られる名優アントン・ウォルブルックが本名を名乗っていた頃の主演作。伊達男の役が多いが、ここでは野性味あふれる役柄である。
(35ウーファ)(監督)カール・ハートル(原作)マウルス・ヨーカイ、ヨハン・シュトラウス、イグナツ・シュニ(脚本)ヴィネタ・クリンガーほか(撮影)ギュンター・リッタウ(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)アロイス・メリヒャール
(出)アドルフ・ヴォールブリュック(アントン・ウォルブルック)、ハンジ・クノテック、フリッツ・カンパース
(90分・35mm・白黒)

★第九交響楽 SCHLUSSAKKORD
大指揮者である夫の愛に恵まれぬ妻と、彼の創り出すベートーヴェンを敬愛し、一度捨てた息子会いたさにアメリカから帰ってきた女。この三角関係をめぐる流麗な語り口は、監督のアメリカ亡命後の傑作メロドラマを予感させる。「第九」演奏はベルリン国立オペラ管弦楽団。
(36ウーファ)(監督脚本)デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)(脚本)クルト・ホイザー(撮影)ロベルト・バーベルスケ(美術)エーリッヒ・ケッテルフート(音楽)クルト・シュレーダー
(出演)ヴィリー・ビルゲル、リル・ダゴファー、マリア・フォン・タスナディ、マリア・コッペンへーファー
(98分・35mm・白黒)

★思ひ出の曲 DAS HOFKONZERT
大臣令息と美貌の歌姫の恋心を描いたミュージカル映画。ヨーロッパ屈指のスターとなった歌手エッゲルトが、独・仏語版の両者に主演した。その後監督が1937年まで亡命しなかったのは、ヒットメーカーの損失を恐れた政権に旅券を奪われていたためとの説がある。
(36ウーファ)(監督脚本)デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)(原作)パウル・フェアヘーフェンほか(脚本)フランツ・ヴァルナー=バステ(撮影)フランツ・ヴァイマイル(美術)フリッツ・マウリシャット(音楽)エドムント・ニックほか
(出演)マルタ・エッゲルト、ヨハンネス・ヘースタース
(82分・35mm・白黒)

★古城と郷土 ROMANTISCHES DEUTSCHES BURGENLAND
(30年代)(デーリング)(撮影)A・ルッツ
(13分・35mm・白黒)

★早春 DAS MADCHEN IRENE
母の再婚をめぐる思春期の少女の心の動きを描いたドラマで、俳優出身のシュンツェルが演出した。英国の一流デザイナーである母親を演じるのは、『会議は踊る』の大スター、リル・ダゴファー。当時の日本人の感覚に合い、1939年のキネマ旬報でも7位に選出された。
(36ウーファ)(監督脚本)ラインホルト・シュンツェル(原作脚本)エーファ・ライトマン(撮影)ロベルト・バーベルスケ(美術)ルードヴィッヒ・ライバー、ヴァルター・ライマン(音楽)アロイス・メリヒャール
(出演)リル・ダゴファー、カール・シェーンベック、ザビーネ・ペータース
(96分・35mm・白黒)

★新しき土[ドイツ版] DIE NEUE ERDE (DIE TOCHTER DES SAMURAI)
日本を海外に紹介する当時としては画期的な試みの日独合作で、伊丹万作演出の「日英版」とファンク主導のドイツ版が現存する。渡独した16歳の原節子はベルリン市民の熱狂的な歓迎を受けたという。焼岳、浅間山の威厳を表す勇壮な山岳シーンもファンクらしい。
(37ファンク映画製作所=東和商事=J.O.スタヂオ)(監督脚本)アーノルト・ファンク、伊丹万作(撮影)リヒャルト・アングスト(美術)吉田謙吉(音楽)山田耕筰
(出演)早川雪洲、原節子、小杉勇、ルート・エヴェラー、英百合子、中村吉治、高木永二、常盤操子、市川春代
(127分・35mm・白黒・ドイツ語部分日本語字幕なし)

★誓ひの休暇 URLAUB AUF EHRENWORT
後方から戦線に復帰する兵士たちが、ベルリンで前線方面への列車に乗り換えるまでの6時間を複数のエピソードで描く。当時の日本では、小隊長が独断で兵士たちに自由行動を許すのは軍規に反するため、一般公開が許可されなかったという逸話もある。
(37ウーファ)(監督)カール・リッター(原作)キリアン・コル、ヴァルター・ブレーム(原作脚本)チャールズ・クライン(脚本)フェリックス・リュッケンドルフ(撮影)ギュンター・アンダース(美術)ヴァルター・レーリッヒ(音楽)エルネスト・エーリッヒ・ブーダー
(出演)ロルフ・メービウス、インゲボルク・テーク、フリッツ・カンパース、ベルタ・ドレウス
(87分・35mm・白黒)

★お伽の郷土 HEIMAT DES MARCHENS
(30年代)(監督)ルドルフ・シャート(撮影)エーリッヒ・メンツェル
(12分・35mm・白黒)

★こわれ瓶 DER ZERBROCHENE KRUG
恋人の家で甕を壊した自分の罪を、憎き恋敵になすりつけようとする村の裁判官。だが、主張すればするほど、自分に不利な証拠が現れて。19世紀の劇作家クライストによる傑作喜劇を忠実に映画化したもので、脚本はフリッツ・ラングの右腕テア・フォン・ハルボウ。
(37トビス・マグナ)(監督)グスタフ・ウチツキ(原作)ハインリッヒ・フォン・クライスト(脚本)テア・フォン・ハルボウ(撮影)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美術)ロベルト・ヘールト(音楽)ヴォルフガング・ツェラー
(出演)エミール・ヤニングス、フリードリッヒ・カイスラー、マックス・ギュルシュトルフ、パウル・ダールケ、リナ・カルステンス
(84分・35mm・白黒)

★最後の一兵まで UNTERNEHMEN MICHAEL
西部戦線で、味方の犠牲のもとに実行に移された総攻撃作戦「ミヒャエル計画」を描く。監督のカール・リッターはナチ時代に国策映画を多数演出したが、特に本作は、『祖国に告ぐ』36、『誓ひの休暇』とともに第一次大戦を背景にした3部作と呼ばれた。
(37ウーファ)(監督脚本)カール・リッター(原作)ハンス・フリッツ・フォン・ツヴェール(脚本)マティアス・ヴィーマンほか(撮影)ギュンター・アンダース(美術)ヴァルター・レーリッヒ(音楽)ヘルバート・ヴィント
(出演)ハインリッヒ・ゲオルゲ、マティアス・ヴィーマン、パウル・オットー
(81分・35mm・白黒)

★旅する人々 FAHRENDES VOLK
サーカス一座の猛獣使いの女のもとへ逃げ込んできた脱獄囚は昔の夫だった…。『外人部隊』34や『ミモザ館』35でフランス映画の一時代を築いたフェデーの珍しいドイツ映画にして、事実上の遺作。
(38トビス)(監督脚本)ジャック・フェデー(脚本)ジャック・ヴィオ(撮影)フリッツ・コッホ、ヨゼフ・イリッヒ(音楽)ヴォルフガング・ツェラー
(出演)ハンス・アルバース、フランソワーズ・ロゼー、カミッラ・ホルン、ヘルバート・ヒュープナー、ハンネス・シュテルツァー
(106分・35mm・白黒)

★美しき独逸 DEUTSCHLAND KREUZ UND QUER
(35ウーファ)(監督)ウルリッヒ・カイザー(脚本)ヴィル・フィッシャー(撮影)エーリッヒ・メンツェル(音楽)ハンス・オットー・ボルグマン
(17分・35mm・白黒)

★民族の祭典 オリンピア 第1部 FEST DER VOLKER-OLYMPIA FILM TEIL I
1936年のオリンピック・ベルリン大会を記録し、世界に衝撃を与えた2部作の第1部。古代オリンピックを称揚した後、聖火リレー、開会式、陸上競技を紹介する構成で、ナチ政権に抜擢されたリーフェンシュタールが大胆なアングルを駆使して肉体美へのこだわりを誇る。
(38オリンピア・フィルム)(総指揮)レニ・リーフェンシュタール(撮影)ハンス・エルトル、ヴァルター・フレンツ、グッツィ・ランチュナーほか(音楽)ヘルベルト・ヴィント、ヴァルター・グロノスタイ
(85分・35mm・白黒)

★美の祭典 オリンピア 第2部 FEST DER SCHONHEIT-OLYMPIA FILM TEIL II
『民族の祭典』に続く第2部。選手村の表情に始まり、体操・ヨット・フェンシング・ボクシング・近代五種・ホッケー・ポロ・サッカー・馬術・自転車・ボート・十種競技・飛び込み・水泳、そして閉会式の模様を収めた。
(38オリンピア・フィルム)(総指揮)レニ・リーフェンシュタール(撮影)ハンス・エルトル、ヴァルター・フレンツ、グッツィ・ランチュナーほか(音楽)ヘルベルト・ヴィント、ヴァルター・グロノスタイ
(81分・35mm・白黒)

■短篇映画小特集

ウーファ社文化映画[1]
巨大な映画コンツェルンだったウーファ社の多彩な作品の中で、世界的に見てもとりわけ先駆的な仕事として挙げられるのが文化映画(クルトゥーアフィルム)の系譜である。プロデューサーのニコラス・カウフマンの指導のもと高度な学術映画を量産したが、それらは世界各国に輸出されて日本の科学映画のパイオニアたちにも強い影響を与えた。本プログラムでは、東和商事が配給した文化映画のうち、1936年までにドイツ公開された作品を上映する。(計113分)
★紙の出來るまでFROM TREE TO PAPER (VOM BAUM ZUM PAPIER)
(28)(監修)ニコラス・カウフマン
(8分・35mm・白黒)
★蜂の王國THE HORNET STATE (IM HORNISSENSTAAT)
(28)(監修)ウルリッヒ・シュルツ(監督)ヴォルフラム・ユングハンス(撮影)パウル・クリーン、ベルンハルト・ユッペ
(8分・35mm・白黒)
★炎と氷の島THE ISLE OF FIRE AND ICE (DAS INSELLAND AUS FEUER UND EIS)
(29)(撮影)ヴォルフガング・エッティング
(8分・35mm・白黒・無声・24fps)
★植物の神秘GEHEIMNISSE IM PFLANZENLEBEN
(31)(脚本)ヴィルヘルム・プラーガー(撮影)ヴォルフラム・ユングハンス(音楽)コンラート・ベルンハルト
(9分・35mm・白黒)
★生存闘争NATUR ALS SCHUTZERIN IM KAMPF UMS DASEIN
(32)(監督)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(脚本)ニコラス・カウフマン(撮影)パウル・クリーン(音楽)ハーバート・ヴィント
(12分・35mm・白黒)
★緑の放浪者GRUNE VAGABUNDEN
(33)(監督)ヴォルフラム・ユングハンス(脚本)ウルリッヒ・シュルツ(撮影)パウル・クリーン(音楽)ハーバート・ヴィント
(14分・35mm・白黒)
★鋼鉄交響樂METALL DES HIMMELS
(35)(監督)ヴァルター・ルットマン(原作)ハンス・グロース(脚本)パウル・エンゲルマン(撮影)ゲルハルト・ミュラー(音楽)ヴァルター・グロノスタイ
(12分・35mm・白黒)
★航空郵便BRIEFE FLIEGEN UBER DEN OZEAN
(35)(監督)フリッツ・カラブ(撮影)ゲルハルト・ミュラー(音楽)ヴァルター・ヴィニッヒ
(15分・35mm・白黒)
★みんな泳げ! HINEIN!
(36)(監督)ゲスタ・ノルトハウス(撮影)クルト・シュタンケ(音楽)ハンス・エーベルト
(12分・35mm・白黒)
★夜の猛禽VOM UHU UND ANDEREN GESICHTERN DER NACHT
(36)(監督)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(撮影)ヴァルター・ズーフナー(音楽)ハンス・エーベルト
(15分・35mm・白黒)

ウーファ社文化映画[2]
1937年以降に公開された文化映画を紹介する。
(計105分)
★生命の神秘MYSTERIUM DES LEBENS
(37)(監督)ウルリッヒ・シュルツ、ヘルタ・ユーリッヒ(音楽)エルンスト・エーリッヒ・ブーダー
(14分・35mm・白黒)
★レントゲン線RONTGEN-STRAHLEN
(37)(監督脚本)マルティン・リクリ(構成)ニコラス・カウフマン
(18分・35mm・白黒)
★植物の感覚生活DAS SINNESLEBEN DER PFLANZEN
(37)(監督)ウルリッヒ・シュルツ、ヴォルフラム・ユングハンス(撮影)ヴァルター・ズーフナー(音楽)アルバート・ルイグ
(14分・35mm・白黒)
★低温KALT..., KALTER..., AM KALTESTEN!
(37)(監督脚本)マルティン・リクリ(撮影)クルト・シュタンケ
(12分・35mm・白黒)
★とんぼLIBELLEN
(38)(監督)ヴォルフラム・ユングハンス(撮影)ヴァルター・ズーフナー、カール・ヒルビバー(音楽)クレメンス・シュマルシュティッヒ
(12分・35mm・白黒)
★北海の渡り鳥STAMMGASTE AN DER NORDSEE
(38)(監督)ウルリッヒ・シュルツ(撮影)ヴァルター・ズーフナー、オイゲン・シューマッヒャー(音楽)ルドルフ・ぺラック
(16分・35mm・白黒)
★蜜蜂の集團生活DER BIENENSTAAT
(38)(構成)ウルリッヒ・シュルツ(撮影)ヴォルフラム・ユングハンス、カール・ヒルビバー、ヴァルター・ズーフナー(音楽)ハンス・エーベルト
(19分・35mm・白黒)
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by sentence2307 | 2006-01-14 18:25 | ドイツ映画 | Comments(2)
子供の頃、ドイツ映画について、よくこんな話を聞かされました。

戦前のドイツ映画は、世界に冠たる大撮影所を擁し、全世界の映画界をリードしてきたような国だったのに、ナチスの台頭で優れた映画人が海外に流出してしまい、さらに追い討ちをかけるかのように、大戦に負けたとき、ソヴィエトにウーファをそっくり持っていかれた痛手から、ついに再起不能になってしまったという話です。

そういえば戦後のかなり長い期間、優れたドイツ国籍の映画に接したことはなかったと記憶しています。

そして、確かそのころは、北欧映画に混じってドイツから日本の届く映画といえば、えげつないポルノ映画ばかりだったという記憶しかありませんでした。

華やかだった戦前のドイツ映画が回顧上映され続けているのも、ただ単に郷愁ばかりではない気がします。

東京国立近代美術館フィルムセンターでは1月17日(火)- 3月26日(日)の2か月余にわたり、1920年代から1930年代に生み出されたドイツ・オーストリア映画の名作・傑作群49本の長篇映画と41本の短篇映画を上映するそうです。

《ドイツ映画は無声時代から、当時の演劇・美術・文学などの諸芸術を取り込むことで洗練された芸術映画として広く認知され、その名を世界映画史に刻みました。
また、トーキー時代を迎えた1930年代にはドイツとオーストリア両国にまたがって音楽映画が盛んとなり、『会議は踊る』31や『狂乱のモンテカルロ』31といった華やかなオペレッタ映画が世界の観客を魅了しました。
中でも『キリストの一生』『東洋の秘密』は川喜多かしこ氏旧蔵の可燃性フィルムから今回新たに復元したもので、国際的にも重要な発見と言えます。
また、『カリガリ博士』20や『朝から夜中まで』21といった表現主義映画の代表作や、字幕を極力用いない室内劇カンマーシュピール映画『除夜の悲劇』23などの無声期の傑作、そして山岳映画の雄アーノルト・ファンクの勇壮な作品群、恋と人生を謳歌するきらびやかな音楽映画、隙のない映像美とプロパガンダが融合したオリンピックの記録『民族の祭典』38などの特徴ある作品が並びます。
また小特集として、華麗で享楽的なオーストリア映画を牽引し日本でも多くのファンを獲得した才人ヴィリ・フォルスト、当時のヨーロッパで活躍した日本人オペラ歌手・田中路子にスポットライトを当てます。
さらに短篇の分野では、世界の先駆的な学術映画であるウーファ社の文化映画クルトゥーアフィルムや、美しく抽象的なアンサンブルを堪能できる実験映画作家オスカー・フィッシンガーの初期作品を紹介します。》

★巨人ゴーレム DER GOLEM, WIE ER IN DIE WELT KAM
中世のプラハを舞台に、聖職者(ラビ)に生命を吹き込まれた泥人形ゴーレムがゲットーを破壊するというユダヤ民族に伝わる民話に材を求めた作品で、1915年、1917年に次ぐ3度目の映画化。ゴーレム伝説に魅了されたヴェゲナーは3作品すべてに主演や共同監督として関わった。ミュンヘン映画博物館による復元版
(20ウニオン=ウーファ)(監督脚本)パウル・ヴェゲナー(監督)カール・ベーゼ(原作)グスタフ・マイリンク(脚本)ヘンリク・ガレーン(撮影)カール・フロイント(美術)ハンス・ペルツィッヒ
(出演)パウル・ヴェゲナー、アルバート・シュタインリュック、リダ・サルモノヴァ
(86分・20fps・35mm・染色)

★朝から夜中まで VON MORGENS BIS MITTERNACHTS
『カリガリ博士』と並ぶ表現主義映画の傑作。銀行の出納係が大金を着服して身を滅ぼすまでの軌跡が、『カリガリ博士』以上に徹底したスタイルで描かれる。日本で発見された無字幕版が現存する唯一の素材であったが、今回の上映プリントはミュンヘン映画博物館が復元して字幕を加えた版。
(21イラグ・フィルム)(監督脚本)カールハインツ・マルティン(原作)ゲオルク・カイザー(脚本)ヘルバート・ユットケ(撮影)カール・ホフマン(美術)ロベルト・ネッパッハ
(出演)エルンスト・ドイッチュ、エルナ・モレナ、ローマ・バーン、アドルフ・エドガー・リホ、フリーダ・リヒャルト
(69分・18fps・35mm・白黒)

★キリストの一生 I.N.R.I.-EIN FILM DER MENSCHLICHKEIT
キリストの誕生から復活までを描いた伝記映画で、ヴィーネ監督は大掛かりなセットと多数のエキストラを用いて荘厳な雰囲気を作りだした。キリスト役のクマラはモスクワ芸術座出身で、ロシア革命後はドイツに亡命。ヘンニー・ポルテンとアスタ・ニールセンの共演も話題に。
(23ノイマン・フィルム=ウーファ)(監督脚本)ロベルト・ヴィーネ(撮影)アクセル・グラートクヤーエル、ルードヴィッヒ・リッパート、ライマール・クンツェ(美術)エルネ・メッツナー
(出演)グレゴリ・クマラ、ヘンニー・ポルテン、アスタ・ニールセン、ヴェルナー・クラウス
(102分・20fps・35mm・染色)

★除夜の悲劇 SYLVESTER-TRAGODIE EINER NACHT
限定された場所と時間のなかで、字幕に頼らず、登場人物のしぐさや表情の変化を丹念に捉えることで映像表現の可能性を追求した「室内劇(カンマーシュピール)映画」の代表作。カフェを経営する男が、妻と実母の間の確執に苦悩し、悲劇的な末路をたどる。
(23レックス・フィルム)(監督)ルプ・ピック(脚本)カール・マイヤー(撮影)カール・ハッセルマン、グイド・ゼーバー(美術)ロベルト・A・ディートリッヒ、クラウス・リヒター
(出演)オイゲン・クレッパー、エディット・ポスカ、フリーダ・リヒャルト、ルドルフ・ブリューマー
(60分・20fps・35mm・染色)

★プラーグの大学生 DER STUDENT VON PRAG
1913年に製作された同名映画のリメイクで、謎の老人との契約によって、鏡に映る自分の像を売り渡してしまった男の不思議な物語。1913年版で共同監督を務めていたガレーンは、『吸血鬼ノスフェラトゥ』22の脚本を担当するなど怪奇・幻想映画を得意とした。
(26ゾーカル・フィルム)(監督脚本)ヘンリク・ガレーン(脚本)ハンス・ハインツ・エヴァース(撮影)ギュンター・クランプ、エーリッヒ・ニッチュマン(美術)へルマン・ヴァルム
(出演)コンラート・ファイト、ヴェルナー・クラウス、アグネス・エスターハーツィ
(110分・20fps・35mm・白黒)

★東洋の秘密 GEHEIMNISSE DES ORIENTS
アラビアン・ナイトの物語を下敷きに、聴けば踊りださずにいられなくなる笛を手にした靴職人の奇想天外な冒険譚。監督のヴォルコフはロシア革命時にフランスへ亡命し、『キーン』23などの印象主義映画を生み出したことで知られる。
(28ウーファ)(監督脚本)アレクサンダー・ヴォルコフ(脚本)ノルベルト・ファルク、ロベルト・リープマン(撮影)クルト・クーラン、ニコライ・トポルコフ、フョードル・ブルガソフ(美術)アレクサンドル・ロシャコフ、ヴラディーミル・マインガルト
(出演)ニコライ・コリン、イヴァン・ペトロヴィッチ、マルチェラ・アルバニ、ディタ・パルロ
(103分・20fps・35mm・染色と彩色)

【ドイツ名作選】

カリガリ博士 DAS KABINETT DES DR. CALIGARI
ドイツ映画の高い芸術性を一躍世界に知らしめた表現主義映画の代表作。催眠術を用いるカリガリ博士の犯罪が、印象的なライティングとセットデザインのなかで映し出される。1921年に日本で公開され、溝口健二をはじめ多くの芸術家に影響を与えた。
(20デクラ)(監督)ロベルト・ヴィーネ(脚本)カール・マイヤー、ハンス・ヤノヴィッツ(撮影)ヴィリー・ハマイスター(美術)ヴァルター・レーリッヒ、ヴァルター・ライマン、ヘルマン・ヴァルム
(出演)ヴェルナー・クラウス、コンラート・ファイト、リル・ダゴファー
(52分・20fps・35mm・無声・白黒)

★亜細亜の光DIE LEUCHTE ASIENS
イギリス人アーノルドが1879年に発表した詩集をもとに、ドイツ人監督オステンが釈迦の生涯を描いた伝記映画。主演と共同監督を担当したインド人のライは、その後、1934年に「ボンベイ・トーキーズ」を設立し、オステンなどの映画人をインドに招いてインド映画の発展に寄与した。
(25ミュンヒェナー・リヒトシュピールクンスト)(監督)フランツ・オステン、ヒマンス・ライ(原作)エドウィン・アーノルド(脚本)ニランヤン・パル(撮影)ヴィリー・キールマイヤー、ヨゼフ・ヴィルシング(美術)デヴィカ・ラニ
(出演)ヒマンス・ライ、セータ・デヴィ、サラダ・ウキル
(69分・24fps・35mm・無声・白黒)

★マッターホーン DER KAMPF UMS MATTERHORN (THE CONQUEST OF THE MATTERHORN)
1865年にマッターホルン初登頂に成功したイギリス人エドワード・ウィンパー(フォス)と、同じく登頂を試みていたイタリア人アントン・カレル(トレンカー)の冒険物語に、女性をめぐる嫉妬のドラマが加わる山岳映画。主演のトレンカーは元登山ガイドで、のちに山岳映画監督として活躍した。
(28ホム・フィルム)(監督)マリオ・ボンナルド(監督脚本)ヌンツィオ・マラソンマ(原作)アーノルト・ファンク(撮影)ヴィリー・ヴィンターシュタイン、ゼップ・アルガイアー
(出演)ルイス・トレンカー、マルチェラ・アルバニ、クリフォード・マクラグレン、ペーター・フォス
(82分・24fps・35mm・無声・白黒)

★パンドラの箱 DER BUCHSE DER PANDORA (THE BOX OF PANDORA)
ヴァイマール時代に数々の名作の残したパプストが、ハリウッド女優ルイーズ・ブルックスを主役に抜擢して生み出した傑作。妖艶な魅力で周りの男女を魅了し破滅へと導く魔性の女(ファム・ファタール)ルルの数奇な運命が描かれる。上映フィルムは英語字幕版。
(29ネロ・フィルム)(監督)ゲオルグ・ヴィルヘルム・パプスト(原作)フランク・ヴェデキント(脚本)ラディスラウス・ヴァイダ(撮影)ギュンター・クランプ(美術)アンドレイ・アンドレイエフ、ゴットリープ・へッシュ
(出演)ルイーズ・ブルックス、フリッツ・コルトナー、フランツ・レデラー、グスタフ・ディースル、アリーツェ・ロベルテ
(120分・20fps・35mm・無声・白黒)

★ニーナ・ペトロヴナ DIE WUNDERBARE LUGE DER NINA PETROWNA (THE WONDERFUL LIE OF NINA PETROVNA)

フリッツ・ラング監督『メトロポリス』27のマリア役でデビューしたブリギッテ・ヘルムの代表作のひとつ。帝政末期のロシア。大佐の愛人ニーナ(ヘルム)は、大佐の部下ミヒャエル(レデラー)の純真さに心打たれ、恋に落ちるが。
(29ウーファ)(監督)ハンス・シュヴァルツ(脚本)ハンス・セケリー(撮影)カール・ホフマン(美術)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ
(出演)ブリギッテ・ヘルム、フランツ・レデラー、ウォーウィック・ウォード
(102分・24fps・35mm・無声・白黒)

★白魔 DER WEISSE TEUFEL (THE WHITE DEVIL)
トルストイの小説「ハジ・ムラート」の映画化。19世紀、帝政ロシアの支配に抵抗したコーカサス地方の民族的英雄ハジ・ムラートの波乱の人生を描いた作品で、亡命ロシア人ヴォルコフが『東洋の秘密』に続いて監督した。サウンド版も存在するが、今回の上映は無声版。
(29ウーファ)(監督脚本)アレクサンダー・ヴォルコフ(原作)レフ・トルストイ(脚本)ミヒャエル・リンスキー(撮影)クルト・クーラン(美術)アレクサンダー・ロシャコフ、W・マインハルト
(出演)イヴァン・モジューヒン、リル・ダゴファー、ベティ・アマン、アレクサンダー・ムルスキー
(93分・24fps・35mm・無声版・白黒)

★ガソリンボーイ三人組 DIE DREI VON DER TANKSTELLE
オペレッタ映画の先駆的作品。ガソリンスタンドの経営をはじめた仲の良い3人組が、オープンカーに乗って毎日のように訪れる美しい娘に魅了される。主演のヴィリー・フリッチュとリリアン・ハーヴェイは当時たびたび共演したドイツ映画界の「夢のカップル」。
(30ウーファ)(監督)ヴィルヘルム・ティーレ(脚本)フランツ・シュルツ、パウル・フランク(撮影)フランツ・プラナー(美術)オットー・フンテ(音楽)ヴェルナー・R・ハイマン
(出演)ヴィリー・フリッチュ、オスカー・カールヴァイス、ハインツ・リューマン、リリアン・ハーヴェイ
(80分・35mm・白黒)

★嘆きの天使 DER BLAUE ENGEL
スタンバーグが、ウーファに招かれて監督した作品で、キャバレーの踊子に心を奪われて身を滅ぼす中年教師の物語。主演のディートリッヒは本作出演後ハリウッドへ渡り、スタンバーグとコンビを組んで『モロッコ』30や『ブロンド・ヴィナス』32などの傑作を残した。
(30ウーファ)(監督)ヨゼフ・フォン・シュテルンベルク(ジョセフ・フォン・スタンバーグ)(原作)ハインリッヒ・マン(脚本)ロベルト・リープマン、カール・ツックマイヤー、カール・フォルメラー(撮影)ギュンター・リッタウ、ハンス・シュネーベルガー(美術)オットー・フンテ、エミール・ハスラー(音楽)フリードリッヒ・ホレンダー
(出演)エミール・ヤニングス、マルレーネ・ディートリッヒ、ハンス・アルバース
(107分・35mm・白黒)

★会議は踊る DER KONGRESS TANZT
ナポレオン失脚後のヨーロッパ再建を協議するために開催された1814年のウィーン会議を背景に、ロシア皇帝アレクサンドル一世(フリッチュ)と、手袋売りの娘(ハーヴェイ)の恋愛模様を描いた華やかなオペレッタ映画の代表作。1934年度のキネマ旬報第2位。
(31ウーファ)(監督)エリック・シャレル(脚本)ノルベルト・ファルク、ロベルト・リープマン(撮影)カール・ホフマン(美術)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音楽)ヴェルナー・R・ハイマン
(出演)リリアン・ハーヴェイ、ヴィリー・フリッチュ、コンラート・ファイト、リル・ダゴファー
(91分・35mm・白黒)

★三文オペラ DREIGROSCHENOPER
ブレヒトが1928年に発表した同名戯曲の映画化。大泥棒の頭目、ホームレスの親分、警察署長の3人を主人公にした社会風刺劇は、1932年度のキネマ旬報ベストテン第3位。ナチス台頭後にドイツからアメリカへ渡った作曲家クルト・ヴァイルの出世作でもある。
(31ワーナー・ブラザーズ=ファースト・ナショナル=トビス)(監督)ゲオルグ・ヴィルヘルム・パプスト(原作)ベルトルト・ブレヒト(脚本)レオ・ラニア、ラディスラウス・ヴァイダ、ベラ・バラージュ(撮影)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美術)アンドレイ・アンドレイエフ(音楽)クルト・ヴァイル
(出演)ルドルフ・フォルスター、カローラ・ネーヘル、ラインホルト・シュンツェル、フリッツ・ラスプ、ヴァレスカ・ゲルト
(111分・35mm・白黒)

★少年探偵団 EMIL UND DIE DETEKTIVE
児童文学者ケストナーの原作「エーミールと探偵たち」28の映画化で、汽車の中で大金を盗まれた少年が、ベルリンの子どもたちの助けを得て犯人を追いつめる愉快な活劇。戦後はフィルム・アーカイヴ創設や映画史研究に功績を残したランプレヒト監督の代表作。
(31ウーファ)(監督)ゲルハルト・ランプレヒト(原作)エーリッヒ・ケストナー(脚本)ビリー・ヴィルダー(ワイルダー)(撮影)ヴェルナー・ブランデス(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)アラン・グレー
(出演)ロルフ・ヴェンクハウス、ケーテ・ハーク、フリッツ・ラスプ
(73分・35mm・白黒)

★狂乱のモンテカルロ BOMBEN AUF MONTE CARLO
名プロデューサーのエーリッヒ・ポマーとシュヴァルツ監督のコンビは、トーキー初期にオペレッタ映画の秀作を数多く生み出したが、本作はそのもっとも有名な一本。お忍びで地中海旅行を楽しむ女王様と、豪放磊落な巡洋艦船長との恋の駆け引きが繰り広げられる。
(31ウーファ)(監督)ハンス・シュヴァルツ(原作)イェネ・ヘルタイ、フリッツ・レック・マレツェヴェン(脚本)ハンス・ミュラー、フランツ・シュルツ(撮影)ギュンター・リッタウ、コンスタンティン・チェット(美術)エーリッヒ・ケッテルフート(音楽)ヴェルナー・R・ハイマン
(出演)ハンス・アルバース、アンナ・ステン、ハインツ・リューマン、ペーター・ローレ
(89分・35mm・白黒)

★制服の処女 MADCHEN IN UNIFORM
女学校の寄宿舎を舞台に、プロシア式の権威主義的な教育制度を痛烈に批判したドイツ映画の名作で、キネマ旬報第1位(1933年度)。演出家マックス・ラインハルトのもとで演劇を学んだザガンは、当時極めて少なかった女性監督のひとり。
(31ドイチュ・フィルム)(監督)レオンティーネ・ザガン(脚本)クリスタ・ヴィンスロー、F・D・アンダム(撮影)ライマール・クンツェ、フランツ・ヴァイマイル(美術)フリッツ・マウリシャット、フリードリッヒ・ヴィンクラー(音楽)ハンソン・ミルデ・マイスナー
(出演)ドロテア・ヴィーク、ヘルタ・ティーレ、エレン・シュヴァンネッケ、エミリア・ウンダ
(89分・35mm・白黒)

★激情の嵐 STURME DER LEIDENSCHAFT
刑期を終えて出所した男が恋人に裏切られ、再び犯罪に手を染めてしまうという破滅的な人生が描かれる。ジオドマークはナチス台頭後にフランスへ、さらに1938年にハリウッドへ渡り、『幻の女』44や『殺人者』46といったフィルム・ノワールの秀作を生み出した。
(31ウーファ)(監督)ロベルト・ジオドマーク(脚本)ロベルト・リープマン、ハンス・ミュラー(撮影)ギュンター・リッタウ(美術)エーリッヒ・ケッテルフート(音楽)フリードリッヒ・ホレンダー
(出演)エミール・ヤニングス、アンナ・ステン、トルーデ・へスターベルク、フランツ・ニクリッシュ
(82分・35mm・白黒)

★F・P 1号応答なし F.P.1 ANTWORTET NICHT
大西洋上に飛行機基地を建設しようと奮闘する男(ハルトマン)と、冒険飛行家(アルバース)の友情を描くサスペンス・ドラマ。コンラート・ファイト主演の英語版、シャルル・ボワイエ主演の仏語版が同時に製作された。
(32ウーファ)(監督)カール・ハートル(原作脚本)クルト・ジオドマーク(脚本)ヴァルター・ライシュ(撮影)ギュンター・リッタウ、コンスタンティン・チェット、オットー・ベッカー(美術)エーリッヒ・ケッテルフート(音楽)アラン・グレー
(出演)ハンス・アルバース、ジビッレ・シュミッツ、パウル・ハルトマン、ペーター・ローレ、ヘルマン・シュペールマンス
(85分・35mm・白黒)

★今宵こそは DAS LIED EINER NACHT
ポーランド出身のテノール歌手キープラの演じるのは当代の人気歌手。その歌手があまりの忙しさに嫌気がさして、お忍びでスイス旅行に飛び出したことからおかしな騒動に。彼が湖畔の町で出会う少女役のマグダ・シュナイダーは、女優ロミー・シュナイダーの母である。
(32ツィネ・アリアンツ)(監督)アナトール・リトヴァク(脚本)イルマ・フォン・クーベ、アルブレヒト・ヨゼフ(撮影)フリッツ・アルノ・ヴァグナー(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音術)ミーシャ・スポリアンスキー
(出演)ヤン・キープラ、フリッツ・シュルツ、マグダ・シュナイダー、マルゴ・リオン、オットー・ヴァルブルク
(82分・35mm・白黒)

★私と女王様 ICH UND DIE KAISERIN
音楽と恋に浮かれたベル・エポック期のパリジャンたちを描いた音楽映画で、女王様の髪結い係リリアン・ハーヴェイの可憐さが印象的。監督のホレンダーは作曲家であり、またナチ政権に追われた名プロデューサー、エーリッヒ・ポマーの亡命直前の作品でもある。
(33ウーファ)(監督)フリードリッヒ・ホレンダー(原作)フェリックス・ザルテン(脚本)ヴァルター・ライシュ、ロベルト・リープマン(撮影)フリーデル・ベーン=グルント(美術)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音楽)フランツ・ヴァクスマン(ワックスマン)
(出演)リリアン・ハーヴェイ、コンラート・ファイト、マディ・クリスチャンス
(84分・35mm・白黒)

★ウインナ風景 EIN SPAZIERGANG MIT ROBERT STOLZ DURCH WIEN
(38トビス・ザシャ)(撮影構成)ヴィリ・ゴルトベルガー(音楽)ロベルト・シュトルツ
(10分・35mm・白黒)

★ワルツ合戦 WALZERKRIEG
19世紀、ワルツの都ウィーンで繰り広げられる、ワルツ王ヨゼフ・ランナーとヴァイオリン奏者ヨハン・シュトラウスとの熾烈な作曲合戦を優美に描く。この時代のドイツ映画が得意とした音楽映画の中でも、きわめて人気を博した一篇である。
(33ウーファ)(監督)ルードヴィッヒ・ベルガー(脚本)ハンス・ミュラー、ロベルト・リープマン(撮影)カール・ホフマン(美術)ロベルト・ヘールト、ヴァルター・レーリッヒ(音楽)フランツ・グローテ、アロイス・メリヒャール
(出演)レナーテ・ミュラー、ヴィリー・フリッチュ、パウル・ヘルビガー、アドルフ・ヴォールブリュック、ロージー・バルソニー
(91分・35mm・白黒)

★冬の歡び WINTER IN DEUTSCHLAND
(30年代)(音楽)ジュゼッペ・ベッチェ
(14分・35mm・白黒)

★スキー学校 A HIGHSCHOOL OF SKIING
(30年代)(ゼレノフォン)(指導)ハンネス・シュナイダー
(13分・35mm・白黒)

★モンブランの王者 DER EWIGE TRAUM (DER KONIG DES MONT BLANC)
『モンブランの嵐』30に続いて名峰モンブランを撮影対象とし、フランス側の山麓で若き日から将来の登頂を夢みてきた農夫を描いたファンクの代表作の一つ。主演のゼップ・リストは、ファンクに見出されたスキーヤー俳優である。
(34ツィネ・アリアンツ)(監督脚本)アーノルト・ファンク(撮影)リヒャルト・アングスト、クルト・ノイバート(美術)ヴェルナー・シュリヒティング(音楽)ジュゼッペ・ベッチェ
(出演)ゼップ・リスト、ブリギッテ・ホルナイ、エルンスト・ナンセン、エドゥアルト・フォン・ヴィンターシュタイン
(81分・35mm・白黒)
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by sentence2307 | 2006-01-14 18:14 | ドイツ映画 | Comments(5)