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世界のあらゆる映画を偏執的に見まくる韜晦風断腸亭日乗


by sentence2307
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カテゴリ:怪奇と幻想の文学( 1 )

怪奇と幻想の文学

ここのところ、高原英理という人が書いた「ゴシックハート」(講談社)という本を読んでいました。

別段、これが特に読みたいということで読み始めた本ではありませんが、もともと、そこら辺にある本を手当たり次第に読みまくる節操のない雑食タイプなので(考えてみれば、見る映画を選択する方法と同じアバウトなところが残念です)、その中から、もしたまたま「これ」という本に出会ったとしても、ちょっぴり系統的に読みたいという気持ちだけはあるのですが、せいぜいほんの上っ面を撫でる程度でいつも終わってしまう情けない現状です。

さて、この「ゴシックハート」、作者は、ゴシックという言葉の定義は抽象的に語ることはできないとして、個々のイメージを具体的にあげています。こんな感じです。

「色ならば黒、時間なら夜か夕暮れ。
場所は文字通りゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さを持つ廃墟や古い建築物のあるところ。
現代より過去。
ヨーロッパの中世。
古めかしい装い。
温かみより冷たさ。
怪物・異形・異端・悪・苦痛・死の表現。
損なわれたものや損なわれた身体。
身体の改変・変容。
物語として描かれる場合には暴力と惨劇。
怪奇と恐怖。猟奇的なもの。
頽廃的なもの。
あるいは一転して無垢なものへの憧憬。
その表現としての人形。
少女趣味。
様式美への尊重。
両性具有、天使、悪魔など、西洋由来の神秘的イメージ。
驚異。崇高さへの傾倒。
終末観。
装飾的・儀式的・呪術的なしぐさや振る舞い。
夢と幻想への耽溺。別世界への夢想。
アンチ・キリスト。アンチ・ヒューマン。」

そして、さらに「ゴシック・ロマンスとはなにか」というと「中世風な古城や修道院、古い屋敷、廃墟、納骨堂、地下迷宮といった閉ざされた場所を舞台として、悪魔・魔女・吸血鬼・呪われた人造人間・獣人・怪物・亡霊・分身・暴君などが登場し、悪・暴力・死・惨劇・狂気・陰謀・瀆神・流離・超自然などが描かれる小説ということとなる」と述べてから、それらは以下にあげるゴシック・ロマンスの代表作に含まれている要素をただあげつらっただけだとして、その代表作なるものを列挙しています。

ホレス・ウォルポール「オトラントの城」
クレアラ・リーヴ「老英男爵」
ウィリアム・ベックフォード「ヴァセック」
ウィリアム・ゴドウィン「ケレイヴ・ウィリアムズ」
アン・ウォード・ラドクリフ「ユードルフォの謎」
マシュー・グレゴリー・ルイス「マンク」
チャールズ・ブロックデン・ブラウン「ウィーランド」
メアリ・ウルストンクラフト・シェリー「フランケンシュタイン」
ジョン・ウィリアム・ポリドリ「吸血鬼」
チャールズ・ロバート・マチューリン「放浪者メルモス」
ジェイムズ・ホッグ「悪の誘惑」
エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」
エミリ・ブロンテ「嵐が丘」
ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ「吸血鬼カーミラ」
ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」
小栗虫太郎「黒死館殺人事件」

作者の列挙した作品を書き写しているうちに、不意に、ごくむかし、手元に置いて結構入れ込んで読んでいた本のことを思い出しました。

それは確か「怪奇幻想の文学」という怪奇幻想小説ばかりを集めたアンソロジーの全集みたいなものだった記憶があります。

世界の怪奇小説ばかりを集めたなかなか趣味のいいシリーズだったという印象が残っています。

しかし、どこの出版社だったか、まったく記憶には残っていません。そこでさっそく検索してみました。

ありました、ありました。

やはり、『怪奇幻想の文学』というタイトルで、出版社は新人物往来社、全部で7巻出版されており、刊行年は、1969年11月。

なるほどなるほど、やっばりそうですか、1969年なんですか。

なんだか最近、自分が夢中になってこだわっていた部分の根をたどっていくと、この年に突き当たることが多くなってきたような気がします。

そういえば、友人で、いまでも「あの年」で自分の時間は止まってしまったのかもしれないと言っていたヤツがいましたっけ。

もし台風がひどくなければ、今日にでも神保町の古本屋街に足をのばして『怪奇幻想の文学』でも探してみますか。

怪奇小説など読んで、久しぶりのワクワクドキドキを満喫しますか。


★参考★

【怪奇幻想の文学〔Ⅰ〕真紅の法悦】
Tales of Horror and the Supernatural: The Vampire
新人物往来社(1969/11/10)(342頁)[26×21×2]
編:平井呈一、中島河太郎、紀田順一郎、訳:平井呈一、他 

種村季弘・吸血鬼小説考
ジォン・ポリドリ・吸血鬼
S・F・レファニュ吸血鬼カーミラ
E・F・ベンソン・塔のなかの部屋
F・G・ローリング・サラの墓
マリオン・クロフォード・血こそ命なれば
カール・ジャコビ・黒の告白
M・W・ウェルマン・月のさやけき夜
リチャード・マチスン・血の末裔
D・H・ケラー・月を描く人
ジョン・メトカーフ・死者の饗宴
荒俣宏・「真紅の法悦」解題


【怪奇幻想の文学〔Ⅱ〕暗黒の祭祀】
Tales of Horror and the Supernatural: The Dark Magic
新人物往来社(1969/12/10)(331頁)[26×21×2]
編:平井呈一、中島河太郎、紀田順一郎、訳:平井呈一、他

澁澤龍彦・黒魔術考
W・F・ハーベイ・サラー・ベネットの憑きもの
アーサー・マッケン・変身
リチャード・バーハム・ライデンの一室
M・R・ジェイムス・呪いをかける
マーガレット・アーウィン・暗黒の蘇生
シンシア・アスキス・シルビアはだれ?
ロード・ダンセイニ・オットフォードの郵便夫
デュボス・ヘイワード・半パイント入りのビン
C・A・スミス・魔術師の復活
H・P・ラヴクラフト・暗黒の秘儀
オーガスト・ダレット・求める者
ロバート・ブロック・呪いの蝋人形
R・E・ハワード・鳩は地獄からくる
アルジャーノン・ブラックウッド・邪悪なる祈り
荒俣宏・「暗黒の祭祀」解題


【怪奇幻想の文学〔Ⅲ〕戦慄の創造】
Tales of Horror and Supernatural:The Gothic Flame
新人物往来社(1970/03/10)(327頁)[26×21×2]
編:平井呈一、中島河太郎、紀田順一郎、訳:平井呈一、他

紀田順一郎・ゴシックの炎
ホレス・ウォルポール・オトラント城綺譚
ブラム・ストーカー・判事の家
M・R・ジェイムス・十三号室
H・P・ラヴクラフト・チャールズ・ウォードの奇怪な事件
荒俣宏・「戦慄の創造」解題


【怪奇幻想の文学〔Ⅳ〕恐怖の探究】
Tales of Horror and the Supernatural:Hauntings
新人物往来社(1970/04/10)(325頁)[26×21×2]
編:平井呈一、中島河太郎、紀田順一郎、訳:平井呈一、他

種村季弘・恐怖美考
M・R・ジェイムス ・“若者よ、笛吹かばわれ行かん”
J・D・ベリスフォード・のど斬り農場
W・W・ジェイコブズ・無言の裁き
A・E・コッパード・不幸な魂
W・デ・ラ・メア・なぞ
アンブローズ・ビアス・死闘
F・M・クロフォード・死骨の咲顔
H・S・ホワイトヘッド・わな
M・P・シール・音のする家
シンシア・アスキス・鎮魂曲
アルジャーノン・ブラックウッド・木に愛された男
荒俣宏・「恐怖の探究」解題
荒俣宏・編 世界怪奇幻想文学関係年表


【怪奇幻想の文学〔Ⅴ〕怪物の時代】
Tales of Horror and the Supernatural: Monsters
新人物往来社(1977/11/20)(354頁)[26×22×2]
編:紀田順一郎、荒俣宏

小宮卓・想像の見世物箱
E・F・ベンスン・恐怖の山
M・P・シール・青白い猿
H・S・ホワイトヘッド・ウイリアムスン
メアリ・シェリー・換魂譚
H・P・ラヴクラフト・レッドフック街怪事件
エイブラム・デヴィッドスン・ゴーレム
ジェラール・ド・ネルヴァル・緑色の怪物
M・W・ウェルマン・ヤンドロの山小屋
E・L・ホワイト・セイレーンの歌
W・H・ホジスン・難破船
J・P・ブレナン・沼の怪
フィッツ=ジェイムズ・オブライエン・ワンダースミス
ゲアハルト・ハウプトマン・海魔
荒俣宏・解題
入沢康夫・月報・文学以前の怪物


【怪奇幻想の文学〔Ⅵ〕啓示と奇蹟】
Tales of Horror and the Supernatural: Signs & Wonders
新人物往来社(1977/11/20)(352頁)[26×21×2]
編:紀田順一郎、荒俣宏

由良君美・〈始源の時間〉に回帰するおとぎ話
ギュスターヴ・フローベール・ジュリアン聖人伝
アナトール・フランス・聖母の軽業師
ジュール・シュペルヴィエル・沙漠のアントワーヌ
ゴトフリート・ケラー・破壊の聖僧ヴィターリス
イェレミーアス・ゴットヘルフ・黒い蜘蛛
シーベリイ・クイン・道
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ・手と魂
J・D・ベリスフォード・啓示と奇蹟
A・E・コッパード・郵便局と蛇
アーサー・マッケン・N
エルゼ・ラスカー=シューラー・白いダリア
ウォルター・デ・ラ・メア・トランペット
フィオナ・マクラウド・屍衣を洗う女
ロード・ダンセイニ・サルニダクの慈悲
チャールズ・ラム・夢の子供
荒俣宏・解題
窪田般彌・月報・シュペルヴィエルのこと


【怪奇幻想の文学〔Ⅶ〕幻影の領域】
Tales of Horror and the Supernatural: Madness & Deseases
新人物往来社(1978/02/20)(362頁)[26×21×2]
編:紀田順一郎、荒俣宏

日夏響・鏡のなかにおぼろに
ロバート・リンドナー・宇宙を駆ける男
マルセル・エーメ・死んでいる時間
A・E・コッパード・キルシーランから来た男
D・H・ケラー・死んでいる女
トーマ・オウエン・黒い玉
パウル・エルンスト・奇妙な町
フリオ・コルタサル・続いている公園
メアリー・E・ウイルキンズ=フリーマン・遠く遙かな調べ
アルジャナン・ブラックウッド・古い衣
フランシス・ホジスン・バネット・白いひと
オリヴァー・オニオンズ・ローウムの狂気
E・ホフマン・プライス・ラジャの贈りもの
M・P・シール・ゼリュシャ
荒俣宏・解題
荒俣宏編・世界怪奇幻想文学年表
怪奇幻想の文学 作者別索引
大林宣彦・月報・いつか見たドラキュラ
by sentence2307 | 2011-09-03 07:15 | 怪奇と幻想の文学 | Comments(67)