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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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カテゴリ:マイケル・チミノ( 1 )

心の指紋

かねてから、この作品の評価に「温度差」があることは知っていました。

自分がこの作品を見る前から、どちらの側にしろ、観終わってしまえば自分の感動なり失望が、待ち構えている2極のどちらかに振り分けられてしまうという何ともつまらない運命にある(未知の映画を見るというスリリングな個人的な体験をしようとする時、こうした予断をむりやり持たされてしまうということは実に迷惑なことだと思いませんか。)という気の重さが正直鬱陶しくて、なんとなく見ることを日延べにしてしまってきたのかもしれません。

「どう感じようが、オレの自由じゃねえか」というのが映画を見る上での僕の基本的なコンセプトです。

「市民ケーン」を貶しながら、「心の指紋」を褒め称える場合だって別にないわけではありません、なんてスゴイ鼻息で臨んだのですが、実際見てしまえば、世評がいかに正直だったかが分ってしまって拍子抜けです。

末期癌に犯されている16歳の少年殺人犯が、病院での診療のスキをついて、医師を人質にアリゾナの果てにあるという伝説の湖を求めて逃走します。

その湖は、すべての苦痛から人間を癒してくれると伝えられている奇跡の湖です。

少年は、先住民ナバホインディアンと白人の混血で、医師は最先端医療のエリートですが、ここで語られている主たるテーマ「最先端医療のどこがえらいのんじゃい。」か、あるいは「最先端医療がナンボのもんじゃい。」という程度のコトをなにも今更もっともらしく言わなくてもいいような気がしますし、さして目新しくも衝撃的なテーマとも思えません。

そして、この映画が一向に面白くないのは、様々に設定されている対比がことごとく図式的で現実味がないという以上に、確執しながら最後にその場所で互いに深い理解と友情に到達するという二人がめざした「聖なる湖」や祈祷師とかいうオッサンのなんとも頼りない描かれ方です。

最後まで観客を引っ張ってきた以上、映画には、そのラストをしっかりと観客に「見届けさせる」という責任があるはずです。

それがたとえ地獄だろうと極楽だろうと、僕たちは、まさに「それ」が見たいのです。

それを「見ず」して、愛しい家族のもとに聖なる山を駆け下りるようなことは決してしないだろうと思います、まともな「映画狂」ならね。

しかし、この映画に「バニシング・ポイント」とか「激突!」とか「スケアクロウ」とか「レインマン」とか「ミッドナイト・ラン」とか「デルマ&ルイーズ」とか「ワイルド・アット・ハート」とか「パリ・テキサス」とか「」「」「トゥルー・ロマンス」とか「マイ・プライベート・アイダホ」とか「パーフェクト・ワールド」とか「ストレイト・ストーリー」など、いろいろな映画の影を見ることができて、結構それなりに楽しめた映画ではありました。
by sentence2307 | 2004-11-20 17:53 | マイケル・チミノ | Comments(2)