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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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カテゴリ:デイヴィッド・クローネンバーグ( 1 )

戦慄の絆

映画監督として、気になる三大デビッドと言えば、クローネンバーグ、リンチ、フィンチャーでしょう。

いずれも一筋縄ではいかない底知れぬ狂気を秘めた地獄図のような映像を見せてくれます。

とはいっても、ひと括りにするだけの何か共通するものがあるのかと改めて問われれば、全然ないと答えたいところですが、そう断言する自信もありません。

また、各作家それぞれの作品を系統的に見ても、なにか関連付けるに足るものも見えてくる訳ではありません。

ただ、クローネンバーグについて言えば、「ザ・フライ」と「戦慄の絆」や「裸のランチ」との間に、何らかの線を引いてみたくなるような、はっきりとした転調を感じます。

この「戦慄の絆」をサイコ・スリラーと紹介している本がありましたが、それ程、明確に分類できるかどうか正直疑問です。

幼い頃から常に一緒に育ってきた一卵性双生児のエリオットとビバリーは、ふたりだけの世界をつくり、お互いの存在に頼りながら医師として成功していますが、弟に恋人ができたことからふたりの関係のバランスが揺らぎ始めます。

兄の「彼女を共有しよう」という提案を拒否し、それまで、ふたりの間では難なく乗り越えてきたはずのモラルが、第三者を愛することで自我が芽生えたビバリーにとって重要な意味を持ち始めていることを示唆しています。

それは、もはや兄弟が以前のように一体化できないことをも意味していました。

弟になりすました兄が弟の恋人と情事を重ねたことから、それを知った弟が精神に異常をきたし睡眠薬中毒に陥ります。

兄は、同じ境遇に身を置くことで、いまこそ兄弟が以前のようにひとつになれるかもしれないと睡眠薬を服用しますが、自我を確立した弟には、一体化を求めてくる兄を拒絶するしかありません。

ひとりの自立した人間になるためには、もはや兄弟のいずれかの死しか途はないと悟った弟は、兄を殺し血塗られた自立を果たします。

1975年夏、マンハッタンのアパートで、スチュワートとシリルのマーカス双生児の腐乱死体が発見されたという、これは実話ですが、ただ、映画のラストは少し変えられました。

実際は、睡眠薬の過剰摂取のために兄がまず死亡し、自由になった弟は一度は外出するものの、結局部屋に舞い戻り、兄に寄り添って死の眠りについた、ということです。

(88カナダ)監督脚本・デイヴィッド・クローネンバーグ、製作・マーク・ボイマン、デイヴィッド・クローネンバーグ、原作・バリ・ウッド、ジャック・ギースランド、脚本・ノーマン・スナイダー、撮影・ピーター・シャシスキー、音楽・ハワード・ショア、美術・キャロル・スピア、編集・ロナルド・サンダース、衣装・デニーズ・クローネンバーグ、
出演・ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ハイジ・フォン・パレスク、バーバラ・ゴードン、シーレイ・ダグラス、スティーブン・ラック
by sentence2307 | 2007-01-08 00:01 | デイヴィッド・クローネンバーグ | Comments(1)